カヅさんの級友ちえ子さんに会って来た(2)

2020年03月19日 | 日記
あ、あのお婆さんがちえ子さんだ!

と、私と息子は急いで車を降りてちえ子さんの側に行った。

そして、私はカヅさんの長男の嫁で、こっちは私の息子でカヅさんの孫にあたることや、カヅさんのお悔やみをいただいていながらなかなか連絡もせず、今日失礼ながら住所を見て訪ねてきたことなど説明した。

ちえ子さんは驚いていた。

そして、

「中に入って中に入って」

と私達に促した。

「急に来てしまって申し訳ないので玄関先でと思ってたんです」

と言うとちえ子さんは、

「私もカヅちゃんの話を聞きたいから入って入って」

と言いながら先にちえ子さんは家の中に入ってしまった。

私と息子も「それじゃあ」と中に入った。

そのあと、カヅさんの話をたくさんしたし、

ちえ子さんも昔のカヅさんの話をいろいろ教えてくれた。

ちえ子さんはカヅさんの級友であり、実は親戚にもあたるらしい。

通っていた女学校が遠かったので、ちえ子さんはカヅさんの家に5年間下宿をしていたそうだ。

カヅさんは当時も大人しかったそうだが、ちえ子さんは活発だったようだ。

「カヅちゃんは自分の家でも物静かにしていて、まるで私の方が自分の家のようにしていたよ笑」

「カヅちゃんは真面目で、勉強熱心でいつも何か書いていたなあ」

「特に英語が好きで、毎朝熱心にラジオの英会話を聴いていた。この本はそのラジオの教本で、ああ、この字は確かに私の字だ。じゃあ私があげたんだね」

私が持って行った、カヅさんの昔の英会話の本に書かれていた、

『親愛なるカヅさんへ 昭和二十二年十二月二十五日 〇〇ちえ子』

と書かれた文字を見て、ちえ子さんは懐かしそうにした。

私が、

「この本、置いて行きましょうか?」

と言うと、

「じゃあ、カヅちゃんの形見にもらおうかな」

と、笑った。


それにしても、ちえ子さんのお話しのしっかりしてること!

カヅさんと同じ年で、今年89歳になるなんてビックリだ。

しかし、もっとビックリしたことがあった。

こんな大きな家に、何人で住んでいるのかと思ったら、

なんと、ちえ子さんは一人暮らしだそうだ!

14年前にご主人が亡くなり、それからずっと一人で暮らしているらしい。

娘さんは嫁いで居るし、息子さんは転勤族。

だけど息子さんは今年65歳で、今年いっぱいで退職して実家に帰って来る予定とのこと。

それを聞いてホッとした。

でも、スゴいなちえ子さん。

庭に軽自動車が停まっていたけど、ちえ子さんの車で、89歳の今も自分で運転しているらしい。


ちえ子さんは、自分の話もいろいろして楽しそうにしていた。

私達がそろそろ帰ろうとすると、「まあ座って」と、まだ帰したくない雰囲気で話を続けていた。笑

でもさすがに夕方になってきたので、

「すみません、そろそろ失礼しますね」

と立ち上がった。

ちえ子さんも、「ああ、じゃあまた来てね」と立ち上がった時、私は「あれ?」と気がついた。

「ちえ子さん、身長高いですね」。

なんか、私より大きい。

「うん。少し縮んだけど、162㎝だった」

えー!笑

ちえ子さん、いろいろビックリだ。


そして車に乗って走り出すと、私達の車が見えなくなるまで手を振っていた。

なんか泣けた…

ちえ子さん…


家に帰って、仏壇に向かい、

「ちえ子さんに会って来ました」 

と、カヅさんに報告した。

きっとカヅさんは喜んでくれたと思う。

















カヅさんの級友ちえ子さんに会って来た(1)

2020年03月18日 | 日記
以前ブログで書いた、カヅさんの古い英語のテキストだが、
https://blog.goo.ne.jp/kitiyakimura/e/583731cbe53ec781b771844bbebd5dfa
実はこの本の最後のページに、

