30年来、「高麗神社」の『出世開運』の守り札にお世話になっている。関東周辺の低山
をひとり歩きしていた頃に、その神社にたまたま立寄った。その周囲の風景が暖かく、小じんまりした自然が優しく包んでくれ、両親の家、古里があるような懐かしさがあった。それ以来、海外駐在する前や、仕事が変わるとき、大きな仕事を成し遂げたい時などに、訪れている。家族も何度か巻き込まれ、我が家の小さな「しきたり」になった。
8世紀はじめ、進んだ農業技術を持った渡来人が高句麗から逃れてきて、日和田山の南東の麓の原野の開拓を始めた。その渡来人達の先駆者である「若光(ジャコウ)」が、後に祭神となって祀られた神社が「高麗神社」。近代になると、由緒に惹かれた政治家・文学者・歴史家らの参拝が多くなり、特に、参拝後に総理大臣になる政治家が相次いだ事から、「出世明神」として、各界で一流を目指す人々の崇敬を受ける事になったそうだ。「白髭様」として民衆から親しまれた若光を祀り、「延命長寿」・「病気平癒」を願う人。若光の子孫である高麗氏は59代に亘り、受け継がれたことから、「子孫繁栄」・「子授け」・「安産」を願う人々からも崇敬が寄せられているようだ。
最初に参拝した時に手にした、お財布にぴったり納まる『出世開運』のお守り。願いを持って目標に向って努力し、毎日を真剣に生きる守り札として、以来常に携帯している。今回は家内を道連れに、4月からの新たな挑戦と、これからの己の願いと目標の認識のためにお参りした。
八高線高麗川駅からは、歩いて20分程度。苔むす神社の裏手、落ちたばかりの鮮やかな藪椿。椿は花弁が散らない。丸ごと落下する。神社の隣にある「高麗家住宅」(国指定文化財)の前庭には、名木枝垂桜がある。早くも五分咲き。
神社に参拝した後は、郷の小道を西武線高麗駅までゆったりと歩く。古くから人々が手を加え住みやすく造り上げてきた牧歌的、Picturesqueな風景。生憎の曇天だが、春の明るい草花が映える。![Nec_0084 Nec_0084](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/1b/2a53dcc8cd6f4f65d8d65eabbc4dc6b5.jpg)
駅から西武池袋までは小1時間。ガラガラの電車の暖かい座席に身を預ける。参拝した後のほっとした気分と、散歩の軽い疲れで目蓋が自然に重くなる。隣の妻は既にスヤスヤしている。幸せな時間。