『ガンダーラ』と言えば多くの人が想像してしまうのとは全く別物の、ルネ・ラルー監督のアニメーション映画『ガンダーラ』。この監督は生涯で長編を三本撮っていて、これはその一つ。ちなみに後の二つは『時の支配者』と『ファンタスティック・プラネット』。とりわけ後者はロラン・トポールの絵をベースにしていることで有名。と書けば前者は普通なのか、と思われるかもしれませんが、こっちはメビウスの絵なのです。ちなみに、脱線ですが、メビウスの絵がアニメーションになると、彼本来の緻密さや繊細さが完璧に失われてしまっているのは残念でなりません。『アルザック・ラプソディ』とか、マッドハウスかなんかが制作すればよかったのに、と思う。
さて、『ガンダーラ』のキャラクターデザインはフィリップ・カザ。背景美術も描いているのかどうか知りませんが、どちらもかなり見応えがあります。森の美術やメタモルフォースと呼ばれる人間たちのグロテスクで異形な造形には目を瞠ります。トポールの不気味さとも通じているし、またメビウスの絵なども勘案すれば、ルネ・ラルーの趣味ってものがよく分かります。とにかくグロテスクなものが好きなんですね。
物語は、未来に行ったり過去に行ったり、という展開が軸になるので少々錯綜していそうですが、実はかなり単純。あと、進みすぎた文明による遺伝子組み替え技術の禍根が映画の発端になっており、今ではあまりにも使い古されたテーマであるだけにデジャ・ヴ感がありありなのですが、当時としては新しかったらしい。ただ、個人的にはそういう行き過ぎた文明批判や時空を超える壮大さなどよりも、キャラクターデザインも含めた絵そのものの魅力を堪能しました。
もっとも、メタルマンや恐竜(これも遺伝子組み替えの結果?)の造形は意外性がなくて、特筆すべき点もなし。かなり稚拙に見えます。
総じて言えば合格点ですが、ツッコミどころも色々あって、いい点と悪い点が相殺して、それでも最後にはいい点の印象が強い、という感じの作品ですね。ただ、退屈するような映画ではなく、けっこうおもしろいので、万人受けする類のものでもあります。
そういえば、例のあの「脳みそ」のラストは叙情的に作られていて、ちょっとよかった。やはり既視感は否めないものの、ああいう演出は好きです。滅びながら苦悩を吐露するという…
さて、『ガンダーラ』のキャラクターデザインはフィリップ・カザ。背景美術も描いているのかどうか知りませんが、どちらもかなり見応えがあります。森の美術やメタモルフォースと呼ばれる人間たちのグロテスクで異形な造形には目を瞠ります。トポールの不気味さとも通じているし、またメビウスの絵なども勘案すれば、ルネ・ラルーの趣味ってものがよく分かります。とにかくグロテスクなものが好きなんですね。
物語は、未来に行ったり過去に行ったり、という展開が軸になるので少々錯綜していそうですが、実はかなり単純。あと、進みすぎた文明による遺伝子組み替え技術の禍根が映画の発端になっており、今ではあまりにも使い古されたテーマであるだけにデジャ・ヴ感がありありなのですが、当時としては新しかったらしい。ただ、個人的にはそういう行き過ぎた文明批判や時空を超える壮大さなどよりも、キャラクターデザインも含めた絵そのものの魅力を堪能しました。
もっとも、メタルマンや恐竜(これも遺伝子組み替えの結果?)の造形は意外性がなくて、特筆すべき点もなし。かなり稚拙に見えます。
総じて言えば合格点ですが、ツッコミどころも色々あって、いい点と悪い点が相殺して、それでも最後にはいい点の印象が強い、という感じの作品ですね。ただ、退屈するような映画ではなく、けっこうおもしろいので、万人受けする類のものでもあります。
そういえば、例のあの「脳みそ」のラストは叙情的に作られていて、ちょっとよかった。やはり既視感は否めないものの、ああいう演出は好きです。滅びながら苦悩を吐露するという…