小嶋つうしん(号外)

(元)大分県議会議員 小嶋秀行の徒然ブログ

働くということ

2023年06月29日 | 社会
 自治体議員の任期を終了して今日で二か月が経過した。議員で活動していた時期と今では、180度生活が変わった。変わった詳細な中身はともかく、生活におけるルーティーンの変化に多少の戸惑いがある。が、これは仕方がない。退職してほぼ一か月間は、(頭と)身体を癒すのに費やした。そんな中、一日中何も目的も予定もなく過ごすことに、ある種の衝撃というか恐怖というかこれまでの生活では考えられない不安に苛まれた。「こんな暮らし方(生活)がこれからも長く続くなら、いっそのこと仕事でも」。

 実は、初めての職安へ(会社勤めのころは、端末機のメンテナンスで何度も訪れたが)そして、「お目当ての会社」検索。担当の方がとても親切で分かりやすい説明。スムーズに「お目当ての会社」への「紹介状」へと至った。そして、即日面接時間が決まり、結果、一日で仕事をゲットできた。仕事探しを思い立ってから3日目のことである。

 なんと、26年ぶりの現場仕事へ従事となった。68歳の「新入社員」を迎え入れる会社スタッフも心中穏やかではないようだ。普通の会社なら退職している年齢の人間が突然混じってきたら、私でも戸惑うと思う。働き始めてひと月が過ぎたところで、仕事内容も大分把握でき、段取りも半分以上掴めた。あとは人間関係の様々。これが私の小心を揺らす。

 四半世紀にわたり実際の労働現場に居なかったことで、人との交わり方を忘れているようだ。この年齢になっても若い先輩社員に「気遣い」が必要なことは予め理解できていても、私にも「感情」というものがある。が、グッと飲み込んで過ごす局面が事何度も何度も。実際の仕事の進捗は、任された仕事内容を着実に実施することで事は収まるが、「そうか、実際の職場で働くという事はそういうこともあるのか」。

 これからどれだけの期間この会社で働き続けるかは不明だが、今は、この職場での人間関係の充実と仕事内容の(個人的)探求に思いを致し、自分なりに楽しい職場にしていくことを目指してみたい。これに、会社の業績アップのため、議員活動で得た私自身のバリエーションをどれだけ生かせるかが重要になってくるとも思っている。

めざす!教育の無償化

2023年02月23日 | 教育
 先日早朝、「めざす!教育の無償化」の幟旗で街頭宣伝活動中、二人の高齢者から声をかけられました。一人目「無償化に大賛成だ頑張れ!ヨーロッパでなどでは主流だね」。二人目、「無償化している国が何処にあるのか!」という意見です。「OECD加盟34か国中17か国で」と答えると「規模の小さい国家だからできているんだ」と言って立ち去りました。

 立憲民主党は、「教育の無償化」に関して以下の様に考えています。
「国公立大学授業料の無償化に加え、私立大学生や専門学校生に対しては、国公立大学と同額程度の負担軽減を進めます。学ぶ機会が、家庭の経済力に左右されずに、誰もが同じスタートラインに立てる社会の実現を目指します。奨学金制度の拡充で学生の生活費等も支援 します。」「学ぶ機会が、家庭の経済力に左右されずに」という点は、とても重要な考え方だと思います。

 以前、仲間と一緒に訪れた飲食店でのこと。そこで働く女性が、「奨学金を払い終える(40歳代)まで、昼も夜も働かないと返せないので」という話題になりました。こういう環境に置かれた若者は、正確に把握できていませんが、多いと思います。文字通り家庭の経済力によって、学ぶ機会が左右された一例と思います。多くの若者がこうした状況に置かれているとしたら、日本の将来の成長力に大きな影響が出ると思います。つまり、高い学習意欲を持つ若者が、家庭の経済的理由で学ぶことを断念したり制限を受けているとするならば、この国(自治体を含む)としての人材確保が狭められてしまうと思うからです。ここに「教育の無償化」の一つの意義があります。

