森の時間 SINCE 2002

Le Temps Du Bois

蓮始開

2006年06月25日 | 随想・雑文

実家の行き帰り、抜け道にしている桜並木の道に沿って「水元公園」が広がっている。梅雨空の下、アヤメが綺麗に咲いているのが見えたので立寄ってみた。

Nec_0078 水産試験所の跡地も組み込まれ(Bブロック)、かなり広大な公園になっている。小学校の頃、水産試験所に入り込んで池に網をひといれしたら、鯉の稚魚が一杯入っていた。泥棒?! おまわりさんに見つかったら大変、大慌てで網を持ったまま逃げ出した。その稚魚の何匹かは家の池で大きく育った。両親は何も知らない、私だけの秘密だった。Nec_0057

睡蓮は夜になると花を閉じる。三日間開いて受粉、送粉を済ますと2度と開かない。夜になるとNec_0083 睡眠する蓮だから睡蓮という。ハスは花が咲いた後にできるタネが蜂の巣、蜂巣に似ているから蓮(ハチス)、ハスと呼ぶようになったそうだ。Nec_0058

Nec_0056 紫陽花、菖蒲がどんよりした梅雨空の下で綺麗に咲き乱れていた。

父も母も元気だった頃、父は母を連れ出して水元公園に歩きに来たそうだ。車に折りたたみ自転車を一台乗せてきて、交代で歩いて良い汗をかいていたそうだ。2人がそんな意外な微笑ましい時間を持っていたということを思う。水面をしばし見つめていたら睡蓮の花が歪んできた。垂れ込めた曇天から耐え切れなくなった雨滴が落ち始め、私の涙も溢れかけたので、梅雨の空を仰いで涙を止めた。雨が頬を濡らした。

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忘れ形見

2006年06月23日 | 随想・雑文

春以来、実家通いが週末の日課になっている。父が三月に他界してから弱気になって1人で暮らす母を、兄と手分けして助けている。

今年の夏至、6月21日の朝、母から電話があった。メリが死んだように寝ているよ。揺すっても動かないから死んじゃったみたいだよ。やはり・・・。3日前の週末に行ったときにもだいぶ弱っていて、ご飯も食べなくなっていたが、好物の鶏肉を混ぜてあげたら少しだけ食べてくれた。Nec_0044 その後は立ち上がるのもやっとの状態で、私が帰るときもいつもは門まで送ってくれるのだが、その日は玄関の前で這い蹲ったままで見送ってくれた。Nec_0047 そのときメリに会えるのが何となく最後のような気がしていた。何度も頭を撫ぜ、お手をして、話かけた。そして、暗闇の中で写真を撮った。

母の電話を受けた朝、会社には行かずに実家に急行した。実家の内門の右手に人の背丈ほどのドウダンツツジがある。メリは暑くなるといつもその根元の土の冷気に体を横たえていた。そのドウダンツツジは前の週に私が刈り込んだのできれいに丸くなっている。その刈り込んだ木の下に、いつものように眠っているメリの背中が見えた。静かに息を引き取ったようだ。背中に触れるとまだ温もりがある。母は明け方にメリの咳払いの声が聞こえたというので、まだ数時間しか経っていないのだろう。名残は惜しいが、父の遺言通りに北西の角のアオキの下に埋めることにした。結構大きい犬なので、1メートルも掘り下げるのは大変だったが、兄と交代で穴を掘り、それからメリを運んで穴の底にそっと横たえた。お腹とか柔らかい肉の部分に、犬のダニがたくさん食い付いていたので、血を吸って大豆のようになったダニを、メリの仇のように何匹も何匹も引き剥がした。

遠い昔、小学校にも入る前の頃だった思う、兄と穴掘りをした記憶がある。家の裏門の直ぐ外の畑に落とし穴を掘った時だ。誰かを落としてやろうとしたその試みは達成できなかった。見事に土でカモフラージュした上出来の落とし穴が完成し、さあ後片付けと思い、少し先に置いてあったスコップを取ろうと一歩足を踏み込んだ所が落とし穴。掘った自分でも全く周りと区別つかなくなるほどよく出来た落とし穴だったので、結局自分で罠にかかった。墓穴を掘った。それ以来久しいこと深い穴は掘っていない。

父は常に犬を飼っていた。同時に複数匹が庭に居たことがある。私の幼い頃の写真には色々な犬が一緒に写っている。それらが死ぬと大抵は庭の隅や大きな木の下に埋めた。父に代わって初めて犬の墓穴を掘った。兄と一緒に・・・。

父の忘れ形見、メリが父の後を追うようにとうとう逝ってしまった。父が逝ってから3ヶ月。父の居なくなった空間を埋めるかのように我々に気を使う振舞いをしてくれた父の愛犬。「ありがとうよ、メリ。よく頑張ってくれたね。」「さあ、もういいぞ。父を追いかけろ!父を探しに走れ!お前の主人はまだ遠くには行っていない。そして、いつものように父の左側にぴったりついて、いつまでも、どこまでも一緒に歩き続けろ・・・。」

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菜園

2006年06月11日 | セルフビルド-時休自足

関東地方でも梅雨入りが宣言された。

今年の前半は、生涯に一度の体験が集中した。

「救急車事件」以降は、監視付でないと野外活動が許されない。したくても体が思うようにならないので、「森の時間」は休眠状態。

先月、カナダからSさんが来られたので、時間を割いて頂き「森の時間」の初視察を兼ねて、手を借りて何種類かの野菜の苗を植えた。ナスはネギとのコンパニオンプラントを試してみることにした。

その後、背骨から左足の具合が再び悪化してとても遠出する状態でなかったが、野菜の苗が気になったので、制止する奥さんを振り切って佐口の里奥までひとっ走りしてきた。Tomato_1Potato_flowerCabbage_1 

トマト、ナス、ジャガイモ(ちょっと時期遅れ)、キャベツ、とうもろこし。全てが見事に成長している。冬を越した玉葱とエシャーレットも元気よくなっていた。今年はもっと多くの野菜作りに挑戦するつもりだったが、昨年よりも小規模の菜園になった。 RasberryCherry_1 Blueberry

さくらんぼ、ブルーベリーも結実。ラズベリー(キイチゴ)にも沢山花が付いていた。Herb_1 

    冬に枯れてしまったと思われたハーブ類も復活している。  Ayame   

小屋の脇にきれいなアヤメも咲いている。Mizunara_1

もみじと、ドングリから育てたミズナラも生き生き。

池の対岸の「のらくら農場」で炒り豆を譲って頂くつもりだったが、日曜日の夕餉時、休息と貴重な一家団欒の時間にお邪魔しては申し訳ないと思い、立ち寄らなかった。その代りに、峠の八百屋さんで、トマト、小カブ、新ジャガ、ゴボウ、ホウレンソウを仕入れて、帰宅して野菜尽くしの夕食を作った。

この日、関東平野は朝から雨。そんな日は郊外に向かう車が少ない。高速道路の通勤割引(半額)を利用するために、東松山ICで一度出て入り直したりしたが、7時15分に家を出発して9時45分には「森の時間」に到着した。帰りは関越が少し混雑したが、通勤割引が利用できる午後5時-8時の時間帯に東松山IC(950円)を下りて、そのまま一般道で帰った。それでも3時間半で家に着いた。

関東平野は雨。内山峠の関東側は深い霧。長野側は時々陽が射していた。佐久平は日本で一番降雨量が少ない地域らしい。

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