『親愛なるカヅさんへ』

と、万年筆で達筆に書かれていた。

そして、日付と名前も書かれていた。

日付は『昭和二十二年十二月二十五日』と漢字で書かれていた。

計算すると、カヅさんが16歳の時に当たる。

そして日付の後に、書かれていた名前は『〇〇ちえ子』。

なんとなく、生前カヅさんが、ちえ子さんという友人が居たと話していたのをチラッと聞いたような気がする。

この英語のテキストを、高校時代カヅさんにあげたお友だちはどんな人だろうと思っていた。


そんな中、カヅさんが亡くなり、親戚の人が香典を頼まれて来たと持って来てくれたのがちえ子さんからの物だった。

ちえ子さんは存命なんだ!

そう思うと、ちえ子さんに会ってみたいという気持ちになった。

でもなかなか行くタイミングを逃して気になっていて、そして、

昨日ついに行って来た。

住所だけは知っていたけど、なかなか私は初めての地域を住所だけ見て探すのは苦手で、昨日は息子と一緒に探しながら行って来た。

お悔やみのお返しと、少しばかり菓子折を持ち、車で家から二時間弱のその地域に行ってちえ子さんを探した。

息子がGoogleで空からの写真を見て言った。

「え?この住所だと、なんかすごく広い敷地で大きい家なんだけど、もしかして施設なのかな」

どれ?と、息子のスマホを覗いた。

本当だ。広いし大きい家。

「うん、もしかして施設かもね」

とにかくちえ子さんの住む住所を目指して向かった。

車を走らせていると、結構ヒト気の無い、家もポツポツとしかない地域に入って来た。

「あとはここを真っ直ぐ進むと見えてくるはず」

息子の案内通り走っていたその時、

「あ、あそこじゃない?」

と息子が言った。

見ると、奥まった高い位置に、大きな家が立っていた。

その家に向かって行くと、敷地がこれまた広く、テニスコート3面は張れるくらいだった。

家は決して新しいわけではないが、施設くらいの大きさがあった。

でも施設ではなく、個人の家だった。

表札を見るとちえ子さんの名字。

間違いない。

緊張しながら玄関のチャイムを鳴らした。

・・・

出ない。

留守かな。急に来ちゃったもんなあ。

広い庭を見ると車庫に高齢者マークをつけた軽自動車が停まっていた。

家族何人かで住んでるんだろうから、車はあれだけではないだろう。家族で出かけたのかな。

もう一度鳴らしたが、やっぱり誰も出て来なかった。

しょうがないから息子と車に戻った。

置き手紙を書いて、持って来た物を玄関に置いて行くことにした。

そして車の中で手紙を書いていると、息子が、「あ!」と言った。

「出てきたよ!」

え!?

見ると、一人のお婆さんが玄関の前に立ち、こっちを見ていた。










黒マスク

2020年03月17日 | 日記
彼岸入りの今日、お墓参りに行って来た。

カヅさんが眠るお墓がある街まで、家から車で1時間半。

道中、何軒かコンビニに立ち寄って、何気にマスクを探したが、まあ予想通り一つも無かった。

そして、墓地近くの小さなスーパーに、お供え物やお花を買いに行った。

せっかくだからマスク売り場も探した。

すると、雑貨売り場でお店の人が、何かストッキングぽいのを並べていた。

(あれ?ストッキングじゃないな…ブラ?いや、小さすぎるだろ)

よく見たら、黒いマスクだった

まさかマスクを出してるところに出くわすとは。

黒いのだけど。

黒かぁ…

私みたいなおばちゃんが黒マスクでもないだろうし、息子は黒マスクをするタイプじゃないし。(ないない)

「すみません、全部黒ですか?白いのはないですか?」

と、品出しをしていた店員さんに聞いてみた。

すると、

「申し訳ありません黒いのだけなんです。それでもウチの店は久し振りにマスクが入って来たんです、黒いのしか来なかったですが

と店員さん。

そうなんだ。たまたま並べてるとこに居合わせた、これも何か縁だな。

よし、買おうじゃないか。




買った。


で?


誰が着けるの?