 ただ、この「教育の無償化」は、国策です。地方自治体では全部は手は届きません。とはいえ、地方で暮らす国民全般に関わる課題だからこそ、逆に地方自治体(地方議会)から声を強く大きく挙げ続けることが重要で、国任せでは進みません。所得制限などが付いたり、「子ども手当」のように、制度そのものが縮小したりの繰り返しです。もとより、財源をどこに求めるかなど大きな課題もあります。それだけに「教育の無償化」とは、日本社会の大転換を図るだけの論議と準備が必要だと思います。大分県そして大分県議会としてその気になれるかどうか、今後にかかっています。

子ども手当の復活

2023年02月09日 | 教育
「異次元の子育て世代支援」には「こども手当」の復活が不可欠

 今年は春の統一自治体選挙で、県議会議員の改選はもとより、県知事と大分・別府の市長の改選が予定されています。特に、県知事選挙は5期20年に亘り県政を指導した広瀬知事が勇退されるということで、新人同士の選挙戦です。
また、大分・別府両市の市長選の内大分市長選挙は注目が集まることと思います。両市で県の人口の約54%が暮らすことから、大分県も大分市も新たな体制のもとで、創造的な発展を期待したいものです。

 さて、第211回通常国会が始まりました。150日の会期で6月中旬まで。
 施政方針演説で岸田総理は、「異次元の子育て支援」を言い始めました。また、「賃上げ」を企業にお願いするといいます。『企業が収益を上げ、その果実が労働者に配分され、消費が伸び、経済が成長するという好循環の鍵を握るのが「賃上げ」だ』と強調します。そして、『持続的に賃金が上がる「構造」を作り上げる』とも言います。これは凄い事です。労働者側に立つ我々からすれば「大歓迎」すべき発言です。が、ほぼ同様の趣旨で「内需の拡大」と、これまで何十年もの間労働組合が要求してきたにもかかわらず、この30年間ほとんど賃金は上がっていないばかりか、平均でマイナス傾向にあるのは、世界広しといえど日本だけです。

 かつて、故安倍総理も賃上げを任期後半口にするようになりましたが、就任期間8年間余で賃上げが実現できた年は何年あったでしょうか。この点、1月24日の某紙朝刊では、「期待できない」が70%を超えていましたから、驚くべき事態です。経済団体も最近は、物価が上がっているからそれに見合う賃上げは「当然」の様な口調に代わっているように見えますが、個別の企業で積極的な賃上げを検討しているところはまだ少数派です。

 「異次元の子育て支援」ですが、異次元とまで言うのであれば、なぜ自民党は、民主党政権時代の「こども手当」に反意を示したのでしょうか。ある意味、異次元の「こども手当」だと一部評価されていましたが、結局、自民党政権の復活以後、これを所得制限付きの「児童手当」に戻してしまいました。もともと子育て支援がどうして必要かが理解できていないから、相反する政策を事もなげにやる。これが現政権の実態です。「異次元の子育て世代支援」には、この「こども手当」の復活や、「教育費の無償化」実現を今次統一地方選挙の争点にすべきだと思います。


水素エネルギーの産業化に向けた今後の展開

2022年12月12日 | 政治・経済
令和4年第4回定例会(11月27日開会)では、脱炭素社会に向けた対応について、広瀬知事の提案理由説明で次の様な発言がありました。

 『これからの産業振興にあたっては、カーボンニュートラルの実現が不可避の命題であり、いずれの業界も難しい舵取りを迫られています。特に大分コンビナートは、もちろん県経済の牽引役でありますが、二酸化炭素を多く排出していることも事実です。このため、その事業継続と脱炭素の両立は、今後の県勢発展にかかわる死活問題となっています。将来世代のためにも、企業群・行政ともに、相当な覚悟をもって、この難局に挑まなければなりません。
 申すまでもなく、コンビナートは、基礎素材産業各社の工場施設等がパイプラインで繋がり、原材料などを相互利用しながら、全体として運営の効率性を高めています。こうした強みを脱炭素化にも生かしていくには、次世代エネルギー、水素を軸に、新たな企業間連携が求められます。そのため、関係各社と行政・有識者が集結した「ものづくり未来会議おおいた」において、「グリーン・コンビナートおおいた」を旗印に、大分コンビナートの将来に向けた多角的・現実的な論議を進めているところです。
 また、大分コンビナートと共にある大分港は、世界最大級の大型船が満載状態でも着岸可能な大水深の港であり、我が国有数の貿易港です。この先、水素を海外から調達するようなことになれば、そのメリットを存分に発揮してくれるものと思います。水素に関しては、足元でも、地熱などの再生可能エネルギーによるグリーン水素の製造実証をはじめ、大分コンビナートの副生水素を利用した停泊船舶への海上給電の可能性調査や産学官による「水素透過金属膜を活用した水素精製技術」の研究開発などが進んでいます。技術的なハードルはなお高いものの、水素の製造から利活用まで、様々なチェレンジが県下に沸き起こっているところであり、水素エネルギーの産業化に向けた今後の展開が楽しみになってきました。』

