十六夜の月明りに酔いしれて続きです。
秋田角館から高校卒業して、穀物取引相場の会社に就職。
営業マンとしてトップ成績の売り上げ
ラジオで相場解説の番組まで持った。
互いに脱サラ同士であったので心情が通じるところがあった。
開店は18時であったが、来店客が来る前に入って
会話をした。
最後のブログ記事が上記です。
妻と一人娘を残して命を断ち切った。
常連客の一報で知った。
あえて自死への憶測を周囲には訊ねなかった。
川口の自宅まで深夜自転車帰宅。
帰宅出来ない時は店のテーブル
寝袋に包まれ寝た。
閉店間際に客が一人でも来れば
快く延長した。
穏やかな性格。
客との交流も兼ねてハイキングもした。
その優しい親し気な表情の裏に隠された
苦悩を私は垣間見えるのであった。
錯綜する困難、苦しみが毎夜、テーブルの寝床で眠れぬ日々が続いた?
頼るべき人もなくの深い心に悪魔は囁いた。
私にも同様にあった。
下記は癌治療を長年されてきた医師の言葉です。
人生の長い旅路を歩むうちに
人々は様々な困難に直面します。
ある人は過去の辛い経験を生かして乗り越えることが
できるかもしれません。
一方でこれまで順風満帆の人生を送ってきた人は
「克服できない」と諦めてしまいがちです。
しかしどんな場合でも人は
絶望の向こうに希望を見て
再び歩み始めるものです。
どんな苦しいときでも一度立ち止まって
自分に向き合い
「今やるべきこと、やりたいこと、やれること」を考えれば
やがて解決の糸口が見えてくるものです。
これが多くの癌患者から学んだことの一つです。
再掲
居酒屋店主の自死
2015年1月31日
1月29日(木)
19時半 久しぶりに両国橋を渡って国道17号線を錦糸町に向かった。
三つ目通りを渡り左折して一本目の裏道に入った。
去年の10月までは、暗い道に大きな赤提灯が灯り営業しているのが分かった。
提灯の明かりはなかった。
かちかち鳥の店前に立った。
都合により閉店しましたの貼り紙。
私は同じ居酒屋を営む店主のブログを紹介した。
大将は熱心に名古屋の居酒屋店主ブログを読んでいた。
脱サラして苦闘する居酒屋経営に共感したのだろう。
かちかち鳥に客が私一人だと名古屋店主ブログを話題にした。
昨夜、名古屋ブログを読んでいたら
かちかち鳥大将がコメントしていたのに気付いた。
去年8月の頃から大将は死への誘惑と戦っていたのだ。
穏やかな性格でどんな我がままなお客にも
怒りの感情を顕わにせず応対していた。
私はカウンター席に陣取る常連客とは馴染めなかった。
飲みに行くのにタメライがあった。
大将は営業が18時だが、早めでも構わないと言ったのだが。
悔やまれる。
暗いガラス扉前で手を併せた。