森の時間 SINCE 2002

Le Temps Du Bois

『ビオトープ管理士』と「埼玉県県民環境カレッジ」

2005年06月18日 | 森林・自然・環境教育

「県民環境カレッジ」の今日の講座は、「町づくりマップを作ろう-地域の自然を理解できる地図を作り、まちづくりにおける市民参加のあり方を考える。」というプログラム。次回の「地域の実情を見てみよう。」とセットになっています。

この環境カレッジは『埼玉県生態系保護協会』の 主催です。

日本の環境保全活動をリードし、国の政策に提言する『日本生態系協会』の発起人で現会長の池谷奉文氏は、川口に住んでおられて農薬で死に行く沢山のサギを治療されたことが契機になって、まず埼玉の野田のサギ山を復活させようと生態系保護の活動を始められたそうです。全国規模の「生態系保護協会」の原点でもある埼玉県の活動『埼玉県生態系保護協会』は一番長く活動していて、埼玉県の官公庁、支部による各市町村に対して政策提言をした実績も多々あるので、海外からも視察を受けているそうです。

現在、私が受講しているのは、「最新県民環境カレッジ-実践コース」という、「基礎コース」を終了した人が受講できるコースで、公共事業のあり方からまちづくりまで、自然環境をどう守っていくか、野外実習や野外ワークを取り入れて実践的に学んで、自分の住む地域の自然を守る活動に活かすことを目的としています。

日本生態系協会の主催する『ビオトープ管理士』という、生態系、生態系保護論、環境関連法、土地利用計画を網羅する資格試験制度があります。 私は3年前の『森林インストラクター』合格の勢いを借りて2年がかりで生態系・関連法などを勉強し、昨年この『ビオトープ管理士』試験に合格したので、その盛り上がりを展開させようと思い、この『埼玉県県民環境カレッジ』を受講しています。

月一度の『秩父東大演習林サポーター講習』に加え、週末のこの講習。八千穂の『森の時間』も充実させてゆきたいし、両親の介護もあるので、プライベートライフは大変忙しいのですが、年間の2/3も海外に行っていたような激務から5年前に解放され、マイペースでできる仕事に就いている今だから、こんな充実した時間を過ごせています。 お陰さまです。 感謝、感謝。

今朝、Vaam飲んで5キロを一気に走って来た。3キロ体重が減ってました。でも、先週末もそうでしたが、夜寝るまでには2kgは間違いなく戻ってしまうのです。

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東大秩父演習林

2005年06月14日 | 森林・自然・環境教育

『森林サポーター養成講座』というのを受講しています。

秩父市にある「東大演習林」で行われる、春から秋までに10回の連続講座です。

演習林は、旧大滝村に広がる六千ヘクタールもある冷温帯の植生の宝庫で、原生林、再生林、人工林が混在している。

開講の日は、西武秩父駅から歩いて五分のところにある「東京大学大学院農学生命科学研究科 科学の森教育研究センター 秩父演習林」DVC10023、と呼ばれる長ったらしい名前の事務所に九時前までに集合します。その日の行動予定と簡単なレクチャーを受けた後に、白ヘル(中核、革マル・・・)を受け取り、「東京大学」と書かれた小型バスDVC10037 で大体一時間ほどの山の中に入ります。大体午後三時過ぎまでの野外での講座です。 

講座は火曜日に開催されるので、私は仕事を休んで参加しています。その日は日常とは別世界に身を晒せる日なので、早朝に家を出ることもあって、前の日は遠足に行く前の晩のようにワクワクして早く眠りにつきます。

秩父の山を歩き回る講義が終了し、西武秩父駅から帰宅の電車に乗り東京に近づいてくると、都会では帰宅ラッシュアワーが始まる頃で下り列車の混雑が始まります。 他の乗客が殆ど居ないがら空きの電車のボックス席に体を沈め、疲れた足を対面席によっこらしょして、車窓の風景R0011856 R0011859  を肴に「秩父錦」をR0011852 ぐビーッと飲ったりします。

この演習林での講座は、東大秩父演習林が独自に三年前から始めた講座で、最初の年の応募者数が相当予想を上回ったそうで、一年目に募集して以来、新たな募集はしていないようです。私はやっと三年目に順番が回ってきて、この春から受講しています。今年受講している方々は、やはり私と同じく応募してから三年目に、受講できると言う通知をもらった方達のようです。皆さん私より年上かなあ・・? らしき方が多いようですが、女性は若い方もおられ、どなたも活き活きとされています。