 以上が補正予算を提案する、第4回定例会の冒頭発言の一部ですが、私は、この中で県が今後の水素エネルギーの産業化にむけ、一つの決意を表明しているものとして受け止めました。もともとポテンシャルの高い大分県ですから、県の脱炭素の一環として充実した取り組みに、大いに期待していきたいと思います。
 最後に、訂正があります。前にアップしました「水素エネルギーの利活用」についてのブログの中で、「県がホーバーフェリー二台を購入し」と書きましたが、正確には「県がホーバーフェリー三台を購入し」でした。訂正し、お詫び致します。
 ちなみに、この三台の購入費用は約41億6千万円を予算化しています。今にして思えば、このホーバーフェリーのエンジンも水素エネルギーで動く様にしておけば良かったですけどね。少し高くつくかもしれませんが。CO2フリーですけどね。




水素エネルギーの利活用

2022年12月09日 | 地方行政/議会
 脱炭素(カーボンニュートラル)には、水素エネルギーの利活用が欠かせないことを、前のブログで書きました。その中で、特に大分でも「水素バス」を走らせようと提案しましたが、水素バスがまだ高額であることから、「上下分離方式」でと書きました。その意味は、当面は自治体が車両を購入し、バス会社が運行管理するという「手法」の事です。
 ご存じの方も多かろうと思いますが、県が近く大分空港と大分市を海路で結ぶ「ホーバーフェリー」が来年春以降運行開始します。この運行に際し、県がホーバーフェリー二台を購入し、運行管理は、入札で決まった第一交通が行うということにしています。既に、この他にも県内の地域の中でバス路線を維持するため、自治体がバスを取得し地域のバス会社がこれを運行管理するという「上下分離方式」で運行されていますから、水素バスが普及拡大するまでの間は、国と自治体が助成制度を創設して、積極的な脱炭素の取り組みの一環にすることがよいと思います。
 現在、ネックになっているのは、水素バスの購入に多額の経費が必要であり、エネルギーの供給施設の建設や自動車整備などを含め関連するサプライチェーンの構築がまだまだという点です。大分市内でも水素自動車を走らせているのは、確か大分市が公用車に二台という程度でしかありませんから、水素エネルギーの活用の機運醸成をどのように図るかが大きな課題です。
 今後にむけ提案できる点を二点挙げておきますと、一つは、JRの在来線で、ジーゼルエンジンが搭載されている気動車を、近い将来水素エネルギーで走る気動車に切り替えること。もし将来、大分駅から杵築駅を経由し、大分空港まで線路が引かれることが実現すれば、この水素列車を活用する。また、二点目として、県企業局が水力発電している電力、また、松岡地域でソーラー発電している電力などを、現在電力会社に売電していますが、この電力を使って一部を水素エネルギーに転換し貯蔵すること。そしてバス路線に活用するなど考えられると思います。
 県内では、約600台のバスが運行されているといわれます。これをすべて水素バスにするとなれば相当な期間と費用が必要ですが、私は、近い将来そうした取り組みの積み重ねの上で、バスのみならず運輸部門の脱炭素への一つの方法として水素エネルギーの活用が求められはしないでしょうか。
 次回は、県議会本会議で広瀬知事の提案理由説明での発言内容の一部をアップします。


大分でも「水素バス」を走らせよう!

