実家の行き帰り、抜け道にしている桜並木の道に沿って「水元公園」が広がっている。梅雨空の下、アヤメが綺麗に咲いているのが見えたので立寄ってみた。
水産試験所の跡地も組み込まれ(Bブロック)、かなり広大な公園になっている。小学校の頃、水産試験所に入り込んで池に網をひといれしたら、鯉の稚魚が一杯入っていた。泥棒?! おまわりさんに見つかったら大変、大慌てで網を持ったまま逃げ出した。その稚魚の何匹かは家の池で大きく育った。両親は何も知らない、私だけの秘密だった。
睡蓮は夜になると花を閉じる。三日間開いて受粉、送粉を済ますと2度と開かない。夜になると 睡眠する蓮だから睡蓮という。ハスは花が咲いた後にできるタネが蜂の巣、蜂巣に似ているから蓮(ハチス)、ハスと呼ぶようになったそうだ。
紫陽花、菖蒲がどんよりした梅雨空の下で綺麗に咲き乱れていた。
父も母も元気だった頃、父は母を連れ出して水元公園に歩きに来たそうだ。車に折りたたみ自転車を一台乗せてきて、交代で歩いて良い汗をかいていたそうだ。2人がそんな意外な微笑ましい時間を持っていたということを思う。水面をしばし見つめていたら睡蓮の花が歪んできた。垂れ込めた曇天から耐え切れなくなった雨滴が落ち始め、私の涙も溢れかけたので、梅雨の空を仰いで涙を止めた。雨が頬を濡らした。