Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

出会い

2009-12-17 23:53:40 | お出かけ
今日、ブログを通してお近づきになれた、ntmymさんにお会いしてきました。名目上は杉並アニメーションミュージアムをご案内する、ということですが、ntmymさんとは是非一度お会いしたいと思っていたので、チャンスでした。

杉並アニメーションミュージアムは、少々交通の不便なところにあるので、遠方からお越しの初めての方にとっては、けっこう行きづらい場所だと思われます。ntmymさんは、前から行きたいと思っていらっしゃったようで、そこで道を知っているぼくの登場というわけです。とまあ、こんなふうに一から書いているといつになっても終わらないですね。要点だけ述べると、ミュージアムではぼくはたむらしげるの『クジラの跳躍』をお薦めし、そしてntmymさんは、それと合わせて『つみきのいえ』をご覧になったのでした。かなり色々なことを御存知の方なので、オーソドックスなものばかり見させてしまったような気がして、もっと長くて濃いやつをお見せすればよかったなあ、などと後で後悔しつつ、ミュージアムを後にしました。

それから古書店を巡り、喫茶店に入ってかなり長いことお話をしました。
ああそうだ、最初に書こうと思っていたのですが、ぼくはコミュニケーションが苦手な人間だと自覚していて、たぶん周囲の人もそう感じていると思うのですが、初対面の方とお会いするのは実はけっこう好きで、わくわくしたりします。でもちょっと心配だったりして、退屈させてしまったらやだなあとか、そういうことですけど。で、ntmymさんは、(ブログとは違って)無口な方だと聞いていたのですが(というかぼーっとしているとうかがっていました)、実際にお話してみるとそんなことはなくて、話が盛り上がりました。ぼくの方が年下なので、気を使っていただいているのかな、無理に話をさせてしまっていないだろうか、などとやっぱり不安になりつつ、でもとても楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございます!

チェーホフについての話題で、ntmymさんは、実に深いところを感じ取っていらっしゃって、さすがだな、と。ブログでは非常に細やかな感受性で真剣に考察なさっているところに惹かれたのですが、その感受性の鋭さは伊達じゃないです。たった一つの短編(しかも初期の!)を読んだだけで、チェーホフ文学のある種の「冷たさ」に気がつくというのは、ぼくは実は相当ショックでした。とてもあったかい作家だとか、反対に、虚無的な作家だとか、色々なことを言われるチェーホフですが、物事を見つめる視線の冷たさのようなものは、確かにあるように思います。ぼくは最近そのことを忘れていました。

ラーゲルクヴィストの『バラバ』が運命的な本だというお話を伺って、興味をそそられました。今までは、キリスト教的な作家なのかな、くらいの認識しかなかったのですが、俄然読んでみたくなりました。

それにしても、ぼくは人と話すとき、ものすごく仲のよい人は別ですが、まだ相手のことをよく知らないときなどは、どういう話題がいいのかとか、どこまで話していいのだろうかとか、いつも迷ってしまって困るタイプで、なんというか、当り障りのない会話ができないのですが、ntmymさんとは、ブログを通じてお互いの趣味がもう分かっていた、というのもあるのでしょうけれども、不思議と突っ込んだ話ができて、しかもバランスのいいコミュニケーションが取れて、こんなことが自分にもできるんだ!と新鮮な驚きでした。はっきり言って、幸せな気持ちです。もうこうなったら、ぼくは姉のように慕ってしまいますよ!

そうそう、僭越ながら、たぶんお互い似ているところがあって、ぼーっとしている、という点は一緒のような気がしました。その「ぼんやり」で最近は日々焦らされているぼくは、なんだか力をもらいました。ぼんやりしていても生きることはできるんだ!という、当たり前かもしれませんが、でも、生きるんだ!という強い気持ちをいただいた気がします。

今日の体験はすごく巨大で、胸の内に溢れかえっていますが、うまく言葉にできないもどかしさがあります。またいずれお会いして、話し足りなかったこととか、そして新海誠のこととか、たくさん話したいですね。文学のことも、アニメーションのことも、同時に話すことができる人って、けっこう限られてますもんね。本当にいい人とお近づきになれたと思います。ネットも捨てたものじゃないですねえ。