森の時間 SINCE 2002

Le Temps Du Bois

「緑化の視点から外来種・在来種を考える」

2005年08月31日 | 森林・自然・環境教育

2005年度「市民のための環境公開講座」の8月30日の講座は、都市緑化における外来種利用の必然性と妥当性を評価する、という「撲滅、外来種!」に逆行する持論を展開する大変ユニークな講演でした。

セイタカアワダチソウの有用性、在来種による地域固有の景観造りは幻想、「特定外来生物被害防止法」の運用は慎重に、等々、都市生活者の利便性と自然を克服し利用しようとする人間主体の発想です。講演者は、東京農業大学造園科学科の都市緑化技術研究室の近藤三雄という、都市の緑化、道路建設の緑化に長年携わって来た方です。さすがに日本全国に外来種を導入すべきとは言わず、都市と地方での手法は違う、都市部での緑化に外来種が適していると言う説明だが、地方と都市部との境界が定かでない。外来種は在来種の植生が根付いている地方には侵入しないというが、その根拠が論理的でない。地方の自然公園の外来種の花壇は人集めに成功している等と賞賛したり、多々疑問のある講演でした。公共事業に乗じて、そんな持論で都市化を推進してきたが、逆風が強くなってきて、しきりに正当化を図っているという印象でした。

色々な意見があって、議論され、社会が改善され進歩する。

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芸は身を助く

2005年08月27日 | 随想・雑文

サンフランシスコの坂の上の歴史を感じさせるホテル。古く重厚なバーで、連れが突然ピアノの弾き語りを始めたことがあった。「I left my heart in San Francisco♪・・・」。外国に駐在していた頃、例えば主管者宅でパーティがあって、外人のお客さんも招待する。そんな場でも、無粋な印象の同僚が突然ピアノやギターを奏で始めることがある。そうすると翌日の商談がスムーズに進んだりする。ある時、新宿御苑前のナイトクラブで、趣味はせいぜいゴルフで「仕事の鬼」と信じていた上司が突然ピアノを弾きだしたことがあって、目から鱗が剥がれ落ちた。その上司の教養の深さに感銘し、その後は、私にとって「仕事の神様」の存在になった。

言葉が通じない、意見が違う相手にも音楽は通じる。世界共通の言葉で、喜びも悲しみも表現できるし、雰囲気を和ませ、人々の心をひとつに出来る。たまたまその場にある楽器なんかを手にしてメローディを奏でることが出来れば、最大級の尊敬と好意を受けるだろう。楽器で表現すると言うことは、ただ目立つために品の無い芸やおどけて笑いをとるとかの瞬間芸ではない。それは、年月をかけて修練、努力しなければ身に着かない技術だと思う。

子供達に手軽な楽器の演奏を勧めた。R0011025

mika2005娘は小学校に入ってからピアノを始めた。それなりに頑張って、定期的に発表会にも出ていた し、 中学校ではクラス対抗のコーラスコンクールのピアノ奏者などにも選ばれている。

私の学生時代、ギターはほぼ誰でも出来る楽器だった。当時のフォークであれば、今でも楽譜見れば弾ける(と思う)。息子には高校の頃にギターを持たせた。少しだけ教えてあげたら、家の近くのギタースクールに通っていた。そして、大学に入ったら「合唱部」に入った。カラオケがあれば誰でも歌は歌える。しかし、鍛えた歌い方は違う。学生時代にグリークラブで活躍した同僚がいた。彼の「Feeling」は心に沁みた。今もそのメロディーが流れると彼しか思い出さない。若い頃に時間をかけて基礎を学び、鍛えられた歌は違う。R0012321

息子の合唱団のサマーコンサートが栃木県のU市であるというので、行ってみた。 コーラスはまさしく共同作業。みんなのハーモニー。与えられた持ち場を精一杯努めないと、作品が完成しない。1人1人の小さな力が大きなものを創り上げる。若者達が、共同作業、達成感に感動していた。終了後の団長さんの感激、感涙。精一杯一途に頑張った青春時代、遠い学生時代を思い起こさせてくれた。

こんな青春時代の一所懸命、人との共同作業を成し遂げた達成感や感動が、その後の社会生活、人生の困難・苦境をを乗り越えさせてくれるのだ・・・。 

フレーぇ、フレーぇ ・・・・ !!!