今日は三回目の講座で、テーマは『秩父演習林の植物』でした。秩父地方の極相林を形成する植物相を中心に学びました。

今までに何度か野外・森林の観察会に参加したが、やはり研究課題を持っておられる森林プロの説明は奥が深い。感心させられる事実に、何度も「目から鱗が剥がれました。」 

この地域の極相林の典型は、尾根筋にツガ・モミ林、沢筋にシオジ・サワグルミ、それ以外の養分・湿度条件が中程度にあるところのブナ林、そして養分・水が程々にある一番贅沢な土壌条件の等高線上のケヤキの森が展開しているようです。

P6140003二十名が三班に分けられ、それぞれに講師、大学院の関係者らがついてくれる。

歩き始めたのは十時頃で、昼食休みを三十分程とっただけでP6140004三時過ぎまで、かなり急な斜面・沢を上り下りしながら、講師の方々の熱心な説明を受けました。p6140009 P6140008 一般の人は立ち入り禁止の山なので、原生状態の大きな植生を見ることができました。汗だくになって講義された講師の方々、大変お疲れ様でした。

とても職員の皆さんの足元にも及びませんが、養成講座を終えた暁には演習林でサポーターとして、或いは他の場所で、かけがえのない自然の神秘、力、魅力を人々に伝えてゆきたいと思います。

語る、インストラクトする、講義するは、私の次の人生テーマです。深い知識、技術と体験の蓄積が必要だと思い、今は準備期間です。「準備のない人に偶然は味方しない。」

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好い加減

2005年06月13日 | セルフビルド-時休自足

二期工事に未だ着手していない。

理由はいくつかある。

大きな理由は基礎工事を業者に丸投げしようとしたことで、楽しようという気持ちが目覚めてしまい、結局自分でやることに決めたが、覚悟が定まらなくなってしまった。

shelfDVC10022それと、一つ目の小屋の内部の配置を変えたり、外に「流し」モドキをつくったりして生活環境を充実させている内に、現在ある7畳弱の小屋だけでも快適になってきて、二軒目の小屋の差し迫った必要性が消えつつあった。    

そして、入り口にゲートを作り、DVC10025土地を整理したり、第一農地にジャガイモDVC10015、レタスDVC10035、香草、ハーブなどを育てたり、第二農地を作り出したりしていると、二軒目の小屋を建てる以上に満たされてしまったので、「二つ目の小屋は、まあ来年にでもすんか。」という気持ちになっていた。

     

更に、井戸掘りを先行しようかと考えて、いくつかの業者の方々にも現場に来て頂いて打ち合わせしたりしていたので、二軒目建設は今年の計画から消えつつあった。

でも、二軒目の工事、開始することにした。

大きな理由は闘病している「オヤジ」の体力。 死の淵から甦り、気丈に振舞っているが、会うたびに体力が弱っている。 建設経緯を見せてあげ、それを楽しめる気力と体力がある内に、なんとかもう一つ完成させたいと思った。

がつがつ頑張らずに、身の丈に合わせて 『好い加減』 で進めてゆくのがモットー。しかし、ここはもう一頑張りしてみようと思う。

さあ、次回の「森の時間」は資材の調達だ!

沓石、セメント、砂利などを買って、建設予定の一画で、土地の神に報告とお赦しを得るために地鎮祭もやることにしよう。

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旧友と阿弥陀堂便り

2005年06月07日 | 随想・雑文

七年振りに旧友と会った。W大学の「F語研究会」というサークルの仲間だから、35年来の友人達。長いブランクは全く感じさせず、止め処なく話題が湧き出ます。

酒の席では、ツッコミとボケ役が自然に出来上がる。我々は、体も心の裸も見抜いた仲。だれもがツッコミもボケも、どんな役もこなせるので、配役は話題ごとに変わる。

かつて机上の空論に明け暮れ、日本を、世の中を斜に見ていた我々(私だけかも知れないが)の話題の中心は、日本の良さ、自然の大切さ。日本の自然の価値をどうしたら今の人々に認識してもらい、次の世代へ引き継げるか、・・・。若い頃と百八十度違うテーマを熱く語っていたのでした。それは背伸びしているのではなく、ごく自然な流れでした。

