◇日本でも、屋根面や壁面緑化をしている建築物はありますが、ここは団地全体の緑化計画をしています。
◇「自然環境の中で生きる術」を求める実験として、興味ある団地計画だと思っています。
◇コーポラティブ形式の住宅団地で、まずは建築家主導でクライアントトの組織化を図っているようです。
◇当時カッセルに環境共生住宅のコンセプトはなく、住民参加で次の2つ条件を出したとのことです。
・自然環境を残す
・安く分譲する
◇種々の経緯を経て、結果としてコンセプトキーワードを次のように整理しています。
・自然⇒断熱、換気、温湿度等を自然環境との共生で考える
・地質⇒細かい砂利と砂で形成し、自然の地理条件を活かした雨水の循環等で考える
・ランニングコスト削減⇒ドイツの一般的住宅の地下室における400マルク/月の暖房費削減等
(地下室は、自然環境破壊要因としても掲げられている。)
◇背景となる住宅行政の施策として、一定の私権制限(個人の我が儘より自然環境を優先)も心掛けている。
・市の立案した基本コンセプトに沿う住宅建設に対して市有地を購入者に提供
・基本コンセプトに基づいた住宅原案に基づき敷地の規模が決められる
・住宅の供給者には、基準に従っていただける入居者を市が斡旋する
・売買契約に建設時期が明記され、購入者ができない場合には市が第一買い戻し交渉権を持つ
◇比較的安価な土地供給をテコに公共的地価設定を推進し、若年低所得層への住宅建設の機会を提供しようとする趣旨が含まれているとのことです。
◇具体的技術手法
・屋根面、壁面緑化による断熱性能向上とともに、景観緑化を図る。
・温室やサンルームを活かした換気計画で、居住環境の熱損失低減を図る。
・輻射熱活用による暖房システムは、同時に、室内空気環境保全にも寄与する。
・地下室の代替として、北側に倉庫を配置するなどして配置計画に配慮する。
・30年も前の話ですので、当時日本では見かけなかった「雨水利用」も計画されている。
・一番感銘を受けたのは、駐車場の砂利敷(非透水性の舗装はしない)です。
◇ドイツの「カッセル」という中小都市ですが、現地在住(環境局職員)の日本人にご案内いただきました。
◇恥ずかしい話、原則、日本語しか理解できない私には、よく理解でしました。
◇「自然環境の中で生きる」ということを考えれば、いい提案だとは思います。
◇ただ見学後の感想ですが、近代的で便利な人工環境に慣らされているせいだと思います。
◇正直、住みたいと思わなかったのが正直な感想です。
◇と、また余計な戯言を綴り、また私の30年ほど前の思い出話しにお付き合いさせてしまいましたね。
2023年1月13日 by エコピープルおじさん(一級建築士、エコ検定合格)