権力を持たせてはいけない人たちに独裁を許してしまったのか!
武器購入国に資金援助 途上国向け制度検討
防衛省が、日本の防衛関連企業から武器を購入した開発途上国などを対象とした援助制度の創設を検討していることが分かった。武器購入資金を低金利で貸し出すほか、政府自ら武器を買い取り、相手国に贈与する案も出ている。政府開発援助(ODA)とは別の枠組みとする方針だ。
援助制度は、武器輸出を原則認める防衛装備移転三原則決定を受け、輸出促進策の一環として検討されている。日本の防衛関連企業向けの資金援助や、相手国への訓練・整備支援なども合わせて検討している。
援助については、有償援助を軸に検討を進めている。国が出資して特殊法人を新たに設立。この特殊法人が、金融市場から資金を調達し、武器購入に必要な資金を低利で相手国などに貸し出すという仕組みだ。
さらに日本の防衛関連企業が製造した武器を政府自らが買い取り、途上国などに贈与する無償援助制度の創設も防衛省では議論。これは、他国の軍や軍関連機関に自衛官を派遣し、人道支援や災害救援、地雷や不発弾の処理などを訓練する防衛省の「能力構築支援制度」の拡充案が有力だ。国の一般会計の事業として実施しているこの事業の予算を大幅に増やして贈与資金に充てるという。
政府は一月にもODAの原則を定めた大綱を改定する方針だ。新大綱(開発協力大綱)では、他国軍への支援について「実質的意義に着目」などとし、災害援助など非軍事目的なら容認しようとしている。しかし軍事目的の援助は、従来同様禁止しており、防衛省ではODAの枠外での創設を検討している。
【解説】軍事用途版ODAに
昨年四月に決定された新三原則は、日本の安全保障に資する場合などに限定して武器輸出を認める、と定めている。しかし、防衛省が検討する援助制度から浮かび上がるのは、日本の安全保障強化のために、国が武器輸出に積極関与していこうという姿勢だ。現行とは別枠ながら軍事用途版ODAともいえる制度の実現は、歯止めなき軍事支援への道を開きかねず、日本の平和外交変質の象徴となりそうだ。
制度の念頭にあるのは、南シナ海をめぐり中国との緊張が続く東南アジア諸国連合(ASEAN)だ。「積極的平和主義」を掲げた安倍晋三首相は昨年五月、シンガポールで講演し、ASEAN諸国に対し、武器を含めた海洋安全保障分野での支援を公約。防衛省もアジア太平洋地域などへの協力を課題として掲げている。
援助制度は、軍事的用途を禁じた日本のODA政策を事実上転換させることにもなり、戦後日本が築き上げてきた平和国家というブランドの崩壊にもつながりかねない。しかし防衛省では「武器輸出は外交の手段として有益だ」(幹部)として、具体策を今夏までにまとめあげようとしている。国際社会に日本は今後何を訴えていくのか。理念なきまま、具体策を急ぐ姿勢に対しては、懐疑的な意見も少なくない。
国際情勢にも詳しいジャーナリストの青木理氏は「日本は戦争ができる国になっていこうとしている。『国のため』に推進される武器輸出が、果たして『国民のため』になるのだろうか」と警鐘を鳴らしている。 (望月衣塑子)
(東京新聞)
武器購入国に資金援助 途上国向け制度検討
防衛省が、日本の防衛関連企業から武器を購入した開発途上国などを対象とした援助制度の創設を検討していることが分かった。武器購入資金を低金利で貸し出すほか、政府自ら武器を買い取り、相手国に贈与する案も出ている。政府開発援助(ODA)とは別の枠組みとする方針だ。
援助制度は、武器輸出を原則認める防衛装備移転三原則決定を受け、輸出促進策の一環として検討されている。日本の防衛関連企業向けの資金援助や、相手国への訓練・整備支援なども合わせて検討している。
援助については、有償援助を軸に検討を進めている。国が出資して特殊法人を新たに設立。この特殊法人が、金融市場から資金を調達し、武器購入に必要な資金を低利で相手国などに貸し出すという仕組みだ。
さらに日本の防衛関連企業が製造した武器を政府自らが買い取り、途上国などに贈与する無償援助制度の創設も防衛省では議論。これは、他国の軍や軍関連機関に自衛官を派遣し、人道支援や災害救援、地雷や不発弾の処理などを訓練する防衛省の「能力構築支援制度」の拡充案が有力だ。国の一般会計の事業として実施しているこの事業の予算を大幅に増やして贈与資金に充てるという。
政府は一月にもODAの原則を定めた大綱を改定する方針だ。新大綱(開発協力大綱)では、他国軍への支援について「実質的意義に着目」などとし、災害援助など非軍事目的なら容認しようとしている。しかし軍事目的の援助は、従来同様禁止しており、防衛省ではODAの枠外での創設を検討している。
【解説】軍事用途版ODAに
昨年四月に決定された新三原則は、日本の安全保障に資する場合などに限定して武器輸出を認める、と定めている。しかし、防衛省が検討する援助制度から浮かび上がるのは、日本の安全保障強化のために、国が武器輸出に積極関与していこうという姿勢だ。現行とは別枠ながら軍事用途版ODAともいえる制度の実現は、歯止めなき軍事支援への道を開きかねず、日本の平和外交変質の象徴となりそうだ。
制度の念頭にあるのは、南シナ海をめぐり中国との緊張が続く東南アジア諸国連合(ASEAN)だ。「積極的平和主義」を掲げた安倍晋三首相は昨年五月、シンガポールで講演し、ASEAN諸国に対し、武器を含めた海洋安全保障分野での支援を公約。防衛省もアジア太平洋地域などへの協力を課題として掲げている。
援助制度は、軍事的用途を禁じた日本のODA政策を事実上転換させることにもなり、戦後日本が築き上げてきた平和国家というブランドの崩壊にもつながりかねない。しかし防衛省では「武器輸出は外交の手段として有益だ」(幹部)として、具体策を今夏までにまとめあげようとしている。国際社会に日本は今後何を訴えていくのか。理念なきまま、具体策を急ぐ姿勢に対しては、懐疑的な意見も少なくない。
国際情勢にも詳しいジャーナリストの青木理氏は「日本は戦争ができる国になっていこうとしている。『国のため』に推進される武器輸出が、果たして『国民のため』になるのだろうか」と警鐘を鳴らしている。 (望月衣塑子)
(東京新聞)
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