2022年12月07日 | 地方行政/議会
 「とれる魚 様変わり」という記事が、11月24日地元紙で掲載されました。理由は、「気候変動 水産物への(マイナス)影響」とありました。地球温暖化で海や河川の水温上昇に伴い、県が漁獲量や養殖期間にマイナスの影響が出ているとみている水産物が13品目に上るというのです。一方、暖水系の品目(サワラ類)ではプラスの影響もあるとも報じています。
 前から海面温度の上昇は報道されていましたので気になっていましたが、今回の地元紙の内容では、『海水温1度上昇は、陸の10度前後の上昇に相当すると言われる。魚介類の世界が変わった中で、疲弊する漁業の衰退が進めば日本の食料自給率は下がる。食糧安全保障の観点からも国の漁業者支援が必要』と、国際海洋学会の専門家が意見を述べています。
 国の漁業者支援が必要との意見はとても良く理解できます。ただ私は、それ以上に温暖化を助長させないための「脱炭素」の取り組みが喫緊の課題だと思います。これまでにも、長々と化石燃料を大量に消費してエネルギーを生産していますが、これを再生可能エネルギーへ大転換させることこそ、海水温の上昇を止める主要な手立てだと思うのです。

 「脱炭素」とは、俗に「カーボンニュートラル」とも呼ばれますが、脱炭素の一番バッターはやはり「水素エネルギー」だと思います。県議会の令和4年第4回定例会で、県として民間と協力して水素開発に力を入れることを知事が表明しました。「水素エネルギー」は、開発に手間暇と高コストがネックではありますが、だからこそこれを国が主導し開発を急ぐべきだと思うのです。
 先日出張で東京都に赴きました。目的地への道すがら、「水素バス」の走行を随所で見かけました。東京オリンピックの際、都が、選手団の移動用として100台調達するという話がありました。その後の活用として路線バスにこれを活用しているのだと認識しました。東京都は、脱炭素の先進都市としてカーボンニュートラルを実践しているのです。
 東京都と都市規模や財政規模も大きく違う大分県ですが、それぞれの自治体で、脱炭素の取り組みは同じ様に実践しなければなりません。そうであれば、その一環として県が率先して国の援助を受けつつ「水素バス」を逐次購入し「上下分離方式」で一般バス路線活用という政策的見地が必要と思います。それほど今は脱炭素の取り組みを急がねばならない時代です。
冒頭の「とれる魚 様変わり」と報道されるに至るには、長期間のCO2排出が原因で、これを限りなく「ゼロ」にしない限り、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼすという事ですから、すぐさま行動に移さずにはいられませんね。

物価高と円安

2022年10月22日 | 政治・経済
ガソリン価格
 このところ連日「物」の値段が話題になっています。その一つ、大分県内でガソリンの単価が高いのは既に知れたことで、隣県の福岡県域と比較して10円から20円の差があり、九州管内でも1位2位を争う高さです。車のユーザーは「大分市に石油精製基地があるのに何故」と疑問視する声は多く、おそらくは「カルテル」(販売地域協定)紛いの約束事があるのか、GSが多数設置され競争が厳しいからか。かつて、「激安!」をうたい文句に県内に参入し営業を始めた「○陽〇油」(現在は名称変更)も今や県内平均の数値に近似値です。消費者の立場から、これを疑問視するだけではなく、改善の方途がないのか、検討の余地が大いにあると思っています。
物価高
 一方、生活消費材の高騰が著しいことに目を見張るものがあります。今朝の地元紙でも「消費者物価3%上昇」(31年ぶり伸び率)と、一面で取り上げる程の上昇幅です。「消費税増税(2014年9月)以来8年ぶりの大きさで、消費税増税の影響を除けば1991年8月以来31年1カ月ぶりの伸び率」との報道でした。以下、詳細はその紙面にある通りですが、困るのは電気代13.8%、ガス代が11.6%と大きく値上がり、食料は5.2%、外食4.9%と驚くほどです。この状況がどの程度続くことになるのか、子育て世代や高齢者所帯への影響は大きく、開会中の国会での論議を通じ、何がしかの(緊急的)手立てが必要ではないかと思います。
「ゼロ金利」解消へ動くか
 こういう物価上昇の状況は、政府もおそらく想定外なのでしょうが、日米の金利差がまねく円安が無関係ではないと思います。この円安に対し、日銀も今のところ「ドル売り円買い」の方策(異次元の金融緩和)など残された手立ては先細く、あと半年となった黒田日銀総裁の任期いっぱい続くであろう「ゼロ金利」政策が、その後どのように動くのかに関心が集まっていると言えましょう。また、仮に日米の金利差解消策で金利が上昇すれば、国家財政にも大きな影響(債務残高1000兆円越)があり、日本経済の行く末は極めて不透明(でカオス)な状況に陥っています。今こそ政治が大胆に動く時だと思います。
 

この日本をどのような国にしようとしたのか!