皆、一様に海外暮らしの経験者。インド、タイ、香港、シンガポール、アメリカ、カナダ、ブラジル、リビヤ、・・・・。世界を見て、体で感じてきた人間の語る、日本の自然の深さ、価値には説得力がある。

阿弥陀堂の話題になり、『阿弥陀堂だより』の南木佳士(なぎけいし)は、佐久総合病院の院長で、我々と同年代であることを知った。

お医者さんで物書き家と言えば、森鴎外、北杜夫、北山修(フォーククルセダーズ)、渡辺淳一郎、等々。

『ふいに吹く風』は南木氏の最初のエッセイ。人心の底まで下りることが出来て、『死』が現実になっている人々と接している立場の人の表現には「優しさ」がある。76のエッセイ、全てが心に沁みる。

『阿弥陀堂だより』は、生きることの感動を思い起こさせてくれる。第二次大戦後、一度も止まらずに走り続けてきた日本の社会が、全体に息切れをしている。そんな時、自分が“生きている”ことをもう一度考え直すために、奥信濃に帰ってきた夫婦。遠くを見ることを忘れてしまった我々に、もう一度考えるきっかけを与えてくれる。

子供達と明るく集う夕暮れの帰り道。楽しいはずのひと時に、山際は暮れなずむ夕日に悲しいほどの紅色に染まる。思考を煽る加古隆のピアノの旋律。

死者を守る「阿弥陀堂」に生活する老婆、おうめ婆の言葉、

「畑にはなんでも植えてあります。ナス、きゅうり、トマト、かぼちゃ、スイカ・・・・。そのとき体が欲しがる物を好きなように食べてきました。質素なものばかり食べていたのが長寿につながったとしたら、それはお金がなかったから出来たのです。貧乏はありがたいことです。」

「春、夏、秋、冬。 はっきりしてきた山と里との境が少しずつ消えてゆき、一年がめぐります。人の一生とおなじなのだと、この歳にしてしみじみ気づきました。お盆になるとなくなった人たちが阿弥陀堂にたくさんやってきます。迎え火を焚いてお迎えし、眠くなるまで話をします。話をしているうちに、自分がこの世のものなのか、あの世のものなのか分からなくなります。もう少し若かったら頃はこんなことはなかったのです。恐くはありません。夢のようで、このまま醒めなければいいと思ったりします。」

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森林インストラクターになる勉強

2005年06月04日 | 森林・自然・環境教育

森林インストラクターとは、

「森林を利用する一般の人々に対して、森林や林業または自然についての知識を与え、森林などの案内や、フィールド内での野外活動の指導を行う者。」

分かり易く言いますと、森のできるだけ沢山の生き物や、ニングル達からのメッセージが理解できるようにお手伝いをする、インタープリター(通訳者)の役割だと思います。

この資格だけで生計を立てている方は、私の知る限りでは全国で多分お一人かお二人。そういう類の資格ではありませんので、凡人が生計をかけてはいけません。

そもそも、自然は人の関知できない天からの恵み物なのです。そういう自然を人間の欲望に利用するにはそれなりの覚悟が必要だと思います。ギルガメッシュ大王は森の精霊フンババを征伐してしまい、チグリスユーフラテス地域に永年続いた文明が滅びました。

森林インストラクターの資格試験は、(社)全国森林レクリエーション協会が農林水産大臣の認定実施団体となって、1991年(平成3年)から実施されています。年に一度秋の試験(一次・二次)に合格し、協会に登録すると『森林インストラクター』の称号が与えられます。

神奈川県のように各都道府県認定の森林インストラクター制度もあります。

現在、全国森林インストラクターの数は約2千人位だと思います。私の登録番号は、平成15年1月1日登録で、1452番でした。

森林インストラクター試験の対象領域は、次の4分野に分けられています。

1)森林 : 

   ・森林の生態

   ・樹木、森林の動植物

   ・森林の地質と土壌と水分

   ・森林の法令

   ・森林の観察

2)林業

   ・山村と農林業

   ・森林の効用

   ・森林の育成と管理

   ・森林の保全

   ・木材および特用林産物の利用

3)森林内の野外活動

   ・自然体験活動の概念

   ・野外活動の指導法

   ・キャンピング

   ・ネイチャークラフト

   ・野外ゲーム

4)安全および教育

   ・山の安全、救急処置法

   ・環境教育と自然保護

   ・森の民俗学

   ・指導技術・企画の立て方

   ・人をひきつける話法

適切な参考書はないので、それぞれの分野で体験し、独学するのが基本ですが、協会が行っている高尾山での野外実習を伴う延べ8日間ほどの養成講座があります。そこでは森林インストラクターになるのに必要な最低知識、および技術に触れることが出来ますので一般の方にはお奨めです。講師の方々は各分野の日本の権威者で、試験問題の出題者でもあるので、その年の問題の傾向が掴めます。また、講習を終了すると、自然体験活動推進協議会が認定する『CONEリーダー』の称号を申請により取得することができます。

