ひとたび田舎を出て、宇都宮にでると、道に迷うばかりでなく、
人に迷うことが多い。
この街は人口およそ五十万。
全国的にも住みやすさでは群を抜く。
この日、県の施設であるマロニエプラザに用があった。
県道一号線と国道四号が交わる四つ角を北へ少しばかり進んだ
あたり。そうインターネットが教えてくれていた。
一度しか訪ねたことのないところであるので、早めに家を出た。
ちなみに愛車にナビは付いていない。
その言い方は、実は正確ではない。
というのは……。いつだったろう。
自動で洗車していて、車の屋根に付いていたアンテナをダメに
してしまっていた。
折りたたんでおけば良かったと悔やんだが、無駄だった。
時計が利かない。
好きなCDもむり。
ラジオも……。
ナイナイづくしで、しめて二十万近い値打ちものが、一瞬でゼ
ロになった。
ブロ友のみなさんにおかれては、わたしの失敗をひとつの教訓
にしてもらえたら有難い。
もっとも器械にうといわたしだから、失敗したのだろう。
おっと、話が脱線してしまった。
ちょっとばかり気遣いのいる会合。
先ずは身なりを気づかったが、あっ髪が、である。ぼさぼさの
まま、二か月余り切っていなかった。
ベレー帽をかぶっていればいいやくらいの怠惰さだ。
床屋に立ち寄ることにしたが、如何せん、土曜日。
格安で調髪します。それが売りのお店のせいか、かなり混んで
いた。
何だって値上がりのご時世。
お店は商売繁盛、二時間待ちだった。
一時間我慢して待ったが、目的地までまだかなりの道のりが残
っている。
渋滞がなければ、すいすい行きつけるのだが、宇都宮駅周辺は、
昔から人出でにぎわうことで名をはせている。
「すみません。平日にでも、出直してきます」
スタッフのひとりにそう声をかけ、店を出る気になった。
「お客さま、車ですか」
「ええ。百円払えば、出られるでしょうから」
「あっ、それじゃ、こちらでサービス券をお渡ししますか
ら」
気遣いがうれしい。
(お昼どきになるから、どこかでかるく食べて行こう)
そう思いながらJR東北線のガードをくぐりぬけ、しばらく走った。
四号線との交差点に行きついたところで、よし、ここを左
に行けばとハンドルをまわす。
PCで道順を調べてきて良かったなと、心底ありがたかった。
どういうわけか、アイホンでグーグルマップが使えない。
アンドロイドを使用していた時は何ら問題なかったのに。
その理由を知る方がおられればに、聴いてみたいところである。そ
れとも過去のどこかで、グーグルさんの規約が変わったのだろうか。
走行車線を走りながら、視線をさまよわせる。
「すきや」の看板が目に入った。
注文したのは牛の並盛で、ミニサイズだった。
持ってこられるまでに、それほど時間がかからなかった。
それにはびっくり。
じいじはむかし昔の若者。 食事をとるには、食堂。
そう相場が決まっていた。
こんこん咳をしながら、マスクなし。親指をどんぶりにつっこんだ
まま、持ってこられて閉口したことがあった。
今は、とってもスマート。
スタッフがてきぱきと動く。
店内がきれいで、気持ちがいい。
スタッフは稼ぎ時とあって、とても忙しい。
「マロニエプラザはこの辺りでしょうか」
隣にすわる若者に聴いてみた。
しかし、すぐの返事をもらえなかった。
観ると、彼の両耳に何やら白いものがつっこんである。
わたしの口の動きで訊ねられているいるのがわかったのだろう。
その若者は驚いたげに目を見ひらき、長い線の付いた耳栓をひとつ
ひとつはずしてくれた。
「わかりません」
その一言をわたしに与えてくれただけでも、うれしく有難い。
人に迷うことが多い。
この街は人口およそ五十万。
全国的にも住みやすさでは群を抜く。
この日、県の施設であるマロニエプラザに用があった。
県道一号線と国道四号が交わる四つ角を北へ少しばかり進んだ
あたり。そうインターネットが教えてくれていた。
一度しか訪ねたことのないところであるので、早めに家を出た。
ちなみに愛車にナビは付いていない。
その言い方は、実は正確ではない。
というのは……。いつだったろう。
自動で洗車していて、車の屋根に付いていたアンテナをダメに
してしまっていた。
折りたたんでおけば良かったと悔やんだが、無駄だった。
時計が利かない。
好きなCDもむり。
ラジオも……。
ナイナイづくしで、しめて二十万近い値打ちものが、一瞬でゼ
ロになった。
ブロ友のみなさんにおかれては、わたしの失敗をひとつの教訓
にしてもらえたら有難い。
もっとも器械にうといわたしだから、失敗したのだろう。
おっと、話が脱線してしまった。
ちょっとばかり気遣いのいる会合。
先ずは身なりを気づかったが、あっ髪が、である。ぼさぼさの
まま、二か月余り切っていなかった。
ベレー帽をかぶっていればいいやくらいの怠惰さだ。
床屋に立ち寄ることにしたが、如何せん、土曜日。
格安で調髪します。それが売りのお店のせいか、かなり混んで
いた。
何だって値上がりのご時世。
お店は商売繁盛、二時間待ちだった。
一時間我慢して待ったが、目的地までまだかなりの道のりが残
っている。
渋滞がなければ、すいすい行きつけるのだが、宇都宮駅周辺は、
昔から人出でにぎわうことで名をはせている。
「すみません。平日にでも、出直してきます」
スタッフのひとりにそう声をかけ、店を出る気になった。
「お客さま、車ですか」
「ええ。百円払えば、出られるでしょうから」
「あっ、それじゃ、こちらでサービス券をお渡ししますか
ら」
気遣いがうれしい。
(お昼どきになるから、どこかでかるく食べて行こう)
そう思いながらJR東北線のガードをくぐりぬけ、しばらく走った。
四号線との交差点に行きついたところで、よし、ここを左
に行けばとハンドルをまわす。
PCで道順を調べてきて良かったなと、心底ありがたかった。
どういうわけか、アイホンでグーグルマップが使えない。
アンドロイドを使用していた時は何ら問題なかったのに。
その理由を知る方がおられればに、聴いてみたいところである。そ
れとも過去のどこかで、グーグルさんの規約が変わったのだろうか。
走行車線を走りながら、視線をさまよわせる。
「すきや」の看板が目に入った。
注文したのは牛の並盛で、ミニサイズだった。
持ってこられるまでに、それほど時間がかからなかった。
それにはびっくり。
じいじはむかし昔の若者。 食事をとるには、食堂。
そう相場が決まっていた。
こんこん咳をしながら、マスクなし。親指をどんぶりにつっこんだ
まま、持ってこられて閉口したことがあった。
今は、とってもスマート。
スタッフがてきぱきと動く。
店内がきれいで、気持ちがいい。
スタッフは稼ぎ時とあって、とても忙しい。
「マロニエプラザはこの辺りでしょうか」
隣にすわる若者に聴いてみた。
しかし、すぐの返事をもらえなかった。
観ると、彼の両耳に何やら白いものがつっこんである。
わたしの口の動きで訊ねられているいるのがわかったのだろう。
その若者は驚いたげに目を見ひらき、長い線の付いた耳栓をひとつ
ひとつはずしてくれた。
「わかりません」
その一言をわたしに与えてくれただけでも、うれしく有難い。