ポニョのドキュメンタリーが発売延期になったようです。しかも12月に。音楽の版権を取っていなかったことが問題らしい。初回限定版のあの9枚組みはどうなるのでしょうか。
さて、『ロシア・アニメーション傑作選集4』を観ました。162分という長さに恐れをなして敬遠していたのですが、観てよかったです。おもしろい。
つまらない作品ばかりが3時間近く続いたら酷だよな、と考えていたので、まさしく傑作揃いなのにはいい意味で裏切られました。ほとんどの作品はイマジネーションに溢れていて、退屈しませんでした。観たことのある作品も複数ありましたが、何度観ても楽しめますね。
レフ・アタマノフ「サイクリスト」は以前に観たことがあり、好きだった作品。負けず嫌い(?)な青年が、自転車に乗って車や機関車、飛行機などと競争します。しかし自転車がぶっ壊れてしまい、地面に投げ出されます。のびている彼の顔の横を、毛虫がのそのそと追い越してゆく…。何事も地道が確実だよってことでしょうか。独特のユーモアのセンスが光る逸品ですね。
エレーナ・フォードロワ「ケロケロ」はなぜか気に入りました。たくさんの蛙が虫をつかまえようと奮闘する、というのが大まかな内容。蛙の造形はちょっと不気味で、ゲロゲロいう声もかわいくないですが、やはりユーモアがあって、好きでした。一見すると平面的な画面構成ですが、奥行きもうまく利用していて、意外とよくできている。
ナタリア・ゴロヴァノバ「少年期」をはじめ、このDVDにはファンタジックな作品が多いです。本来飛ばないものが空を飛ぶという話も複数見られます。「少年期」では、就学前の少年が犬などの動物に変身してしまう超常現象が起こります。ところがこのような変身はそれほどの驚異とは受け取られず、物語は淡々と進行。学校に入学し、先生がプーシキンの有名な詩を朗読するのを聞いているうち、少年は想像を膨らませます。
アナトリー・ペトロフ「射撃場」。このあいだタラソフの「射撃場」を観てきましたが、これはアナトリー・ペトロフの作品。ペトロフと言ってもアレクサンドルの方ではないです。1977年の作品ですが、人物が立体的で、3Dアニメの先駆けか、と思わせるほど。戦争で息子を喪った父親が人間の憎しみや恐怖を感知する戦車を作り、それで戦争屋たちに復讐する話。設定は現実を超出していますが、事物や人間心理の描写はリアリスティック。異彩を放つ作品です。
次もアナトリー・ペトロフの「歌の先生」。既に観たことのある作品で、個人的に大好き。きのうのイヨネスコやムロージェック(ポーランドの作家)を思わせるシュールな内容で、ナンセンスの極致と言ってもいいほど。歌の男性講師がピアノを弾いたり声を出してドレミファを教えますが、生徒はカバだった…!「ガーガーガー」という一つの音階しか発声できないカバに講師は業を煮やしますが、仕舞いには食べられてしまう。歌の先生を飲み込んだカバは綺麗な声を出せるようになりました、というオチつき。笑えます。
ウラジーミル・タラソフ「コンタクト」。このタラソフってのは、あの奇怪なプロパガンダ映画を作ったタラソフその人でしょうか。かなり作風が違いますね(当たり前か)。監督名を見るまで分かりませんでした。コンタクトっていうのは異性人とのコンタクトっていう意味で、画家(?)の男性が異形の生物と接触し、逃げ出してしまいますが、歌を通じて仲良くなる、という物語。内容自体は取り立てて言うほどのものではありませんが、異性人の造形がちょっとおもしろいですね。少しスライムのようで、何色もの淡い色が体に付いています。でも不気味ではなくて、どこか愛嬌があります。
ここで取り上げなかった作品にもいいものがたくさんあります。とてもヴァリエーションに富んでいて、一見の価値あり。もっと早くに観ていればよかったなあ。
さて、『ロシア・アニメーション傑作選集4』を観ました。162分という長さに恐れをなして敬遠していたのですが、観てよかったです。おもしろい。
つまらない作品ばかりが3時間近く続いたら酷だよな、と考えていたので、まさしく傑作揃いなのにはいい意味で裏切られました。ほとんどの作品はイマジネーションに溢れていて、退屈しませんでした。観たことのある作品も複数ありましたが、何度観ても楽しめますね。
レフ・アタマノフ「サイクリスト」は以前に観たことがあり、好きだった作品。負けず嫌い(?)な青年が、自転車に乗って車や機関車、飛行機などと競争します。しかし自転車がぶっ壊れてしまい、地面に投げ出されます。のびている彼の顔の横を、毛虫がのそのそと追い越してゆく…。何事も地道が確実だよってことでしょうか。独特のユーモアのセンスが光る逸品ですね。
エレーナ・フォードロワ「ケロケロ」はなぜか気に入りました。たくさんの蛙が虫をつかまえようと奮闘する、というのが大まかな内容。蛙の造形はちょっと不気味で、ゲロゲロいう声もかわいくないですが、やはりユーモアがあって、好きでした。一見すると平面的な画面構成ですが、奥行きもうまく利用していて、意外とよくできている。
ナタリア・ゴロヴァノバ「少年期」をはじめ、このDVDにはファンタジックな作品が多いです。本来飛ばないものが空を飛ぶという話も複数見られます。「少年期」では、就学前の少年が犬などの動物に変身してしまう超常現象が起こります。ところがこのような変身はそれほどの驚異とは受け取られず、物語は淡々と進行。学校に入学し、先生がプーシキンの有名な詩を朗読するのを聞いているうち、少年は想像を膨らませます。
アナトリー・ペトロフ「射撃場」。このあいだタラソフの「射撃場」を観てきましたが、これはアナトリー・ペトロフの作品。ペトロフと言ってもアレクサンドルの方ではないです。1977年の作品ですが、人物が立体的で、3Dアニメの先駆けか、と思わせるほど。戦争で息子を喪った父親が人間の憎しみや恐怖を感知する戦車を作り、それで戦争屋たちに復讐する話。設定は現実を超出していますが、事物や人間心理の描写はリアリスティック。異彩を放つ作品です。
次もアナトリー・ペトロフの「歌の先生」。既に観たことのある作品で、個人的に大好き。きのうのイヨネスコやムロージェック(ポーランドの作家)を思わせるシュールな内容で、ナンセンスの極致と言ってもいいほど。歌の男性講師がピアノを弾いたり声を出してドレミファを教えますが、生徒はカバだった…!「ガーガーガー」という一つの音階しか発声できないカバに講師は業を煮やしますが、仕舞いには食べられてしまう。歌の先生を飲み込んだカバは綺麗な声を出せるようになりました、というオチつき。笑えます。
ウラジーミル・タラソフ「コンタクト」。このタラソフってのは、あの奇怪なプロパガンダ映画を作ったタラソフその人でしょうか。かなり作風が違いますね(当たり前か)。監督名を見るまで分かりませんでした。コンタクトっていうのは異性人とのコンタクトっていう意味で、画家(?)の男性が異形の生物と接触し、逃げ出してしまいますが、歌を通じて仲良くなる、という物語。内容自体は取り立てて言うほどのものではありませんが、異性人の造形がちょっとおもしろいですね。少しスライムのようで、何色もの淡い色が体に付いています。でも不気味ではなくて、どこか愛嬌があります。
ここで取り上げなかった作品にもいいものがたくさんあります。とてもヴァリエーションに富んでいて、一見の価値あり。もっと早くに観ていればよかったなあ。