油屋種吉の独り言

日記や随筆をのせます。

うぐいす塚伝   (9)

2022-01-29 13:10:34 | 小説
その日のうちに根本洋子との恋の勝ち負け
を決めなくてはと、修は思う。
 修がこれほどイロコイに夢中になったこと
はかつてない。じぶんでもどうかしたんじゃ
ないかといぶかるほど。胸のあたりがやたら
ともやもやする。心臓の鼓動が高まってきて、
なかなか収まらない。
 しかし、不思議なことに、洋子を見ている
とそんな体調がすっかり収まってしまう。
 まだ会ったばかりなのに、俺はなんてざま
なんだと、修は自分自身にあきれた。
 洋子は定時で仕事を終える。そのとき、な
んとかして、洋子をつかまえよう。
 修はそんなことばかり考え、ほとんど仕事
が手につかないでいた。
 たまたま、席を外していた大塚部長がじぶ
んの席に立ち戻った。
 「ちょっとちょっとね、西端課長、どうし
てそんなにそわそわしてんのよ。わたしまで
どうかしちゃうわ。とにかくね、今度ね、出
店予定のB店の件だけど……」
 「えっ、はい。なんでしょう」
 「どの部署に誰を配置するとか、おおよそ
のところをね、話、聞いてる?」
 「ああ、いいえ、まっ、そうですね。あそ
こは競合店が多いから、激戦になりそうです。
しっかりした者を送らないと……」
 「そんなことわかってるわ。店の客だって
わかるようなコメントを口にしないで。もっ
と具体的に話してみて。誰さんが適任だとか
さ」
 「はあ、そうですね……」
 「何が、はあそうですよね、よ。あなたね、
ちょっと真剣みが足りないじゃないの。世の
中、食うか食われるかなの。サバイバル。生
き残りをかけた闘いなの。わかってる?競争
に負けたらごはんの食いあげ。明日から路頭
にまようことになるの。そのことよくわかっ
てるの?」
 「ええ、わかってます。でもお言葉ですが、
そんな極秘情報、部長が最初に言ってくれな
いと、俺なんかの耳にはですね、なかなか届
きませんよね、ちがいます?」
 「そりゃあ、そうよね。あなたの言うとお
りね。それじゃ教えてあげるから、いっしょ
に考えましょ、いいこと?」
 「わかりました」
 修は、大塚のもとへ、なかなか近づこうと
はしない。
 「どうしたの。わたしが待ってるのに」
 「はあ、別に。なんとなく近寄りがたいだ
けです」
 「まあ。いやだわ。なんだかわたし、毛嫌
いされてるみたいね。もういいわ。またの機
会でいいから。それにしても、あなたってど
うしてそうのんびりしてられるのかしらね。
その歳になるまで、ずうっとひとりで生きて
らっしゃってね。なんていうかいつだってじ
ぶんひとりくらい、何したって食ってけるっ
て思ってるんでしょ。なんか知らないけどさっ
きだって誰かさんのこと、じいっと見つめて
るし……」
 ふいに大塚が巻き舌になった。
 大塚部長が興奮するといつもそうだ。じぶ
んが何を言ってるかさえ、わからなくなって
しまう。誰かさんって、いったい、ひょっと
してさっきドアの隙間からのぞいていたのは
大塚部長だったかもしれない。
 修はそう直感した。
 大塚自身、修と同じ立場。なにか訳があっ
てずっとずっとひとりで暮らしている。
 ふと、修は、そんな大塚がかわいそうに思
えた。
 「部長は大したものですね。いつの間にか
わたしより出世なさって……」
 急に大塚が押しだまった。
 「なんで、なんでそんなこと言うの。余計
なお世話よ、あなただって……」
 彼女の両目が紅い。みるみるうちに瞼がう
るんだ。
 「同類、相哀れむ。部長、今度、どこかに
飲みに行きましょう」
 ひょいと修の口からそんな言葉が飛びだす。
 「別にい、そんな気をつかわないでいいの。
とにかく、あなたね、もっと実を入れて仕事
してちょうだい」
 そう言い終えると、大塚は、彼女の上体を
机の上に突っ伏してしまった。
 くくっと喉の奥からしぼりだし、上体をふ
るわす。
 (ふだん強そうに見えて、けっこう、じぶ
んをいつわってるんだな)
 修はかわいそうに思い、じぶんの右腕をそっ
と大塚の肩にのばした。
  午後五時になった。
 日は長く、まだまだ人目につきやすい。
それを承知で西端は、会社の裏口からそうっ
と抜け出していく根本洋子をとらえた。
 すうっと近寄るなり、洋子の肩を、ポンポ
ンとたたいた。
ふり向きざま洋子は、えっ、なあにと、顔
で不審の念をあらわにした。
 だがすぐにまた、口もとに会心の笑みをた
たえた。
「 やっと、その気になっていただいたわ」
洋子はかすかに言い、修の肩に頭を寄せた。
洋子の髪から、かぐわしい香りが立ちのぼっ
てくる。
 修は我を忘れそうになったが、ぐっと歯を
くいしばって耐え、
 「用があるんだけど、ちょっと付き合って
くれないかい」
 と言った。
 


