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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.9:避難施設の規定

2020-05-01 08:29:07 | ビジネス・教育学習

◇前提条件としての避難施設の規定の適用範囲(令117条1項)は、以下の4つ
 ・法別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物、(5)項の倉庫等、(6)項の自動車車庫等を除く
 ・階数が3以上である建築物 
 ・窓その他の開口部を有しない居室を有する階(令116条の2第1項一号の採光無窓居室)
   ⇒有効採光面積(令20条による計算)の合計が当該居室の床面積の1/20未満のもの
 ・延べ面積が1,000㎡をこえる建築物

◇過去の出題傾向分析からの重要事項(出題率が高かった事項)
 ①2以上の直通階段を設ける2方向避難の規定(令121条) ⇒ 過去6年間の出題率100%
  ・令121条1項一号~三号までの用途の建築物は、面積に関係なく、2方向避難の対象。
  ・病院等の四号に掲げる建築物は、床面積の合計が50㎡を超えるものが対象。
  ・共同住宅等の五号に掲げる建築物は、床面積の合計が100㎡を超えるものが対象。
  ・一般建築物で6階以上に居室のある階(六号イ)は、面積に関係なく、2方向避難の対象。
  ・一般建築物で5階以下に居室のある階(六号ロ)は、床面積の合計が100㎡を超えるものが対象。
  ・上記の建築物で避難階の直上階に居室のある階は、床面積の合計が200㎡を超えるものが対象。
  ・最も重要事項は、主要構造部が準耐火構造か、不燃材料で造られている場合の緩和規定。
   ⇒上記の規制床面積が、全て2倍になる。
    例えば、共同住宅で主要構造部が不燃材料の場合、100㎡ではなく、200㎡を超えるものとなる。
 ②非常用照明の設置、構造に関する規定(令126条の4、126条の5) ⇒ 過去6年間の出題率67%
  ・非常用照明を必要とする建築物は、原則5つ。
    (1)別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物の居室
    (2)階数が3以上で、延べ面積が500㎡を超える建築物の居室 
    (3)無窓居室(令116条の2第1項一号に該当するもの)
      ⇒有効採光面積(令20条による計算)の合計が当該居室の床面積の1/20未満のもの
    (4)延べ面積が1,000㎡をこえる建築物の居室
    (5)これらの居室から地上に通ずる階段、廊下等の通路
      ⇒ただし、採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。
   ※(1)~(4)は居室への規制だが、⑤は通路への規制である。
  ・令126条の4ただし書きで設置義務が除外されているものがある事に注意。
    一号:一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸。
    二号:病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室、その他これらに類する居室。
    三号:学校等(学校等の定義は、令126条の2第1項二号を参照。)
    四号:避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないもの。
  ・非常用照明の構造(令126条の5各号):出題実績は過去6年間でH26年に一度。
    ⇒直接照明として床面1ルクス以上の照度を確保する(令126条の5第一号イ)。
 ③非常用進入口の設置、構造に関する規定(令126条の6、126条の7) ⇒ 過去6年間の出題率67%
  ・設置義務(令126条の6):高さ31m以下の部分にある3階以上の階
  ・ただし書きにより設置しなくてもよい場合:一号~三号参照。
    ⇒令129条の13の3に基づく非常用エレベータを設置した場合:H29年に正答で出題。
  ・非常用進入口の構造は、令126条の7が、素早く参照できるようにしておくことが重要。

◇出題率がそれほど高くなくても重要な事項
 ①避難施設としての廊下幅(令119条の表)を適用する建築物の部分は、原則として4つ。
  ・学校等の児童・生徒用の廊下
  ・病院における患者用の廊下
  ・共同住宅の住戸、若しくは住室の床面積の合計が100㎡を超える階における共用の廊下
  ・一般建築で居室の床面積の合計が200㎡(地階は100㎡)を超える階における廊下(ただし、3室以下の専用のものを除く。)
 ②避難施設としての直通階段の歩行距離の限度(令120条の表)
  ・居室内の部分から避難階に通ずる直通階段までの歩行距離を表の数値以内とすることとしている。
  ・準耐火構造か不燃材料で造られている14階以下の場合、表の数値に10を減じた数値とできる。
  ・15階以上の場合、表の数値に10を加えた数値としなければならない。
  ・準耐火構造か不燃材料で造られている15階以上の場合、表の数値のままでよい。
  ・メゾネット住戸では、出入口のない階の居室内部分から出入口の階の直通階段まで40m以内とする。
 ③排煙設備の設置に関する規定(令126条の2)
  ・排煙設備を必要とする建築物は、原則4つ。
    (1)別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物で500㎡を超えるもの
    (2)階数が3以上で、延べ面積が500㎡を超えるもの
    (3)無窓居室(令116条の2第1項二号に該当する排煙上の無窓居室)
      ⇒天井から下方80㎝以内の距離にある開放部分の面積が当該床面積の1/50未満のもの
    (4)延べ面積が1,000㎡をこえる建築物の居室でその床面積が200㎡を超えるもの
  ・令126条の2ただし書きで設置義務が除外されているものがある事に注意。
   一号:別表第一(い)欄(2)項の特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法2条九号の二(ロ)の防火設備で区画された部分で、その床面積が100㎡(共同住宅の住戸にあって
     は、200㎡)以内のもの
   二号:学校(認定こども園を除く)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
   三号:階段の部分、昇降機の昇降路の部分(昇降機の乗降ロビー部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
   四号、五号は法令集参照。
  ・その他、階避難安全検証法(令129条)、全館避難安全検証法(令129条の2)により確かめられた場合に、排煙設備設置義務が除外されることに注意する。

2020年5月1日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者

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