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演習林サポーター

2005年08月23日 | 森林・自然・環境教育

久しぶりの演習林サポーター講座で、秩父に行った。

正丸峠のトンネルを抜けると、RedArrowの窓に横殴りの雨。秋雨前線が台風11号に刺激されているようだ。西武秩父駅に着いたときには、雨は止んでいたが、演習林の方面は雲が垂れ込めていて山影が見えない。

秩父駅から歩いて5分ほどの演習林事務所で資料をもらい、本日の予定の説明を受けてから、いつもの「東京大学」バスに乗り、大血川作業所に入る。今回のテーマは「森林生態系の管理と利用」。それと、森林の分解者としての土壌生物と水棲昆虫の採取と観察の実習が予定されていた。土壌生物採取(ツルグレン法)は土が雨で濡れているので中止。R0012283

渓流は増水していなかったので水棲昆虫を採取し顕微鏡で観察した。 水中の岩を起こし下流に置いた網の中で小石・砂を受けるように掬う、ムカシトンボの幼虫、カゲロウ目、カワゲラ目、トビケラ目、ハエ目の幼虫が結構入った。それらを、どんな種類か、どのような構造になっているかを顕微鏡で観察する。顕微鏡を覗いたのは何十年ぶりだろう。これらの水棲昆虫は渓流の生態系の分解者。渓流の水の中の生態系ピラミッドの頂点に居るのはイワナ。だjからイワナがいる渓流は健全で、イワナは豊かな渓流のシンボルなのだ。

掬うの手偏を取って草冠をつけると「きく」という字に、手偏の代わりに革や毛をつけると「まり」という字になる。右の部分は丸い球体を表す意味。だから「キクさん」は丸くなくちゃいけない。

午後は、大血川沿いの道に行き止まりまでバスで行き、そこから歩いて、二次林、天然林R0012305R0012294R0012297の遷移、森林管理や生態系を観察しながら下山。

間伐した樹齢90年のケヤキの二次林。鹿が幼樹を食べてしまうので次の世代が育たない。 右隣の写真は樹齢95年のスギ。密生した人工のスギ林と違って、ここは余裕の空間。これが本来の自然のスギの姿。雪国育ちの日本独特のスギは特に春先に水気を好む。

R0012296イワタバコ。てんぷらで美味しいらしい。野草ブームもあって、心無い人が盗掘。日本中の山野から激減している。

この大血川地区は、かつて炭焼きが盛んだったそうで、山の奥のほうまで二次林が広がっている。萌芽更新のサイクルに合わせて移動しながら炭を焼く。これが持続する生態系の伝統的な利用と管理方法。

炭焼き窯には、白炭窯と黒炭窯それと木酢液を採る蒸留窯がある。白と黒の違いは、木をどこまで焼いて、セルロース・セミセルロース・リグニンを分解するかの違いらしい。黒炭は600-800度程度で火を消すので、リグニンは分解されないが、白炭は1200度まで上げるのでリグニンも分解される。黒炭の場合は窯を密閉して4日程放置、酸欠にして火を消すが、白炭はまっ赤になっている炭を外に出して消し粉で酸欠状態にして火を消す。だから黒炭は密閉度が必要で、粘土で隙間を埋める窯を使う。白炭はしまっていて、叩けばキンキンする。備長炭である。白炭は持ちが良い。ウバメガシだけが適しているわけではない、焼き方で白炭ができるのだ。

プログラムの一部が雨で中止になったので、講座はいつもより一時間ほど早く終わった。

道中、秩父神社の近くに住んでいる方とお話ししていて、「秩父の夜祭り」の秩父神社に行ってみたくなったので、ちょっと足を伸ばした。R0012308 鬼門を護る青龍、左甚五郎の「つなぎの龍」というのが本殿の東面に彫ってある。R0012311 これを鬼門に奉祀すれば、家内の安全と子孫の繁栄。そんな説明を目にしてしまうと、すぐに欲しくなる。お札とお守りはいくらあってもいいそうなので、早速、つなぎの龍の絵馬を買った。お守りの類は、直感でピンと来たものは、悩まずに買うことにしている。絵馬のヒノキの香りが鼻から脳に抜ける。いつの間にか雨は上がっていた。西の空を見上げれば、うっすらと太陽が見え出し、空が明るくなっている。