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うぐいす塚伝  (6)

2022-01-27 14:37:22 | 小説
 なんとなく気味がわるいし、じぶんの体調
に自信が持てない。
 午後の始業時刻もせまっている。
 こんな気分のまま、八幡山の頂上にのぼり、
辺りの景色を見たところで、すがすがしい想
いにひたれるはずがなかった。
 修はよしっとひと声かけ、踵を返した。
 速足で坂道をくだった。
 会社のビルのロビーに入った時には、もう
ひとりの社会人にもどっていた。
 「あら、早かったですわね。八幡さんの頂
上まで行かれたんじゃなかったのですの」
 顔見知りの受付係、宮本嬢が、ふくみ笑い
を浮かべ、修の横顔をながめた。
 「あっ、いや、なんてことない。大した用
があったわけじゃなかったけれどね、なんと
なくさ、戻ったんだ。きみの顔がふっと浮か
んできてね」
 「あたしのこと?まあおじょうず。ずいぶ
んお世辞がうまくなられたわ。ふふっ。ええっ
と、ああそうそう、西端課長さんこと、部長
さんがお探しでしたよ」
 「ええっ?どうしたんだろ?何にも聞いて
なかったな。何かあったら、朝、連絡しても
らえるはずなのに」
修の顔に動揺のいろが浮かぶ。
 「あらおっかない顔。そんなんじゃなくっ
て、きっといいお話だと思いますわ」
 「いい話?」
 修は首をかしげ、声にはださず、知ってる
んなら教えてよ、といった。
 受付嬢はくすっと笑いはしたが、心のなか
に何か思うところがあるらしくぎゅっと眉根
をよせた。
 「なんでもね、ひとり、若くて、おきれい
な女の方がね、総務課に配属されるそうで」
 宮本はぺこりと頭を垂れた。
「そんなこと知らんかった。まったく寝耳
に水や。こんな中途半端な時期にもう、あり
えへんな。今期の新入社員は、もうイッパイ
イッパイ人事が採ったはずなんだ」
 「詳しいことは、わかりません。大塚部長
にお聞きになって」
 受付の裏の壁にかかった時計が、午後一時
五分前をさした。 
 「失礼、早くいかないと遅れる」
 「ええ、そうしてください。始業前に、そ
の方のご挨拶があるかもしれませんから」
 「そんなに急ぎだったんだ。ますます、大
塚さんが信じらんない」
 修が、部署にもどるのと、始業のチャイム
が鳴るのと同時だった。
ようやくのお帰りで、と言いながら、大塚
部長が立ち上がった。右手で修を招く。
 「なんでしょうか、部長」
 ひそひそ話をするのよと言わんばかりに、
部長は、修の背広の袖をつんつん引っぱる。
 「西端さん、あなたってまったく困るじゃ
ないの。もっと早く戻れないの」
 小声で言う。
 「この日は特に急用があるようじゃなかっ
たようですしね、ちょっと外で食べようと思
いまして」
西端はそう言い、ぷいとわきを向いた。
 「まあいいわ。でもね、管理職なんだしね、
どんな用がふってわくかもしれないから、今
後は用心して」
 「はい、わかりました」
 西端は大塚の背をじろじろ見ながら歩いた。
 五分ほど経った。
 彼らは、若い女性をひとり引き連れ、再び
部室にもどった。
 どうしたわけか、修の顔が紅潮している。
 それに気づいた女子社員が、互いに顔を見
合わせ、ひそひそと話す。
 「みんなみんな、ちょっと聞いて。仕事を
始める前に紹介したい人がいるから」
 大塚部長が能面のような顔で、語りかける。
 ふたりの間に、明らかに美人とわかる女性
がひとり、新調されたばかりの紺のスーツを
身にまとって立っていた。
 総務部の女性社員の間から、まあ、きれい
と歓声が上がった。
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うぐいす塚伝  (8)

