札幌市議会金子快之議員(43歳、自民党会派に所属。)が11日付「ツイッター」で「アイヌ民族なんて、いまはもういない」と書き込んでいたという。
そして、ブログには「『アイヌ』を法的に証明する根拠が現行法にない」とも書いている。
また、住宅整備の低利貸し付けや奨学金など、行政からの支援を得ることがアイヌ民族を名乗る目的だと主張している。
さらに、 29日、記者会見をして「厳密な意味での民族としては存在しない」として、主張を撤回しないという。
僕は、一定、アイヌ民族問題を学んできた。明治時代以前の和人による差別・搾取こと、北海道旧土人保護法のこと、そして日本で初めてアイヌ民族の国会議員(萱野茂氏、参議院議員)が誕生したこと、アイヌ文化振興法(略称)の成立とその問題点等々。小川早苗さんの話も何回か聞いてきた。平取町立二風谷アイヌ文化博物館にも行って学んだ。
だから、特に北海道で、しかも市会議員がこんな認識を発表するなんて、信じられない!
これまでにも、北海道の鈴木宗男代議士の、東京有楽町の日本外国特派員協会での講演での「(日本は)一国家、一言語、一民族といっていい。北海道にはアイヌ民族がおりますが、今はまったく同化されておりますから。」と問題発言。
1986年当時首相の中曽根康弘氏は「日本はこれだけ高学歴社会になって、相当知的な社会になってきている。アメリカなんかより、はるかにそうだ。平均点からみたら。アメリカには黒人とか、プエルトリコとか、メキシカンとか、そういうのが相当おって、平均的に見たら非常にまだ低い。」と発言して、人種差別発言だと国際的な非難を受け、その釈明の中で今度は「日本は単一民族だから手が届きやすいという意味だ。」と、さらに「日本国籍を持つ方々で差別を受けている少数民族はいない。」と国会で発言して、大問題になっている。
ちょうど僕がアイヌ民族問題を学んでいることもあり、「単一民族国家」発言として強烈に頭に焼き付いている。
この市議のことを知る中で、政府の、アイヌ民族をめぐっての今年6月の「独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族」とし、「民族としての名誉と尊厳を保持し次世代へ継承していくことは多様な価値観が共生し活力ある社会を実現することに資する」とした閣議決定を知った。
そして ふっと思った。 彼の主張って、アイヌ文化振興法やこの閣議決定の域を出ないものでしかないんだ、と。
本当は、北海道先住民族としてのアイヌの過去への賠償や権利保障、現実にあるさまざまな問題・差別を解決したり克服したりするための活動を強めなければならない立場なのに、と。