少しだけ好い気分になって、帰りの電車で地酒をグビッっ。R0012313

「自分の人生は自分で創造する。」 今日も充実した一日だ。

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地方行政・公共事業の現場

2005年08月20日 | 森林・自然・環境教育

今週末は「森の時間」には行けない。

土曜日は埼玉県生態系保護協会の環境カレッジ実践コース第6回を受講し、日曜日は父の看病。ほぼ2ヵ月ごとに2-4週間の入院。あの時から何度目の入院だろう・・・。体はだいぶ弱ってきているが、気力は維持している。主治医さん曰くは、立ち上がれないほどかなり重態なはずだが、気力で立ち上がり、話すのも苦痛な程に声がかすれているが、絞りだされた厳かな一言が身に沁みる。気丈さを失わない父。人間の生き様を体で教えてもらっている。

明日、家でゆっくりできる時間があれば、久しぶりにVaam飲んで6km走って来よう。体重3kgは減るだろう。でも2日もすれば元に戻る。うっかりすると以前より重くなる。この繰り返し。

環境カレッジ実践コースは、「地方行政・公共事業の現場を見よう-自然環境を守る事業にどう取り組むか」というテーマ。見沼田圃周辺での首都高建設、第一調節池、埼玉スタジアムの現場で見学。快適な大型バス。乗っている時間はせいぜい2時間程度だが、今日はちょっとした夏休みの観光気分。

日本の物質消費量は20億トン。7.5億トンが輸入資源と製品。国内採取資源は12.5億トン。そして産業廃棄物が4億トンで個人の出す廃棄物が0.5億トン。リサイクル利用されるのは2.1億トンだそうだ。数億トンの廃棄物が毎年積み上げられている。3Rというスローガンがある。買わない・使わない「Refuse !」はスローガンに入っていない。Refuseしていれば、生活がスリム化するし身軽になれる。そして、老後の生活費の心配なんかもなくなります。

埼玉スタジアムは年間維持費6億3千万円、収入が1億5千万円しかないので毎年4億8千万円の赤字になっている。スタジアム建設費は880億円。周辺の自然・農地320haは更地されている。ここに3万2千人が暮らす「国際アメニティータウン」を作る計画だそうだ。自然環境・生態系の大切さ、少子化・人口減が明らかになっても、未だにこのような無駄な事業が進んでいる。

見沼田んぼを突っ切るように首都高速道路が延長されている。何故、首都高が埼玉の田んぼに? 4レーンで越谷まで伸ばす計画だったそうだが、大宮副都心以降は2レーンになり、見沼田んぼまでの長さに短縮された。でも、要らない道路。どれだけ利用されるのか。景観阻害を軽減したり、道路下にビオトープ(日陰でも水があれば生態系が維持される)を残したり環境に配慮しているそうだが、無いほうがいい。経済成長の右肩上がり、人口の増加を前提として遠い昔に計画された事業。一応規模縮小、見直されているが、公共事業主はメンツを守るかのように実現させる。埃っぽくて、雨が降れば泥濘になったかつての日本の道路は、今ではどこもかしこも舗装され単位面積当たり世界一。路面のみならず周辺もアスファルト・コンクリートで固められ、法面は成長の早い外来種が撒かれ、日本の自然は急速に消滅している。アメリカでも韓国でも主要道路・ハイウエイを潰して川や自然に戻している。ドイツでは渋滞解消するために道路を狭くして更に渋滞を煽るそうだ、そうすると人々は車を諦め、公共交通機関に戻るようになり渋滞がなくなっているそうだ。日本中で相変わらず道路が真っ直ぐにされ拡張されている。地域ごとに個性のある趣きある町並みがどんどん消えてゆく。地方都市に行くと駅前や郊外の風景がどこも同じようになっている。地域の個性を蔑ろにする、そんな画一的な国にしてはいけない。地方の多様性を維持することは国の安全を守ることになる。日本の風土で培われた『森林文化』の感覚を取り戻しましょう。

