油屋種吉の独り言

日記や随筆をのせます。

老いを感じても。

2022-09-14 06:22:00 | 日記
9月13日。晴れ。
残暑きびしく、気温が30度近い。
午前中、田んぼの草刈り。

広さは一反歩あまり、おおよそ1200平方メートルである。
両手で器械をふるうわたしは、疲れて思わずよろけてしまう。
体重が軽くなったせいもあるだろう。

近ごろ年老いたせいか、夜がよく眠れない。
からだがぬくもると、かゆくなるのだ。

直近の「うぐいす塚伝」
描いていて、思わず筆先が揺れた。
いったん、ネットに流した描写を手直してしまった。

となりの田んぼは、稲穂がゆれている。
大規模農家の方が作付けされたものだ。

安易に貸したくない。苦労してもいい。
そんな気持ちが、年老いたわたしを、野良仕事にかりたてる。

足を切らないよう、慎重に刈っていく。 
米や麦の作り方やらなにやら、義父にもっともっと教えて
もらいたかったなと思う。

汗といっしょに、涙がこぼれた。

はで木とはで足、それに乾燥機は、今も旧宅の倉庫でねむっている。
使わなくなってもう三十年あまり、年々朽ち果てていくばかりだ。

一条植えの器械、一条刈りの器械、それとバインダー。
ああそうそう、新しく購入した自走式の脱穀機もあったはずだ。
それらはどこにも見当たらない。
人に貸したのか、あげたのかさえ忘れてしまった。

むしろや布製の米袋が数十枚。
これらは今も大事にとってある。

「もう米作りやらないんだろ?」
いつだったろう。
年老いた親にそう言われた憶えがある。

次第に、米作りがおろそかになってきた頃のことだ。 
今はかろうじて、きゅうりやなす、それに馬鈴薯を栽培している。

この二十年、どうしたことか鹿やいのしし、それに猿たち。
色んなけものたちが山から里へとやって来る。

電流の流れる装置を水田のまわりに設置する方がいる。
畑だって丈が二メートルくらいのネットを張りめぐらさねば、野菜の
花芽を食い荒らされてしまう。

田んぼが草だらけになる理由は、ちゃんとあるのだ。

「おれの目の黒いうちは、器械植えなんてやらせない」
近所の長老格のお年寄りの言葉を思いだした。 








コメント (1)
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