林野庁の関係者とか林業科の学生さんとかでなければ、この講習と独学だけで試験にパスするレベルまで知識を深めるのは困難だと思います。所沢のくぬぎ山で実習と講座を開設している『里ネット』はメルマガも送ってくれます。知識、洞察力を深め、試験にも大変役に立ちます。『自然文化の会』の通信教育は、毎週のようにポイントを捉えた講義資料を送ってくれ、問題がたっぷりと出され、丁寧に添削してくれるので、大変お奨めです。受講者と合格者一緒に野外実習もやっています。大変役立ちました。今もお世話になっています。

森林インストラクターにせよCONEにせよ、はてまた巷の『XXX士』は、取得しただけではだめです。取得してからの行動・実践が重要です。言うまでもありませんが。

さて、試験問題ですが、一次試験はいずれの分野も選択問題や穴埋め問題は僅かで、殆どが300字から400字の記述式問題です。

<例>

「二次遷移について、稚樹が発生してから老齢木になるまで、森林の構造はどのように変化していくか、あなたの生活場所付近の植物を例にとって4百字以内で説明してください。前生林はどのような条件であったかをことわってから説明してください。」

「森林の持つ水源涵養機能と土壌の関係について4百字以内で説明してください。」

「きのこの発生場所をあげ、そこに生える代表的なキノコ名を引用しながら、知るところを述べなさい。」

「ポドソルとは何か。2百字以内で説明して下さい。」

「「神社の依り代」について、3百字以内で記述してください。」

「森や水に対する日本人の信仰的心情について、3百字以内に記述してください。」

「組織キャンプを行う場合に必要な主要な三つの役割を担う係りの名称をあげ、それぞれについて百字以内で説明してください。」

「林業経営を目的とした森林施業によって、森林の公益的機能が高度に発揮される例を3百字以内で説明してください。」

「温室効果と森林の関係について、3百字以内で説明して下さい。」

「止血帯使用上の注意を記述して下さい。箇条書きでも構いません。」

「山でバテないために、どのようなことに気をつけたらよいか、その方法を詳しく記述して下さい。」

といったような、漠然とした設問が多いので、限られた時間で何をどのように構成してまとめるかがポイント。インストラクターに求められる即興力、分かり易く簡潔にまとめ表現する力が問われる。なんと言っても、文章力と早く綺麗に書き上げる能力が必要です。考えている時間はありません。問題を見たら、漠然とした設問だけに自分で結論の方向を定め、試験が終わったらビール飲むんだなんてことは忘れて、一心不乱に書き連ねることです。書いて書いて書きまくって、時間ぎりぎりまで書き上げ続けるのです。また、専門知識が求められるので、専門用語を多く使用すると印象がよく、高い点数になるようです。「木の上」は『樹冠』、「遷移でははじめにタンポポなどが生え・・・」は『遷移初期段階ではタンポポなどの草本が侵入し・・・』などのように表現することです。それと、400字以内とあれば、350字以上は書くこと。体験、学習して知っていることは全て書くことです。

受験すると決めたら、外出するときは樹木図鑑は必ず携帯する。類似樹木の特徴と判別の仕方は必ず出題されます。本州の在来種50種類くらいは覚える必要があります。

参考図書は多々ありますが、私がお奨めするのは以下です。

これらを熟読し、過去の問題を参考に自分で変化させた設問を作り、表現を変えて何度も回答を升目に埋める。そうやって練習したノートが4冊と携帯サイズの原稿用紙が2冊ほど残っています。そうとう入れ込まないと合格出来ないと思います。