自然環境、文化の多様性を守る事業にどのように取り組むかを考える講座でした。

                今朝、家を出るなり奥さんからラブコール。何の用じゃいなR0012278、とニヤリと携帯取れば、「あなた、帽子忘れてるわよ。」「ありゃー・・・!」 奥さんの強いお薦めを無視して、無くても大丈夫とか強がったのだが・・・。脳ミソが沸騰するかと思うほどのカンカン照り。日陰の無い畑道を結構歩くことに。埼玉県生態系保護協会の管理する「見沼自然の家」に到着して一息。日本式民家と屋敷林を抜ける爽風にホッと。

奥さんは正しい! 投げキッス・・・ (^3^)ー

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秋色ー日本の森林文化を思う

2005年08月17日 | 森林・自然・環境教育

木陰で森の風に涼む。ふと空を見上げると秋の雲。R0012270

いつの間にかススキに穂がつき、ヤマハギは可憐なピンク色の花を咲かせ、草むらにはマツヨイグサの黄色が乱舞している。そして、耳を澄ませば、風の音に隠れていた蟋蟀があちらこちらで鳴いている。マツヨイグサの仲間は全て外来種。高原に良く見られるのはオオマツヨイグサ。夕方薄暗くなったころ、折りたたまれていた花びらがだんだんほぐれ、見ている前でふわーと開く。オオマツヨイグサはアレロパシー(多感作用)が強く、他の植物が育たない。高原の奥でも在来種が危険に晒されている。日本の原風景が消えてゆく。

R0012245 R0012265 R0012267R0012246短い一生を終えた蝉が静かに横たわる。大きさと外観からすると、カナカナと鳴くヒグラシ(蜩)だと思う。

夏の生き物のざわめきは日毎に遠く聞こえるようになり、豊穣な秋が赤や黄色の衣装をまとい始めている。秋はすぐそこまで来ている。 「小さい秋、小さい秋、小さい秋見ーつけた♪」 

四季に生き、四季を愛でた日本人の自然感覚は、自然の恵みを無駄なく利用し再生する日本特有の文化を形成していた。

文明によって森林が破壊され地上に頼るものはない荒廃した地域から、ユダヤ・キリスト・イスラムの一神教が生まれた。天上の絶対神のみを頼り、自然は克服の対象になった。日本には、折々の四季があり、1.3億人が暮らせる水を供給する森林がある。森林の価値・機能は75兆円という試算があるらしい。これは日本の国家予算の規模だ。しかも再生する資源だ。

戦争で焦土と化した日本は、奇跡的な復興を成し遂げ、経済大国になった。それを実現してくれたのは、森林が提供してくれた水資源と、稲作農耕文明で培われた「一所懸命」、辛抱強い日本人の精神。日本中どこにいても、何でも欲しいものが手に入る便利で豊かな社会になった。しかし、陽の部分があれば陰の部分がある。経済至上主義の陰で、国土、自然、森林、生態系が破壊されていた。道路は舗装され、沼・湿地は埋められ、雑木林は産業廃棄物の捨て場になり、川・渓流はコンクリートで固められた。どこまで便利で豊かになればいいのでしょう。日本は、日本人はこの先を何を目指すのでしょう。

森の文化を形成した日本人の遺伝子は、現代の我々の体にも受け継がれている。国土が破壊されても、日本の豊かな四季は繰り返し、生き物も躍動している。

日本人の自然感覚を呼び起しましょう。

森を守るということは、日本の国土を守るということ、日本そして日本人のアイデンティティーを守るということ。

そして、それは日本を守る『力』だと思う。

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森の精霊

2005年08月16日 | セルフビルド-時休自足

第二小屋の建設を始めた。

13日(土)、帰省ラッシュに巻き込まれないように5時半に家を出発。6時前のラジオの交通情報では、関越自動車道の東松山ICの手前で渋滞が始まっている、と伝えていた。東松山ICまでは、いつも通り一般道。若干普段より時間がかかったが1時間10分ほどでICを通過。関越の3車線を埋めた車列はゆったりと進んでいる。お盆だから家族連れ中心かと思いきや、私同様の一人の旅人が多い。それと、熟年カップル。一人のドライバーが多いのは何故? 早めの旅立ちだから身軽な独り身の旅人が目立つのか、結婚しないの人が増えているためか、離婚した独り身が増えているのか。或いは私のように・・・。勝手な想像をめぐらせる。