2022年10月13日 | 政治・経済
 終わった話ではあるが、安倍晋三元総理大臣の国葬にはとても違和感があった。政府の説明は、「歴代総理の中で就任期間が長い」という。また、「国際的に世界各国との関係改善に貢献」も挙げたが、これは、日本としての経済援助を国として誰もが行う事に他ならない。
 違和感の二つは、誰もが知る「森友・加計問題」。我々から見て全くの「未解決」であること。政府関係文書の改竄等も真実はいまでも全く明確でなく一方的に終息させた形のままだ。
 まだある。特定機密保護法、集団的自衛権の法制化、黒川検事総長の定年延長問題、さらに「桜を見る会」問題もうやむやにしたのは、記憶に新しい。
加えて今回の(旧)統一教会問題。これは、結果として安倍氏の死後明るみに出たが、ここまで根が深い問題だと誰が知っていただろうか。それも、親、祖父の代からの因縁が明るみになるにつれ、いったい彼ら(自民党)は、この日本をどのような国にしようとしてきたのかが問われている。
 こうした背景から、県議会県民クラブ会派として「国葬中止」を中心とした意見書を提出した。しかし、自民党、公明党はじめ3つの一人会派による多数を以って。不採択。世論調査も6割以上が「国葬反対」を意思表示したが、民意は届かなかった。イギリスの国葬とこうも違えば、あきれるばかり。 
 結果的に予算委員会も経ずに用いた16億円余の税金の使い方も全く誤っていると、断罪するのは大勢の見方だ。(旧)統一教会問題はこのままうやむやにせず、関係議員の状況も明確にすべきと多くの国民が求めている。

乏しい限り 国の当初予算に占める 教育費の伸び

2022年07月19日 | 教育
乏しい限り
国の当初予算に占める教育費の伸び

 2018年の初等教育から高等教育の公的支出が、GDP(国内総生産)に占める割合は、日本が4.0%で、OECD(経済協力開発機構)平均4.9%を下回っていることが、OECDが2021年9月16日に発表した調査結果より明らかにされました。これが日本の教育の姿です。それによると、2018年の初等教育から高等教育の公的支出がGDPに占める割合は、「チリ」と「ノルウェー」がそれぞれ6.6%と最も高く、「イスラエル」「ニュージーランド」各6.2%、「イギリス」6.1%、「アメリカ」6.0%等が続いています。

 一方、「日本」は、前述の4.0%と、比較可能な37か国中、最下位から8番目で、OECD平均は4.9%、EU22ヵ国平均は4.4%でした。日本は、OECD加盟国の中で、GDPに占める教育支出の割合が最も低い下位25%の国に属します。こんな状況になったのは、長く続く自民党政治が誘因と言って過言ではありません。平成の30年間が「失われた30年」と揶揄される所以です。その証左を一つ。この30年間で当初予算に占める教育費の増額は、約3,000億円にとどまっています。国家予算は、66億円から107兆円に41兆円伸びていますが、教育予算は5兆1千億円から5兆4千億円。この程度の伸びですからこれでは国の当初予算に占める教育費の伸びは乏しい限りです。

 国の歳出総額のうち、文教及び科学振興費割合は、下がって5%のままです。国の基礎を築く人材の育成にかける予算が、少なければ少ないほどグローバル化する世界に日本は取り残されてしまいます。義務教育費国庫負担金は、1/2から1/3に減額され地方負担分が増えたままです。これが国際的比較で公的支出がGDP比で低位の大きな原因です。

 参議院議員選挙ではあまり論議にはなりませんでしたが、今後「教育の無償化」政策と併せ、この重要な課題を積極的に論議したいと考えています。
 (小嶋秀行)






