第二小屋の建設を始めた。
13日(土)、帰省ラッシュに巻き込まれないように5時半に家を出発。6時前のラジオの交通情報では、関越自動車道の東松山ICの手前で渋滞が始まっている、と伝えていた。東松山ICまでは、いつも通り一般道。若干普段より時間がかかったが1時間10分ほどでICを通過。関越の3車線を埋めた車列はゆったりと進んでいる。お盆だから家族連れ中心かと思いきや、私同様の一人の旅人が多い。それと、熟年カップル。一人のドライバーが多いのは何故? 早めの旅立ちだから身軽な独り身の旅人が目立つのか、結婚しないの人が増えているためか、離婚した独り身が増えているのか。或いは私のように・・・。勝手な想像をめぐらせる。
九時半頃に到着。まず、焚き火。
ポリタンクの水を定位置に置いて、徐々に作業を始める。早速、穴掘りから取り掛かる。今回は一回り小さい小屋なので、基礎は12箇所。40-50cm程掘る。夏の太陽がギラギラしてくると、一つ掘るごとに一息、水をがぶ飲み。
10程の穴を完成させたころに、小屋の材料を載せたトラックが到着。梱包は二つだけ。
基礎固めをするコンクリート用の砂利が足りないことが分かったので、初日は沓石の位置と「遣り方」による水準合わせに専念することにした。息抜きには看板の手直し
や、第一農地に次の作物のために石灰の漉き込みをしたりして大汗流した後の冷えたビールを何度となく楽しんだ。ジャガイモとレタスを収穫した第一農地にはタネからホウレンソウ、ミツバ、コマツナ、シュンギクなどを育ててみようと思う。
人里離れ山の中で一人ぼっち。事故が起こったら、何かに襲われたら、誰もいない、助けてくれない・・・。そんなこと考えたら、恐怖で失禁して、大声上げて逃げだしそうなので、孤独を感じた時にはビールの酔いで思考を麻痺させたりする。木陰の心地よい風、すぐそばまでやって来て話しかけるような小鳥の鳴き声、体の芯まで染み入るような油蝉の合唱に意識が朦朧としてゆく。
夕食に少しだけ時間をかけ、FirePitを利用してにんにく、玉葱、キムチ味のイカ、そして信州産の鱒などを焼いてみた。鱒は、先日友人の蓼科のS邸でご馳走になって、これは焼くのに最適と思った。
陽が落ちると地上は一気に暗闇になる。青白く残る空に森の影が黒の生き物のように不気味に伸び上がる。すると、森の闇に潜んでいた精霊たちが一斉に現れてすぐそばの闇まで忍び寄ってくる。そんな感じがしたら、精霊達の姿が見えるようにビール、ビール、ビール・・・。朝まで一緒に過ごせる勇気がつくまで、更にビール、ビール。真っ黒なシルエットとなった木々の間から、ススキの陰から、石の向こうから、小屋の裏側から、形のはっきりしない生き物、精霊のようなものがこちらを窺っているのが見え始めたら、もう大丈夫。森の何万という精霊に受け入れられたのだ。森が夜に変わるときに一人ぼっちは、いつになっても怖い。夜の森の精霊と交流ができるように、日頃から生き物は殺さないようにしている。草を毟るときも、木を切るときも、蜘蛛の巣を払うときも、「ごめんな」。
翌朝、いつもの鳥の鳴き声で目が覚める。4時55分。あのカッコーは同じ鳥・・・?
勢いよく目覚めるが、まだ眠いし、昨晩のアルコールが抜けきっていない。小便しに行くついでに寒暖計をみる。18度C。昼行動しているのであれば最適な温度だが、寝ているときは涼しかった。タオルケット一枚では寒くて、無意識に毛布を引っ張り出していた。
小屋の組み立て作業は2度目の体験なので、手引きもみることなく作業は順調。
マスクをして土台にするログに防腐剤を塗った。そのログの配置と水平が確認できたら、壁ログを一気に組んでゆく。何本か上下に歪曲しているログがあって隙間をなくすのに苦労したが、時間が経てば重みでぴったり納まるようになるだろう。![R0012224 R0012224](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/68/6f/be1fdb3c3fae107037986a71f9726ebb_s.jpg)
丸2日で基礎から小屋の組み立てと屋根板張りまで完成した。
その直後に雨がぱらつき出し、今回の作業の一区切りとして、屋根にビニールシートをかけた。
![R0012253 R0012253](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/15/d7/b4a3fa4f07eb83bafbda88008bd3ab14_s.jpg)
![R0012254 R0012254](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/4c/d2/3da1b780d9a7c0edd1fb312da2bb5291_s.jpg)
次回は床下作業、床板張り、二重屋根、更に出来れば建具を入れる。そこまでやれば、後は塗装だけになる。
昼時、砂利や食べ物の買出しに下の町までドライブ。
全てやりっぱなしで、戸は開けっ放しにし、車止めのチェーンもかけずに出かけた。なのに、それなのに、帰ってきたら一番外のチェーンがかかっているではないか。明らかにいつもと違うチェーンのかけ方。誰かがかけた? 池に釣り人も来ていないし、人が踏み入った形跡はない。なんでだろう・・・? 「山ノ神」か「産土神」が泥棒が入らぬように護ってくれた。そんなバカな・・・。一体誰が??? 謎、そしてだんだんと恐怖・・・。その夜は、小屋の窓と戸を硬く閉めて、いつもより多くのビールを飲んだ。
あの謎は未だに解明できない。