R0012206 九時半頃に到着。まず、焚き火。R0012196ポリタンクの水を定位置に置いて、徐々に作業を始める。早速、穴掘りから取り掛かる。今回は一回り小さい小屋なので、基礎は12箇所。40-50cm程掘る。夏の太陽がギラギラしてくると、一つ掘るごとに一息、水をがぶ飲み。

R0012204 10程の穴を完成させたころに、小屋の材料を載せたトラックが到着。梱包は二つだけ。R0012202

基礎固めをするコンクリート用の砂利が足りないことが分かったので、初日は沓石の位置と「遣り方」による水準合わせに専念することにした。息抜きには看板の手直しR0012234 や、第一農地に次の作物のために石灰の漉き込みをしたりして大汗流した後の冷えたビールを何度となく楽しんだ。ジャガイモとレタスを収穫した第一農地にはタネからホウレンソウ、ミツバ、コマツナ、シュンギクなどを育ててみようと思う。

人里離れ山の中で一人ぼっち。事故が起こったら、何かに襲われたら、誰もいない、助けてくれない・・・。そんなこと考えたら、恐怖で失禁して、大声上げて逃げだしそうなので、孤独を感じた時にはビールの酔いで思考を麻痺させたりする。木陰の心地よい風、すぐそばまでやって来て話しかけるような小鳥の鳴き声、体の芯まで染み入るような油蝉の合唱に意識が朦朧としてゆく。

R0012235 夕食に少しだけ時間をかけ、FirePitを利用してにんにく、玉葱、キムチ味のイカ、そして信州産の鱒などを焼いてみた。鱒は、先日友人の蓼科のS邸でご馳走になって、これは焼くのに最適と思った。

陽が落ちると地上は一気に暗闇になる。青白く残る空に森の影が黒の生き物のように不気味に伸び上がる。すると、森の闇に潜んでいた精霊たちが一斉に現れてすぐそばの闇まで忍び寄ってくる。そんな感じがしたら、精霊達の姿が見えるようにビール、ビール、ビール・・・。朝まで一緒に過ごせる勇気がつくまで、更にビール、ビール。真っ黒なシルエットとなった木々の間から、ススキの陰から、石の向こうから、小屋の裏側から、形のはっきりしない生き物、精霊のようなものがこちらを窺っているのが見え始めたら、もう大丈夫。森の何万という精霊に受け入れられたのだ。森が夜に変わるときに一人ぼっちは、いつになっても怖い。夜の森の精霊と交流ができるように、日頃から生き物は殺さないようにしている。草を毟るときも、木を切るときも、蜘蛛の巣を払うときも、「ごめんな」。

翌朝、いつもの鳥の鳴き声で目が覚める。4時55分。あのカッコーは同じ鳥・・・?R0012215

勢いよく目覚めるが、まだ眠いし、昨晩のアルコールが抜けきっていない。小便しに行くついでに寒暖計をみる。18度C。昼行動しているのであれば最適な温度だが、寝ているときは涼しかった。タオルケット一枚では寒くて、無意識に毛布を引っ張り出していた。

R0012223

R0012220小屋の組み立て作業は2度目の体験なので、手引きもみることなく作業は順調。

マスクをして土台にするログに防腐剤を塗った。そのログの配置と水平が確認できたら、壁ログを一気に組んでゆく。何本か上下に歪曲しているログがあって隙間をなくすのに苦労したが、時間が経てば重みでぴったり納まるようになるだろう。R0012224R0012249  丸2日で基礎から小屋の組み立てと屋根板張りまで完成した。R0012229

その直後に雨がぱらつき出し、今回の作業の一区切りとして、屋根にビニールシートをかけた。R0012251   

R0012253R0012254

次回は床下作業、床板張り、二重屋根、更に出来れば建具を入れる。そこまでやれば、後は塗装だけになる。

昼時、砂利や食べ物の買出しに下の町までドライブ。

全てやりっぱなしで、戸は開けっ放しにし、車止めのチェーンもかけずに出かけた。なのに、それなのに、帰ってきたら一番外のチェーンがかかっているではないか。明らかにいつもと違うチェーンのかけ方。誰かがかけた? 池に釣り人も来ていないし、人が踏み入った形跡はない。なんでだろう・・・? 「山ノ神」か「産土神」が泥棒が入らぬように護ってくれた。そんなバカな・・・。一体誰が??? 謎、そしてだんだんと恐怖・・・。その夜は、小屋の窓と戸を硬く閉めて、いつもより多くのビールを飲んだ。

