
人生で速度は重要ではない。しかし、粘り強く続けていくことは重要だ。誰が早く成功して先んじていくかに視線を集中させると、自分のペースを失ってしまう。粘り強く続けていくためには少し止まって歩幅を調節する必要がある。
「一生懸命仕事をするあなたをやめなさい」
この広告のコピーを見ながら膝をぽんと叩いた。疲れた心身を静かに癒してやる旅行の妙味を上手く表現した文句だと思った。
最近の若い人たちは忙しい。会社の仕事に追われる職場人が自由な旅行をするというのは簡単ではない。せいぜい1年に1,2回ぐらいだけだ。旅行に行くのが難しいならば出勤時、移動の方法を変えてみるのはどうだろうか。乗用車からバスに、地下鉄に変えて見よう。この間、感じることのできなかった新しいときめきを味わうことができるだろう。窓の外に見える木と景観を眺めながら、出勤の道を日常とは違う体験としてはじめたならば、これがまさに旅行ではないか。遠くへ行くことができたならば一番いいが、そうできなくても小さな日常の変化は、疲れた自分を休める効果がある。
職場生活でいつも忙しかった私、やはり長距離の旅行に行くためには大きな決心をしなければならなかった。だから、私は週末ごとに美しい自然の景観がある所での一回の食事で心に余裕を与えてやったりした。
一日5分ずつでも自分を振り返る機会を持ちなさい。しばらく立ち止まって振り返る時間を持とう。今、自分が歩いている道が正しいのか、方向を再検討することができる。新しいアイデアがわき上がる時間になるだろう。
休むということは何か。自分に与えられものを享受する時間だ。健康でなければ旅行に行くことができない。運動も仕事もできない。「休む」というとゆっくり寝て、日が中天に上がるまでベッドで寝転ぶことだと思わないか。それは休むのではなく怠けの延長であるだけだ。人に昼と夜が与えられたのは、昼は昼なりに、夜は夜なりに享受しろという意味だ。
ヒーリングとは自分に与えられた健康、家族、隣人、能力により、よく享受することだ。余裕を持っている者だけが、持っているものを享受することができる。私達は多くのものを持っていても、いつも享受することができず奔走する。忙しく生きても享受することができたら余裕を持つことができる。いくら多くの物を持っていても教授できなければ何の意味も無い。職場生活も享受し、勉強も享受し、旅行も享受し人生も享受する知恵を発揮することを願う。享受することは持っている者の特権だ。健康であるならば健康を享受すればいいのだ。
よく休むということはよく享受することだ。そうしようとすると今が一番重要だ。しばらく休んでいく余裕が無ければ疲れやすく苦しい。今、苦しいならばよくやっているということだ。どうやって暮らしを享受するかを考えること自体がヒーリングすべての始まりだからだ。