安倍内閣は、臨時国会に大臣補佐官に関する法案として、国家公務員法改正法に関連する法案の提出する事を計画している様だが、この中に公務員の人事を一元化する「内閣人事局」を新設する事も含まれている。
この法案に対し、与党からは大きな反論は出なかった様だ。
そして「自民、公明両党は25日に開いた公務員制度改革に関するワーキングチームの会合で、閣僚を補佐する「大臣補佐官」を新設する方針を確認した。関連法案を10月召集の臨時国会で成立させ、来春の設置をめざす。各府省での政治主導の政策決定の体制を強化する。
大臣補佐官は政策立案や企画などを担う特別職とし、閣僚の申し出で内閣が任免する。非常勤も可能で、国会議員も就けるようにする。」(日本経済新聞2013.09.26)となっている様だ。
だが、「国家公務員の幹部人事を一元化する「内閣人事局」の来春設置を巡っては、総務省から内閣人事局への部門移管を巡りさらに政府内で調整する。人事院からの部門移管についても公明党が慎重論を唱えており、引き続き協議する」(日本経済新聞2013.09.26)とされ、今後の公明党がどの様な判断をするかが、一つの鍵となるのかもしれない。
国家公務員制度改革を狙った今回の柱となっているのが、「内閣人事局」とされている。これまで、国家公務員の人事行政は主に「人事院」、「総務省」が賄っている様だが、他にも内閣総務室などが一部任されているのだろうか。
内閣人事局には、人事院や総務省が賄っていた一部を移す事を目的とし、政府は審議官以上の幹部公務員の一元人事を行いたいとしている様だ。
そうする事により、総務省や人事院に任されていた公務員の人事管理で、幹部公務員を政府自ら人事管理する事により、真の政治主導をより強めたいとしているのではないだろうか。
これまでの日本の政治は、官僚主導と揶揄される事が多かった。実際には、省庁の長である大臣などが確かな指示を出し、それに従い官僚なども活動していたと思われるが、何時の間にやら官僚主導といった意識が根付かされてしまい、官僚は悪とも揶揄されていたと思われるが。
民主などは、国民を完全に無視した政権争いだけに集中していた、小沢の民主は官僚主導といった意識を道具として政府与党を責めるようになり、マスコミも同乗し批判の報道を繰り返す事から、人々の意識には日本政治は官僚により動かされていると意識は染み付いた。
当時の民主党は、官僚主導を強く批判し、政治主導を強く主張する事により政権交代も成功させたのではなかったろうか。
だが、民主に政治を賄う能力など無く、日本の財政・経済状況を悪化させるばかりで、何も改善すること無く更なる政権交代により、野党へと大きく下落していったが。
また、民主政権以前の自民党の政権では派閥の争いが揶揄される事が多くなかったろうか。そして各分野の派閥争の勢力によって、日本の予算編成は決められていくとされていなかったろうか。
派閥より内閣は圧され、なるがままに予算編成を行ってしまっていたと。よって、内閣は及び党内の派閥は強く批判されていた。だが、派閥は自民だけでは無く民主にもあった事があからさまとなり(クラブと称されていたが)、民主政権時代にはこの派閥の存在を批判する事は無く、現在でもマスコミは派閥を問題視するように報じる事は無い。
現在の自民は派閥の活動は行っていないと主張しているのではないかと思えるが、派閥は存在している事は間違い無い。その存在が政権に全く影響を及ぼしていないか否かは定かでは無いが。
だが、民主へ政権交代する以前のマスコミなら、派閥が存在しているというだけで大きく問題視し、批判する様に報じていたのではなかったかと思えるが、現在は問題視しようとはしていない。
過去に、派閥に対し常に批判的に報じていたマスコミの姿勢は一体なんだったのだろうか。活動だけでは無く、存在していること自体を激しく批判していたと思うのだが。
安倍内閣は、これまでの日本の政治の在り方を大きく変革しようとしているのではないのだろうか。故に、与野党に関わり無く、政府と政党を分離しようとしていると思われるが。その為に、国家公務員制度改革を行おうとしている。
その柱とされるのが「内閣人事局」ではないかとされている。
国会法案などは、政府と与党が結合して骨子など作成していたのではないかと思われるが、その様な事など行わず、政府だけで法案を作成し、国会提出しようとしているのではないか。
そして、国会討論は与野党に分けるのでは無く、全ての政党としっかりとした討論を行い、法案の内容を決定していく。その様になる事を、望んでいるのではないかと思われるが。
「内閣人事局」の長は、当初は政務、事務、官房副長官から首相が指名するとされていた様だが、官房副長官がなるとされた様だ。
これまで、各省庁の官僚の人事を全体的には総務省人事・恩給及び、人事院が賄っていたが、これらから幾らかの権限を内閣人事局へ移管し、政府で各府省の幹部公務員の一元管理を行える様にする事を目的としている。
だが、内閣補佐官は内閣人事局の公務員だけでは無く、国会議員が兼務する事も可能としているようだが。
現在の展開では、閣僚から補佐官の任命の要求があれば、内閣が内閣人事院が任命する事になる仕組みとなりそうだ。
また、所属している省庁に関する知識では国会議員よりも長けているのかも知れない。
その長けている部分を利用して、閣僚の行おうとする政策立案や企画を補佐する特別職とするとしている。
だが、稲田行革担当相が「これまでは官房長官が主宰する「閣議人事検討会議」で局長級以上の約200人の幹部人事を決めていました。それをなくして、内閣人事局ができると、政策の企画立案に当たる審議官級以上の最低600人の公務員が対象になります。
ただ、誰をどのポストに就けるかの任命権は、今まで通り各省庁の閣僚に残ります。内閣人事局は閣僚から人事の提案を受け、人事評価資料に不備がないかを確認します。そして、首相と内閣官房長官が、その人材がポストにふさわしい能力、実績があるかを協議する仕組みにします。
内閣人事局では、幹部候補を養成する課程も新たに作り、採用試験の結果にかかわらず幹部に登用できるようにします。今の形骸化した研修を充実させ、研修を受けたことが将来のキャリアにつながるようにすれば、民間にも自力で行けるような公務員も増え、官民交流も拡大すると考えています。」(産経新聞2013.8.29)と語っている様だ。
そして、安倍首相も「真の政治主導の下、公務員が使命感とプロの誇りを胸に積極的に行動できる制度を作ることが急務だ」(毎日新聞2013.6.28)と語っていた様だ。
公務員にもそれぞれの分野に長けた能力を持つ者は多くいる筈だ、それらの能力を持つ者達を閣僚などから指示された事をなす為だけに利用するのでは無く、もっと広い分野で活躍できるようにしなければならない。
でなければ、大事な能力を使う事無く捨ててしまう事となっているだろう。その様な事などせず様に、日本の為に活用して行って貰いたいし、活躍して行って貰いたい。