あの謎は未だに解明できない。

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Os Meu Caminho

2005年08月15日 | 随想・雑文

フォトアルバムOs Meu Caminho」を日時順に並べ替えました。

いくつかのシーンが、いつの山歩きだったか不明。 分かる方?

分かるものは、写真に日付と行った場所の説明を入れとくよ。

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着工

2005年08月11日 | セルフビルド-時休自足

昨日、第二小屋の材料を発注した。

特別に手配して頂いたようで、二日後の13日(土)に納入してもらえるそうだ。

12日(金)は父の病院送迎をするので、13日早朝に「森の時間」に行くことにした。来週前半は仕事はお休みにして、小屋作りに専念することにした。18日は東京で用事がある。それまでに帰ってくればよい。子供達はクラブ合宿、自動教習所通い、奥さんは介護と息抜きの韓流ドラマ。オヤジの出番はない。だから、心置きなく飽きるまで小屋作りに取り組むことにした。雷雨とか天候が邪魔しなければ、多分、完成できると思う。そうすれば、F会の方々に夏のうちに来て頂ける。でも、9月涼しくなってからのほうがいいかもしれない。皆さんのご都合を聞いてみなくちゃ。

13日は早朝出発する予定。まず、基礎工事。これが最大の難関。気を入れてかからねば!

産土神にご挨拶してから、いっちょ、始めるぞオォ!

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広葉樹の森

2005年08月10日 | セルフビルド-時休自足

荒地を落葉広葉樹の森にしようという遠大な計画を立てている。

周辺の斜面部分にはヤマザクラ、クリ、コナラなどがカラマツとアカマツに混在しているが、森の土地を削り取ってしまった平坦な部分は、邪魔になるほどのヤマハギ、そして先駆樹種のシラカバ、ホオノキ、ヤシャブシが若干成長し出している程度で、殆ど裸地状態。秋の七草、ヤマハギに可憐な薄紫の花が咲き出している。R0012066

R0012081 武蔵野の雑木林で採取したコナラの幼樹を20本程植えてみた。半分以上 は枯れてしまったが、活着し新しい葉が出てきたものもある。温帯育ちの遺伝子を持つであろうコナラが、標高千メートルの冬を乗り切れるだろうか。少し心配。R0012065

奥利根の水源に植林しようというキャンペーンで頂いたミズナラのどんぐりを自宅のベランダで育てていた。そこそこ大きくなっていたので、その一本を移植した。本来は30-40cmまで育ったら、奥利根の植林用に送り返すか、持参して植林することになっている。「森の時間」に移植して根付くかが心配だったが、さすが寒冷地の遺伝子を持つミズナラだけに二度の冬を乗り切って見事に成長している。

今年の秋、木々が落葉して活動がスローダウンしたら、周辺の土地からコナラ、クリなどの稚樹を移植しようと思う。葉が落ちてしまうと、どれが何の木だか分からなくなるので、葉のあるうちに探して、マークしておかなくちゃ。

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農的生活

2005年08月09日 | 森林・自然・環境教育

今のところは農業をするのでもないし、農村に移住するという計画はない。

「自然に優しい」生き方、「生命を大切にする」生き方、「生態系を守る」生き方、「自然体で過ごす」生き方、そして自分の背丈で生きる、これが『農的生活』。

そんな農的生活を常に意識し、学習し、出来る範囲の小さなことから実践し体験を蓄積したいと思う。

健全な生態系【自然】は、人類にとっての『財』である。人類もその一部として生かされている。「自然を征服する」近代科学と資本主義体制が生態系を破壊し、生態系の持続可能性が確保出来ないことは認識されつつある。しかし、一般の人々がかつては普通に身に付けていた自然の知識、生態系の理解が乏しくなっているために、多くの人々は生態系の変化に気づいていない。