一次試験の合格率は15-20%です。

二次試験は面接と実技ですが、養成講座受講した人は実技は免除されます。実技で緊張して目が眩んでコナラとミズナラを間違えたりすると、不合格になります。

「森との共生-持続可能な社会のために」-藤森隆郎   森林の入門バイブル。試験問題の出題者。

「写真物語森の生態系-森のシナリオ」-西口親雄

森林インストラクター-森の動物・昆虫学のすすめ」-西口親雄

「森の何でも研究」-西口親雄

「樹と森のものがたり」-西口親雄   西口氏も出題者

「環境と文明の世界史-人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ」

-安田喜憲+石弘之+湯浅赳男

「ことわざの生態学-森・人・環境考」-只木良也

「森と人間の文化史」-只木良也

「森の文化史」-只木良也  類似したタイトルだが、内容は異なる。

「森を創る 森と語る」-稲本正

「森をつくる人々」-浜田久美子

「生態系を蘇らせる」-鷲谷いずみ

「雑木林に出かけよう」-八田洋章

「日本の森はなぜ危機なのか」-田中淳夫

「いちばん大事なこと」-養老孟司

「木材なんでも小事典」

「植物はなぜ5000年も生きるか」

「森林の100不思議」

「森林の手入れ基礎知識」-(財)日本緑化センター

「楽しもう森林レクリエーション」-(財)全国森林レクリエーション協会

「すぐわかる森と木のデータブック」-日本林業調査会

「林業白書」

「高尾山 花と木の図鑑」  野外実習の登竜門「高尾山」の樹木・林床植物の図鑑。充実している。

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団塊世代による森林インストラクター

2005年06月03日 | 森林・自然・環境教育

昨今、私の周囲に「森林インストラクター」に興味を持ち、その資格試験に挑戦してみようという方々が、散見されるようになりました。

4年前、私がこの「森林インストラクター」に関心を持ち出した頃は、相手変われど、場所が変われど、酒呑み話としても話題にしてもらえることは殆どありませんでした。

団塊の世代とその尻尾のような我々の世代の大多数は、不況とリストラの嵐に重く憂鬱な日々を送り、自然や田舎に憧れの気持ちは抱くものの、相変わらず経済至上主義の紅衛兵として日本経済と企業のために邁進し、物的な快適さだけを追求する都会の似非安楽生活の虜になっていましたね。

高度成長が始まるまでの、日本人の精神性を象徴する自然、森林、四季の生き物と共生した頃の豊かな感情、自然の摂理や物事の本質を理解する心は、物的充足の快適さに中毒している現代人から消えてしまいそうな気がします。

宇宙に浮かぶ地球、その表面の閉じられた空間に形成された生態系は無限ではありません。関数的な成長は続きません。大量生産、輸送、消費、そして廃棄、物的な快適さだけを追求する生き方は必ず破滅します。現代の文明は、過去の人類の英知や科学が危機を乗り越え、各人が選択して生き抜いてきた結果作り上げられたのですから、次の文明を作るのは、今に生きる我々、一人ひとりの選択と行動です。

「森の生活」を著したソローは言っていました、

ひとりひとりが次に何が起こるかを読み、今起きていることを深く洞察して、未来に臨む人にならなくてはなりません

体制、政治をただ批判するだけ、世に絶望したり、人任せにしたり、ただ座視、傍観していはいませんか ?

団塊の世代が会社組織から離脱することが秒読みに入りました。戦後のイデオロギーの衝突にもまれ、議論好きで行動したことがあるその世代の一部の人達の考えや行動に少しずつ変化が起こっているように感じます。

動きましょう。ひとりひとりが出来ることで行動しましょう。それが我々世代の使命だと思います。

私は5年前、26年間勤めた某商社をブラジルで退社し、日本に帰国してからの一年余りは、10数年ぶり関東周辺の低山の山歩きに夢中になっていました。

急な登りに呼吸が合うようになると、新鮮な酸素が脳ミソに送られたようで、色々なことを考えました。半生の日々、交流した人々、挫折と達成感、妻、子供達、両親、あの時、あの場所、今の問題、明日への希望と夢、新たな人生目標。かつて山歩きしていた頃とは思考が変わっていたし、自然を見る視点も大きく変化していました。そして、ピークハンターになって、ただ漫然と歩くだけの山歩きに疑問を感じ始めました。

中近東、北米・南米、豪州、中国、他の国々の単調な自然を見てきた私の目に写った、日本の国土の豊かさ、深さ、多様な植生、山村風景、純朴な人々、伝統、八百万(ヤオロズ)の神々、「もっと知りたい日本」が私の知的好奇心を激しく揺さぶっていたのです。

