to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

親愛なるきみへ

2011-09-24 15:27:47 | the cinema (サ行)
恋のときめき、愛の痛み。
その2週間は、永遠になった。

原題 DEAR JOHN
製作年度 2010年
上映時間 108分
原作 ニコラス・スパークス『きみを想う夜空に』(エクスナレッジ刊)
脚本 ジェイミー・リンデン
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 チャニング・テイタム/アマンダ・サイフリッド/ヘンリー・トーマス/スコット・ポーター/リチャード・ジェンキンス

きみに読む物語』のニコラス・スパークス原作による恋愛小説を基に、『ギルバート・グレイプ』のラッセ・ハルストレムがこまやかな心理描写を大切に映像化するピュア・ラブストーリー
2001年春、米軍の特殊部隊に所属する青年ジョンは、2週間の休暇で帰郷した際、女子大生のサヴァナと出会い恋に落ちる。しかし、愛を深める間もなく、ジョンは赴任地へと旅立つことに。それでもふたりは、手紙を交わすことで互いの距離を縮め愛を育んでいく。しかし、そんなふたりの運命を9.11同時多発テロが変えてしまう。苦悩の末に任務の延長を志願したジョンに対し、孤独に耐えかねたサヴァナの心は揺れていく。

本日(23日)公開作品の多いこと!でも、期待度は私的にはクラスの作品が多かったのですが
唯一のマーク(期待度大)をつけた作品、観てきました。

久しぶりのラッセ監督作品でしたが、結論から言えば普通にいい作品でした
ただ、なんというか・・・どうしても流れが『きみ読む』的で、2番煎じ的な印象を拭えませんでした。

前半のビーチでのジョンとサヴァナとの出会いから、その他のメインの人物たちの紹介(登場)など
流石はラッセ・ハルストレムという雰囲気です♪
無口で豹のような雰囲気のジョン役のチャニング・テイタムが、初めて口にする
またすぐ会おうね」のドキドキが伝わってきて可愛い♪
それを待っていたかのような明るいサヴァナの「うん♪またすぐ会おうね」
そして以後の2週間をこの挨拶をくりかえす、恋に堕ちた若い2人の姿に和みます。

しかし、そんな春休みもやがて終わりがやってくる。
そこから、軍人として各地を転々とするジョンと大学に戻り、休みには帰郷するサヴァナは
手紙でお互いの気持ちをこめて再会の時を待つことになるのだけれど・・・
ここからの流れが『きみ読む』的。
時代的に彼らを阻んだのは2001年に起きた9・11同時多発テロ。。。なんですが――

確かに当事のアメリカの軍関係者の家族や、恋人達には、当然のように降りかかってきた現実だったでしょう。
でも、終わってみればこのテロも、
もっと言えば時代設定もギリ携帯電話の普及がそれほどでもない環境としたことで、
遠距離→手紙によるやりとり→孤独から心のより所を求めて別れる→再会
という、『きみ読む』と同じ流れに持ってくことにアノテロを使ったのがなんだかな~。
それに加えて、ラッセ監督の『ギルバート~』に登場した自閉症を持ってくる辺りもなんだかな~でした。

さらに言えば、このサヴァナとジョンのキャラがアリーとノア。演じる二人もどこかレイチェルとライアン・ゴズリングに似ている上、雨の中のキスシーンと、二人が結ばれる場所の設定も酷似。
これでは焼き直しとか2匹目のドジョウをねらったと言われても仕方がない感じです。
演じたチャニング・テイタムもアマンダちゃんも、キラリと光るものがあってステキだったんですが

恋人が戦地に行って待ち続ける彼女との手紙で綴るラブ・ストーリーというと
一番に思い浮かぶのは「コールド マウンテン」のニコールとジュード。
次に「つぐない」キーラとマカボィの描写が私の中では一番で、この作品を観ながらも過ぎりましたが、
時代背景とかもあってそういう胸を刺す痛みのようなものもないし
作品としては平凡な印象ですが、
過剰に期待してみなければ、或いは「きみ読む」や「ラッセ作品」と意識しなければ
普通にいいラブストーリーであり、父と子の物語です。

てか、
この作品で唯一、心に響いたのは、愛情一杯に一人で育ててくれた父親に
ジョンが「後悔と感謝の気持ちを綴った手紙」を読むシーンでした。
これがあったから、この作品の高感度がアップしたし、人間ドラマのラッセ監督らしさを感じることが出来ました。

キーワードは二人の手紙ではなく、、一枚のコイン そして自閉症の父子家庭・・・
なので、これは案外男性も楽しめるかも知れません。