私なりに『農的生活』を実践し、その体験で人々の『気づきのスイッチ』をONにできればと思う。

「第二農地」R0012058

なだらかな赤土の斜面を掘り返して、消石灰で中和して10日ほど放置した。更に土球を砕いて、そこに鶏糞・牛糞や腐葉土を鋤いて2週間寝かせた。R0012079

R0012078 そして、ナスとキャベツの苗木を植えた。売れ残りの萎れた苗だったので半値だった。ミツバとホウレンソウなどの葉ものを種子から育ててみようと思う。

ジャガイモの収穫が終わったところでは、来春の収穫を期待して玉葱、エシャーレット、ニンニクを育ててみるつもり。

農地なんていうと広々している響きだが、第一と第二合わせてせいぜい15坪程度なんです・・・。

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Le Temp Du Bois

2005年08月08日 | セルフビルド-時休自足

ゲートにテーマ「森の時間」を飾りつけてみた。 R0012191

焼いた杉板の上に、角材をカットして組み合わせた文字をサンドペーパーで丸みを出して配置した。もっと踊らせたPOP調の文字にしているつもりだったが、深夜の作業、完成を急ぎ過ぎたか、出来上がったら最初の文字以外は超オーソドックス。作り直す!

少し気取って、仏語で「Le Temp Du Bois」。周囲の風景から浮いているかもしれない。以前作った小さな看板、『森の時間』もゲートの左手奥に残してある。その看板の下には、毎年同じ花が咲くように、ラベンダーなどの宿根草を植えた。R0012183

 

今日は8月8日。三権分立、行政の権限で衆議院が解散されました。

愛しの妻のxx回目の誕生日です。  “ A Happy Birthday !

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第二小屋

2005年08月02日 | セルフビルド-時休自足

本来ならば今頃までには、既存の「第一小屋」の倍の大きさの小屋が形になっているはずだった。

ここ数ヶ月、両親の介護や講習やら色々と用事があって、なかなか「森の時間」に行く時間が持てなかった。今後も何かと用事があるので、大きい小屋の建設は来年以降の計画に変更した。

それで、改めて用途・目的、設置場所を検討し、今年は基礎サイズが2.6メートル四方の小さな小屋を建てることにした。それを、倉庫兼追加寝床用に利用する計画だ。

トイレについては「据置き型のコンポストトイレ」を考えていたが、これが日本の代理店ルートで20数万円もする。であれば、工事込みで20万円以内のユニット型の外置のバイオトイレの方が安いので、そちらにするか再検討している。ユニットトイレの場合は、外観はイメージにそぐわないので、周囲を木材でカバーするつもり。

そもそも、トイレなんか要るのかい? 今ある、青空、鳥・虫鳴き声、草木愛でる「枯葉トイレ」で充分なんだけど・・・。

「第二小屋」は、結局BIG BOXというメーカーの「パッキナB」というタイプを選んだ。このBIG BOXの不幸にも私を担当してしまったセールスの方は、メール頂く度に「値上げ予定あります」、「在庫がなくなって来ています」、「人気商品です」等、買う気を喚起しておられました。私のように世界で揉まれた、したたかな枯れススキに、そんな売り込みは効果ないのになああとか思いながら、マニュアルっぽい純粋なアプローチが微笑ましく、楽しく交信させて頂いた。

R0012193 設置場所は、FirePitを挟んで「第一小屋」の反対側。

大きなヤマハギが生えている傍で、赤松に囲まれた土地。

R0012194 雷や灼熱の暑さでなかなか気分が盛り上がらなかったが、やっと羽子板付沓石、砕石、重量ブロックなど基礎工事用の資材を買い揃える気分になった。買い揃えたら、総額1万3千円くらいだった。多分手持ちのセメントと砂が足りなくなると思うので、あと2千円くらいはかかるだろう。

お盆の頃から、本格的な工事を始められる予定。

サンスクリット語「孟蘭盆会」。これが日本のウラ盆、「お盆」の語源らしい。釈迦尊の弟子の一人が亡くなった母親があの世で苦しめられているのを知って、釈迦尊に相談したら、僧侶やあの世の人々に食事をもてなせば、苦しみから解放される、といった話が、お盆に先祖を迎えるという習慣になった、というようなことを何かの本で読んだ気がする。

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