この前施設での昼食時のこと、テレビで「のど自慢」をやっていて、利用者さん達と観ていた。
知ってる曲が出ると、皆さんテレビに合わせて唄っていた。
その日私の隣に座っていたトモさん(仮名)。
とても物静かな方で歌声も小さく控えめに歌っていらっしゃったのだが、私は聴いていて、おや?と思った。
上手い。
声は小さいのだが音程バッチリでキレイな良い歌声。
「トモさん、お上手ですね」
と、声をかけたらトモさん、とても恥ずかしそうにされた。
「なんだか歌を思い出してねぇ」
「トモさんの歌、もっと聴かせてください」
「何を歌えばいいかなあ」
「何でも良いですよ」
と、言うとトモさん、一呼吸入れて大きな声で歌い出した。
え?
え?え!上手い!!
上手すぎる!
あれは何の曲だったかな、ちょっと私は知らない曲だったがとにかく80過ぎのおばあさんの歌声ではない。
なんて清らかで、なんて声量がある声なんでしょう。
皆、拍手喝采。
「トモさん、歌手になればよかったのに」
と私が言うと、
「ううん、なんだかねぇ…」
と、モジモジ。
こんなに歌がハンパない上手さだけど、トモさんは一緒に暮らす娘さんを、ご自分の「おかあさん」だと思っている。
その日着ていたピンクのセーターが華やかで、私が
「まるで歌手の衣装のようですね」
と言うと、
「おかあさんが買ってくれました」
と、トモさんは嬉しそうだった。
そして、
あとから知ったのだが、
なんとトモさんは、
本当に歌手だったそうだ!
全国区で活躍とまではいかなかったようだが、レコードも出していて、歌手として活動していらしたようだ。
大変失礼しました。
でもトモさんは自分が歌手だったことは忘れていらっしゃる。
それでも、やはり歌は、トモさんの体に染み着いているんだろう。
そういえば、食べることで一日中頭がいっぱいのサチさん(仮名)
テレビで料理番組をやっていると、あの料理がテレビの画面から自分の前に出てくるもんだと待っている。
昼食時は他人の分まで取って食べちゃうし、昼食終わったあと、
「お願いですから私にもちょっとだけ何か食べさせてください」
と懇願してくる。
食べました、他人の分まで充分と
とは言えず、「もう少ししたらおやつの時間ですから待っててくださいね」
となだめている。
そんなサチさんだが、習字の筆を持たせれば物凄い達筆である。
見せていただいてびっくりした。
本当に素晴らしい。
サチさんは、昔何十年と一流ホテルでメニューのお品書きなど筆で書く仕事をされていたらしい。
歳を取り、哀しく変わってしまうことはあるけど、皆さんいろいろな分野で頑張ってきたのだ。
敬う気持ちを忘れずに、一人一人を大切にお世話をさせていただこう。
知ってる曲が出ると、皆さんテレビに合わせて唄っていた。
その日私の隣に座っていたトモさん(仮名)。
とても物静かな方で歌声も小さく控えめに歌っていらっしゃったのだが、私は聴いていて、おや?と思った。
上手い。
声は小さいのだが音程バッチリでキレイな良い歌声。
「トモさん、お上手ですね」
と、声をかけたらトモさん、とても恥ずかしそうにされた。
「なんだか歌を思い出してねぇ」
「トモさんの歌、もっと聴かせてください」
「何を歌えばいいかなあ」
「何でも良いですよ」
と、言うとトモさん、一呼吸入れて大きな声で歌い出した。
え?
え?え!上手い!!
上手すぎる!
あれは何の曲だったかな、ちょっと私は知らない曲だったがとにかく80過ぎのおばあさんの歌声ではない。
なんて清らかで、なんて声量がある声なんでしょう。
皆、拍手喝采。
「トモさん、歌手になればよかったのに」
と私が言うと、
「ううん、なんだかねぇ…」
と、モジモジ。
こんなに歌がハンパない上手さだけど、トモさんは一緒に暮らす娘さんを、ご自分の「おかあさん」だと思っている。
その日着ていたピンクのセーターが華やかで、私が
「まるで歌手の衣装のようですね」
と言うと、
「おかあさんが買ってくれました」
と、トモさんは嬉しそうだった。
そして、
あとから知ったのだが、
なんとトモさんは、
本当に歌手だったそうだ!
全国区で活躍とまではいかなかったようだが、レコードも出していて、歌手として活動していらしたようだ。
大変失礼しました。
でもトモさんは自分が歌手だったことは忘れていらっしゃる。
それでも、やはり歌は、トモさんの体に染み着いているんだろう。
そういえば、食べることで一日中頭がいっぱいのサチさん(仮名)
テレビで料理番組をやっていると、あの料理がテレビの画面から自分の前に出てくるもんだと待っている。
昼食時は他人の分まで取って食べちゃうし、昼食終わったあと、
「お願いですから私にもちょっとだけ何か食べさせてください」
と懇願してくる。
食べました、他人の分まで充分と
とは言えず、「もう少ししたらおやつの時間ですから待っててくださいね」
となだめている。
そんなサチさんだが、習字の筆を持たせれば物凄い達筆である。
見せていただいてびっくりした。
本当に素晴らしい。
サチさんは、昔何十年と一流ホテルでメニューのお品書きなど筆で書く仕事をされていたらしい。
歳を取り、哀しく変わってしまうことはあるけど、皆さんいろいろな分野で頑張ってきたのだ。
敬う気持ちを忘れずに、一人一人を大切にお世話をさせていただこう。