2022-01-22 17:11:07 | 小説
 何が、じぶんと洋子を、いま一度引き合わ
せたのか。
 ひょっとしたら、その秘密がたった今、明
かされるかもしれない。
 そう考えると、修は、冷静ではいられなく
なる。気持ちがたかぶり、心臓の鼓動が早く
なった。
 部屋にいるのは、洋子とじぶんの二人きり。
 修は、それを確かめようと、なんども首を
まわした。
 こんな偶然はふつうではない。万に一つと
いっても、過言ではない。
 修は心の中で、そう言いつのる。
 じぶんの願いを、神さまが聞き入れてくだ
さったんだ。ことと次第によっては、洋子を
両腕でひしと抱いてやらねば、と意気込む。
 ようやく、修が動いた。
 洋子のもとへと足を運ぶ。
 ゆっくりと、である。
 音をたてない。
 決して、洋子に、警戒心を持たせてはなら
なかった。
 緊張しているせいか、修は、あまりひげの
良くそれてない両ほほをへこませたり、ふく
らませたりする動作をくり返した。
 修はふと、背中に、鋭い視線を感じた。
 総務部のドアのひとつがほんの少し開いて
いた。
 その隙間から、丸い目がふたつ、修の挙動
を、じっと見ている。
 修は歩くのをやめ、最寄りの椅子に、よい
しょと声をかけながら腰かけた。
 ふたつの瞳は、修の目の前にあるパソコン
のかげに隠れて見えない。
 修は、洋子が気になる。
 彼女の方に視線を向けると、彼女は、また
コピー機を動かしはじめた。
 時おり、ほそい首を左右に大きく動かすと、
彼女の豊かな長い黒髪が宙に舞う。
 それを見て、修はあっと声が出そうになっ
た。
 彼女の行動は、若草山のいただきで起きた
ちょっとした異変を、修に思い起させた。
 (あのとき、宙にたなびいたのは、いった
い……、薄衣のように見えもしたが……)
 洋子のふたつの目は、確かに、コピー機の
動きをとらえている。
 しかしながら、不思議なことに、修はまる
で金縛りにでもあったように、洋子を注視し
たまま、ぴくりとも動けない。
 (これだけの時間がたったのだ。盗み見し
ている人間だって、他人の目がある。いつま
でもじっとしていられないだろう)
 パソコンの向こう側を見ようと、修は、自
然を装いながら、じぶんの上体を動かそうと
した。
 動いた。
 金縛りが解けたのである。
 ドアの隙間に、さっきの瞳はなかった。
 修はふうとため息をついて、立ち上がった。
 洋子のほうへ歩み寄っていく。
 だが、洋子はコピー機を動かすのをやめた。
 写し終えた大量の紙を、両腕でかかえ、立
ち去っていく。
 「あのう……」
 修は最後まで言いたかったが、よした。
 洋子が、ほかの部署へとつづく廊下へ通じ
るドアの前で立ちどまったのは、その時だっ
た。
 (おれのことを、彼女が待っている)
 修はそう思い、洋子のそばへと急いだ。
 彼がドアをそっと開けると、洋子はにこや
かに微笑みながら一礼した。
  

 
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うぐいす塚伝  (7)