  フォトアルバム「Le Temps du Bois」の表紙にメッセージ。

「国敗れて、山河あり。」

この国の農耕文明と戦後の復興を支えた森林。今でも国土の67%を覆う森林を理解すれば、日本の伝統、日本人の原点に地被けるのではないかと思いました。その時、目にしたのが『森林インストラクター』という言葉でした。

最初の一年程は森林に関する本や植物図鑑を手に取った程度で、たまたま川口駅前の読売文化センターに講座があったので週一回の講座を3ヶ月程受講しました。講座は受講者は2人だけでしたので、講師をされていた、この道の権威で「里ネット」を創成されたO氏やK氏にマンツ-マンで触れることが出来ました。講座は「森林インストラクター」受験を目標にしていたのですが、私は資格取得には関心がなかったので、のんびりと受講していました。

半年程経った頃、目標を設定して勉強することが知識習得の早道だと思い、2002年秋の「森林インストラクター試験」の合格を目標に、講習会などにも参加し、森林インストラクターそのものになることを目指して、真剣に勉強を始めました。その時、受講したのがW氏が主催される「自然文化の会」。講座には7名の受講者がいました。私は三番目の年長者でした。毎週土曜の半日の講座に半年通い、適切な講義・教材と結構な量の宿題と野外観察会のおかげで、見事一発合格しました。その講座からは、年長組3名と若い女性の薬剤師さんが合格しました。平均合格率が15-20%ですから、「自然文化の会」の講義修了者は真剣だったのです。

一次試験全4教科の合格通知が届いたときの喜びは忘れられません。あのときめきは人生で初めての体験でした。

二次試験では、森林と縁のない普通の勤め人が一次試験を一発合格したので、面接試験官に賞賛されました。その言葉に気を良くして、どのような活動をして行きたいのか、等の質問に大きな夢を語ってしまったような記憶があります。

資格を取得してから、まもなく3年経ちます。インストラクターの活動は殆どしていません。協会に叱られそうです・・・。

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饗宴と雨

2005年06月01日 | 随想・雑文

今シーズンは、F蔵会の仲間にも《の時間》を過ごして頂くことを計画している。F蔵のマスターにも是非参加して頂き、クッキングを充実させたい。マスターは、河岸の仕入れで早起きは慣れっこでしょうから、出来れば5時半頃に私が神楽坂までお出迎えし、その後6時頃に武蔵野線の新座駅で他の方々をピックアップすれば良いでしょう。

午後からゆっくり出かけて、一泊するほうが楽しめるので、参加者の都合次第で一泊もオプションにしましょう。その方が運転手さんも、安心してビールが飲めます。もう一台車があれば、都合に合わせて自由に登場、帰宅されても良いと思う。

饗宴の予定は梅雨明け、7月中旬頃にしましょうか?

もっとも佐久平からあの辺りは、日本で一番降水量が少ないそうで、あまり雨が降らないので、梅雨の影響は小さいと思うので、梅雨にとらわれずに皆さんのご都合で日時をきめたいと思います。

ところでわが国土の降雨量はご存知ですか。

平均年降雨量は約1700ミリ、つまり37万平方㎞の大地の隅々に成人男性の背丈くらいの降水量、6300億トンが降り注いでいることになる。しかし、その内、5000億トン以上の水は、そのまま海に流れてしまう。それは平坦な大地の大陸のように水がゆったりと留まることなく、山岳列島の河川は急で、顕著な四季が秋の台風や冬の豪雪のように季節に偏して降雨を集中させているからです。

水を有効に利用するのには、季節的に平均されて流れていることあ重要です。そのためにわが国では、水力発電も兼ねるダム造りが盛んに行われてきた。しかし、ダムは自然、山村の人々の生活、日本の伝統までも奪い取ってきた。しかも、大都会東京の水源として集中的にダムが建設された利根川源流域でも、年間降水量94億立方㍍に対して、ダムによる有効貯水量は3億立方㍍しかないが、流域の森林が貯える水は43億立方㍍にのぼると計算されたそうだ。

そこで、『ダム』としての森林の働きがきわめて重要になる。

では、何故森林が『ダム』なのだろうか。

奥多摩の山々を歩いていて一番目立つのが水源涵養林という保安林です。

次の機会には、樹冠に降った雨が蒸散・蒸発しながらも、どうやってゆったりと流れ、生物が利用し、海に注ぎ込むかについて触れてみましょう。

キーワードは『団粒構造 』と『浸透能 』。

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