黒マスク。


2個か。


私と息子が着ける…


ないない。(ならなぜ買った)































ヒマなハタチの春

2020年03月16日 | 日記
書いている小説がなかなか進まないと、今日も苦しんでいた息子。

「そんなの書けないなら書かなきゃいい話じゃない。プロじゃないんだから」

と言うと、一瞬無表情になり、そして、

「そうだね」

とひとこと。

「結局俺は小説を書くのは向いてないんだ。こんなに話が浮かばないなんて」

と開き直って表情が緩んでいた。

なんじゃそれって感じだ。

今、書いていたのは文芸部に提出する物だったらしい。春休み中に、書いた人は出してくださいって感じで強制ではなかったらしい。

書かないことに決めたら明るさを取り戻した 

しかし、その後しばらくして、

「書かないことにしたら暇になった。早く大学に行きたいなあ」

と息子。

この3月は忙しいはずだった。充実した春休みを過ごす予定だった。

まず、高校の時の友人達と台湾に旅行に行くはずだったがコロナの影響で取り止め。

ライブに行く予定もそのライブ自体が中止。

演劇をやってる友人に誘われ、少し演劇に出る予定だったが中止に。

独学で覚えた手話検定を申し込んでいたが、検定は秋に延期になり、

派遣の日雇いバイトを始めたが、さまざまなイベント中止で派遣の仕事が入ってこなくなり、

大学のボランティアサークルに入ったのだが、そのサークルにも活動自粛要請がかかり、

まったく予定が無くなったようだ。


でもそんな中、台湾に行く予定だった友人達から先日、

「京都に行こう。ガラガラらしいよ」

と誘われたらしいが、世の中こんな自体なので息子は行かなかった。

でも他の子達は行ったようだ。

「ホントにこんなに空いてる~」と、あちこちガラガラの様子の写真を送って来たらしい。


それにつけてもこの新型コロナウィルス。

きっと歴史の教科書に載るんだろうな。

ニュースを見ていて毎日毎日暗い気分になるけど、今日はひとつ嬉しい話題もあった。

学校再開をした県や市も出てきたらしいじゃないか。

子ども達が教室で、本当に嬉しそうにしている様子を見て、久し振りに明るい気持ちになった。























熱く語る息子

2020年03月15日 | 日記
2年生から何気に「文芸部」に入った息子。

小学生の頃は、作文を書く宿題もままならなかった息子で私が手伝ったりもしたのだが。(時効)

大学に入ってから、なぜか突然小説を書くことに興味を持ってしまった。

しかし息子が書くのはホラーとかなんか暗い物のようだ。

今書いているのはホラーで、やたらと苦悩しながら書いている。

今朝もご飯を食べながら、

「ここからどういう風に書いていけばいいか難しくて」

とか言って悩んでいる。

どんな話か見てもいないし知らないが、そんなに辛いならやめてくれ、こっちまで辛くなるわと言いたくなった。

「ホラーは好きじゃないし読みたいと思わないんだよねぇ。ミステリーの方ならまだいいけど」

と言うと、息子は箸を止めて、

「ホラーとミステリーて違いは無いと思う。強いて言えば違うとこはね、」

と、面倒くさいことを語り出したので「ああまた始まった」と正直ウンザリした。

息子が何かについて語り出すと、説明が長いし小難しくて聞いていて疲れる。笑

息子には悪いが、いつも私は半分しか聞いてないし解っていない。

今朝のホラーとミステリーのことならまだしも、政治や国際社会や歴史、戦争、医療のことなど、やたらと私に語ってくるのだが、聞いていて小難しくて途中で眠くなる。

それでいてだ!

私が好きな野球とかスポーツの話をする時は「そーなんだ」とか、どこか上の空。

さっき私が、

「ちょっとこの佐々木朗希くん可愛い」

と、或る記事の写真を見つけて息子に見せようとしたら、

「え、興味無いんだけど」

と、スマホをいじって見てもくれなかった。

ちょっとさあ、なんなのよ息子。

まあ私も息子が熱く語ってる時、ちゃんと聴いてないけどさ。

この親子。