Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

ヱヴァンゲリヲン 序

2009-07-04 01:40:06 | アニメーション
金曜ロードショーで「序」やってましたね。
番組欄には「TV版」と書いてあったので、映画を更に編集・カットしたのだろうと思いましたが(あるいは加えてしまうとか)、なにぶん二年前に劇場で観たきりなので、どこがオリジナルと違うのか分かりませんでした…。『ターミネーター2』はどこがカットされていたのかほぼ完全に分かったんですけどね。けれども、血の奔流や綾波のバストなどはカットされていなかったので、一安心。そういうところをなくしちゃうとエヴァじゃないですからねえ(でももしかすると決定的な箇所がカットされてた?)。

「序」は、尻上がりによくなってきてましたね。劇場で観たときは、最初のシンジ君のテンションの高さについていけず、これからの展開に不安を抱いたものですが(杞憂に終わりましたが)、今日もやはり前半にはやや不満。基本的にはTV版エヴァを短く編集しただけなので、伏線が回収されていないし、何より登場人物のノリについていけないんですよね。シンジ君がエヴァに乗るときの煩悶に、同調できないわけです。また、伏線というのはシンジ君がミサトさんの部屋に初めて入るときの描写のことなんですが、ここで彼が敷居を踏み越えるシーンが描かれます。これは、後に彼がネルフを逃げ出してから、再び戻ってきたときの「ただいま」のシーンに直結する箇所だったはずですが、「序」ではそこが描かれないんですよね。とてもいいシーンなのですが。

さて、見所はやっぱりラミエル。こいつが実は「最強の使徒」なんじゃないかってくらい攻撃力の高い使徒なわけですが、この第六使徒が現れてから、つまりヤシマ作戦のエピソードあたりから、「序」は緊張感が高まって、最高潮に達しようとします。シンジ君のうじうじ感や、少し病的な絶叫など、エヴァらしさはそれまでにも随所にありましたが、たぶんTV版を超えているのはこのラミエル戦。まあ、TV版では後半に用意されていた内面描写や魚眼レンズの顔面アップなどが既に「序」に出現しているので(こんなシーンあったっけ、と今日観て驚きました)、TV版の第一話~第六話までの描写は超出しているわけですが、それはしかしこの新劇場版がエヴァの再話的な構造をもっているので当然か。

ラミエル戦の見所の一つは、使徒の変形だろうと思います。その幾何学的な変形はダイナミックで、異様でありながら美しい。また体の表面に空を映し出しているのもすばらしいと思います。一方でその超強力な攻撃はビル群はおろか山の半分を吹き飛ばし、破壊力の凄まじさを印象付けます。狙いを外したシンジがラミエルの攻撃の直撃を食らうところで綾波が盾を用いてそれを防ぎ、今度は陽電子砲を命中させるところは、クラシックなBGMと相俟って最大の見せ場。最後の「笑えばいいと思うよ」は文句なしに綾波がかわいい(というかきれい)で、満足。ラミエルの血飛沫は金曜ロードショーぎりぎりじゃないかと思いましたが、「破」はさらに凄まじいのでどうなることか。

個人的には、「破」は金曜ロードショーではなくて、深夜12時くらいからの放送にしてもらいたいですね。金曜ロードショーに限らないかもしれませんが、最近は映画の途中にテロップを流すのが流行っているみたいで、これは本当にやめてもらいたいです。真剣に観ている最中にこれをやられるとイラッとくる。テロップに気を取られていたらどんないいシーンを見逃してしまうか分からないですし、まあぼくははなからそんなの読みませんが、でも目障りなんですよね。それと、やはりエンドロールはカットしないでほしいです。あと、完全に個人的な理由ですが、ぼくは実家に住んでいるので、家族の無関心の中でエヴァを観るのはちょっとつらいんですよね。母はいびきをかき、帰省中の兄は本を読み、父は新聞をめくり、ときには誰かが歯を磨いたり洗物をしたりで、ぼくだけがじっとテレビ画面をみつめているのですが、それがなんだか気詰まりで。やはり深夜で一人、誰の目も音も気にせず没入したいです。

ちなみに、「序」は司令部の描写が多かったですね。リツコの解説めいた発言とか。「序」ですから説明的になっているのは仕方ない面もあるでしょうが、そこが少々幼稚に感じます。あの「いかにも」という解説が子供向けアニメっぽいんです。他人の目を気にしながら観ていたら、そんなところが気になりました。しかし、後半はOK。「破」は、このラミエル戦の興奮と迫力が、いやそれ以上の戦闘シーンが2時間断続的に続きます。これを観ない手はないですよ。

かなり楽しみにして観る直前は胸がどきどきしてきたほどのエヴァ、堪能しました。
あ、そうそう、「綾波のふ・く・ら・は・ぎ~」がなかったのはちょっと残念。でもあれを入れると全体のバランスが悪くなったかもね。