2022-01-14 00:23:37 | 小説
 地からわいたか、それとも天から舞いおり
たか。
 西端修は、なんで、どうしてやと、自らの
頭の中で、若草の山でたまたま出逢った根本
洋子なる女学生が、じぶんと同じ会社のビル
にいるわけを考えてみた。
 中途採用で入社。
 それが事実のすべてである。
 だが、修なりの納得のいく理屈は、いくら
考えても見つからない。
 北関東出身です、と出逢ったときに、彼女
の口から聞いてはいた。
 だが、それだけのこと。
 彼女がこの会社に入る必然はまったくなかっ
た。 
 西端の頭のすみに、ふうっとひとつの思い
がわいた。
 ほんの少し前、じぶんが八幡山にのぼる坂
道の途中で、今ここにいる根本洋子そっくり
の声を聞いた。
 (あれはまぼろし、そうに違いないけれど
も。ひょっとしてこの事態の伏線だっただろ
うか。いや、そんなできすぎたことがあるわ
けがない)
 西端修は、じぶんの心の状態を、落ち着い
て振りかえってみたけれども、なんらの落ち
度もないことに気づくしかなかった。
 (奈良はいにしえのみやこ、なにかにとり
憑かれてしまったのかも……)
 そう思うと、若草山のいただきで目にした
ことが鮮やかにうかんでくる。
 「根本さん、そ、そこにすわって……、山
崎さんのとなり……、とりあえずね。あとで
定位置を確保するので。山崎さん、すまんが
ね、しばらく彼女をよろしく」
 そう言いながら、西端が、根本洋子を、彼
女の事務机にまで案内する際、何気なく、彼
は、洋子の肩に、そっと手を置いた。
 ほかの女子社員が注視するなかである。
 なかなか、修はじぶんの間違いに気づかな
かったが、あっと叫んで、ようやく、その手
をひっこめたとき、
 「あらら、課長ったら、この方と以前から
お知り合いなのかしら?おかしいじゃありま
せんかね。みなさん、人は見かけによらないっ
て、ことじゃないでしょうか?でもね、しょ
うがないかもよ、若いときからずうっとひと
り身でいらしたし」
 山崎文江は、首を長くし、ふたりを見守っ
ている年配の女性社員たちに向かって、はっ
きりと言った。
 文江は、仕事のことでよく、西端にみなの
面前で、間違いを指摘されていた。
 冷や汗だろう。西端のひたいから、じくじ
くとわきだして来る。
 彼は右手でこぶしをつくり、口に当て、うっ
ううん、と咳ばらいをひとつ、おおげさにし
てから、
 「あっそうそう、それで思い出したよ、山
崎くん。あとでちょっと応接室まで来てくれ
たまえ。いやなに、もちろん、この根本くん
の指導に関することさ。相談にのってほしい
ことがあってね」
 西端は、大塚部長の顔いろを観ながら、ぽ
つりぽつりとしゃべった。
 いつもは、人のことをいろいろ詮索する部
長だが、何も言わない。
 その日は終日、修は、大海原の中で、大波
に翻弄される小舟に乗っているような気分で
いた。
 終業のチャイムと同時に、ほとんどの社員
が、すばやく部署を去っていったが、山崎文
江は残った。
 「課長、きょうはとってもお疲れさまでし
たね。こんなことしたことがないですけどね、
少し肩をもんでさしあげましょう」
 「へえ、いや、いいよいいよ。そんなこと
せえへんでも。早く帰っていいよ」
 「だって、応接室に来いって、さっき」
 「あの言葉はその時だけのもの。そう言い
たい気持ちになっただけや」
 「もう、課長のいけず」
 山崎文江は、ぷんぷん怒りながら、部室の
ドアをあらあらしく開け、じぶんの体を外の
廊下にすべりこませると、後ろ手でドアノブ
を強く引っ張った。
 根本洋子はコピー機のわきにたたずんだま
までいる。
 ほかの女性社員に頼まれた、刷っても刷っ
ても容易に終わりそうもない書類の山と格闘
していた。
 「きみ、もうやめていいから。帰りたまえ。
うちの人が心配するから。入社そうそう、ど
うしてってね」
 「はい。でも課長さん、ちょっとわたしの
お話を聞いていただけないでしょうか」
 根本洋子が伏し目がちに言った。 
 

 
 
  


 
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春とは、いえど。

2022-01-09 10:18:08 | 随筆
七草がゆ。
こんな言葉を耳にしなくなって、どれほ
どたつだろう。

正月三ヶ日、ごちそうばかりいただいて
いて、どうも胸やけがする。
そろそろ、胃を休ませよう。

なずな、はこべ、ごぎょう、せり、ほと
けのざ、すずな、それにすずしろ。

これらの中に、かぶとだいこんがまじっ
ている。

読者諸氏は、それらを指摘することがお
できになるだろうか。
小生、みっつばかりを、ええっとこれだ
と思うと、言えるだけである。

春の菜がゆを食する習わしが、昔、わが
家では長い間つづいていた。
いつの間にか、それがぷつりと途だえた。

それに、三が日、あちらこちらと出歩い
ても、子どもが凧あげや羽根つきに興じ
る姿を見かけない。

あっ、そうそう、一度だけ。
小学三年くらいの男の子が凧あげをして
たっけ。
わきに、その子の父親らしきひとがおら
れた。凧揚げというのはな、こうやるん
だと、いわんばかり。見ていていかにも、
微笑ましいかぎりである。

子どもが外で遊ばない。
その分、うちでゲームをしているらしい。
理由のひとつが防犯。
子どもをかどわかし、不埒な行為に及ぶ。
果ては、誘拐や、なんと殺しまでやる。

残念ながら、わが県の片田舎で、小学一
年の女の子が左様なめにあった。 鋭利な
刃物でからだを、あちこち切られた。

鬼のしわざと言うしかない。

ふたたびのコロナ禍。
人と人との交わりを困難にする。

話をすこし、明るくしてみよう。

今はなき、村田英雄さんが、王将を歌い、
大ヒットを飛ばしたのはいつだったろう。
小生が中学三年だったから、昭和38年
ころだったか。
正月らしい正月を過ごせた。

このところ、渥美清さん扮する、寅次郎
を、テレビで拝見する機会が多い。

男はつらいよ

この映画のおしまいに、たびたび、半世
紀前の正月もようが映し出される。

私のような昔ものにとって、誠に安堵す
るシーンである。

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