ブログ再開宣言してからふた月が経過した。アップロードしたのは二度だけ。東欧とウクライナの旅の途中。旅と言っても引退後の自由気ままではない。マイペースに近い自由さはあるが、商社勤務時代の経験が繰り返される仕事、つまり貿易取引の開拓だったり、契約交渉だったりの一応は業務出張。だから、商談後も会食したり、ホテルの部屋に戻っても翌日の準備・対策を考案したり、関係者と連絡とってブレインストーミングしたりと意外に忙しい。自分の仕事の領域を広げてしまい、常に何らかの仕事のフォローをしている状態にあるので、無垢な自分に戻れるゆったりとした時間がなかなか持てない。その上に、初めてのウクライナでは野菜中心のローカル食に感動し、ウォッカと自家製ジュースとイクラの虜になってしまい、旅先ブログを連日アップロードするという覚悟は、ウォッカの勢いの前で萎え果てた。ならば、3月から始めたtwitterにでも、呟きを入れるかと思ったものの、それも億劫になっていた。
9月に初ウクライナとクロアチアに続き、10月になって再度東欧に飛んだ。今回はルーマニアで商談し、ポーランドにも行って、そのまま西回りでカナダでひと仕事して、先週の日曜日に帰国した。ポーランドのポズナンからフランクフルト乗り換えでカルガリーに飛ぶ際に預けたトランクが行方不明になるという災難にも遭遇し、落胆した。数日分の最少身の回り品や衣類をカルガリーのBAYという老舗デパートに買いに行った。「Furuikeya Kawazu Tobikomu Mizunooto」 日本の俳句は人類の文化だと、私を日本人だと知って、抱きつかんばかりに親近感を持って接してくれたウクライナから移住した妙齢の女性に日本の元気をもらった。この二度の東欧行状中に思ったことの数々は、薄れぬうちに書き留めたいと思っている。
10月の最終週末。台風が本土を直撃するとの予報だった。台風が来なければ友人と過ごす予定だったが、見送った。自分の好ましくなく流れる日々を仕切りなおすために、独りでも「森の時間」に行きたいと思った。
明け方の雨に閉じ込められた小屋で強く打ち付ける雨音。床カーペットで温かい布団に横たわり黙考する。何時間もそうしていた。
生育する野菜を愛でながら、雨上がりの「森の時間」を散策する。
久しぶりの誰にも邪魔されぬ時の流れに、塞いでいた心が開放された気がした。