議員のあいさつ文 官僚任せ」の記事

2021年12月22日 | 政治・経済
「一部の国会議員が(支援団体等での)あいさつ文や講演資料を、省庁任せにしており、年間400件程度の依頼」という記事を見た。「野党議員分も一部にそういうことが」と付け加えられていた。率直に言って、それくらいは自分が書くべきで、まして政策秘書を雇用できる立場にある国会議員であればなお更の事ではないだろうか。

 これに対し、政府は、「議員の調査事項の範囲」として、問題視していない。立法府の立場にある議員が、行政府の職員に挨拶の原稿や講演資料を作らせるとは本末転倒であり「馴れ合い」と見られるだけでなく、本格的な論戦(各委員会や本会議等)で、議員として行政府側の課題や問題点の指摘、さらには、政策の提言はできないであろうと思われる。

一方、省庁の公務員の働き方からしても疑義が生じる。職員の負担もさることながら、公務員は、議員の指示で働いておらず、この点、議員と行政職員との間では、しっかりとしたケジメをつけておくことにより、緊張感ある論議もできようというもの。「馴れ合い」では決して良い政治も行政も生まれない。

 県議会でもそういう側面はなくもないが、議会事務局という機能があり十分な役割を果たしている。議長や委員長による会議の運営に関し、それぞれが運営の手順書として「次第書」を作成するのは不可能な点が多々ある。したがって、議会事務局として過去の例なども引いて作成するのが通常の姿。議長や委員長などの挨拶文(の一部)もしかり。県議会や地方議会では政策秘書的な役割を果たす「職員」は確保されていないところに大きな違いがある。

 国会議員にまつわる話題がもう一つ。総選挙後の「文書通信交通滞在費」(文通費)が大問題になっている。文通費(月額100万円)は、歳費法で「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」と規定されている。日割り支給の仕組みはない。その上、領収書や使途の報告は不要のため、「第2の給与」とも言われているらしい。

 この点、県議会の政務活動費(月額30万円)とは全く異なる。「第2給与」どころか、当然のこととして、毎月1円以上の領収書の提出が必要。定期的に使途が公表され、残金は返納が当たり前。有権者に近い位置にある地方議会ではそうした「営み」だが、有権者の目の届きにくい場所では、ある意味“何でもあり”(みんな黙っていた)状態が長く続いてきた事に驚きを隠せない。これを機会に「税金の使い方」として早く正しい姿にすべきと思うのは、有権者としての思いだ。

議会のDX化さらに進む

2021年12月19日 | 地方行政/議会
本会議場で情報機器の使用が可能に
 大分県議会では、これまで、本会議場に情報端末を持ち込む事が、議会規律の維持という観点から禁止されていました。しかし、今回の第四回定例議会までに、各会派等で協議を重ねてきた結果「情報機器の使用に関する申し合わせ事項」を改正することで、本会議場への持ち込みを可能としました。
 本件に関しては、かねて一部議員からの強い要望や、全国的にも議会の「DX化」が進み、本会議場への持ち込みを可能とする県議会が増えた事もあり、今回、議会運営委員会で合意を得ることとなりました。

委員会審議の際のコロナ対策として
 既に、各委員会審議の際には、平成30年第一回定例会で、スマホやタブレット端末などの持ち込みを可能とする申し合わせが出来ていましたが、今回、本会議場へ持込できることとなったことで、議員による議案等の審議の充実が更に図られることとなりました。
 あわせて、委員会の際のリモート会議を実現する情報機器の導入や、委員席の発言マイクスタンド改善なども行われました。これまで、委員会審議の際の議員席では、2~3本のワイヤレスマイク持ち回り(都度の消毒なし)で発言する状態でしたが、「このコロナ禍でこうした状態が適切かどうか、早急に検討すべき」との意見を提案したことをきっかけに、議会運営委員会等で協議の上、詳細を(会派代表として)現在所属する「政策検討協議会」で協議、その具体化を図りました。

本会議・委員会等会議のペーパーレス化も進みます
 現在、議員にタブレット端末を戸別配布(新年度実施)することによる、議会のペーパーレス化について協議中です。既に、県の情報化を推進する立ち場にある商工労働企業委員会では、先駆けて執行部側からの説明をタブレットによる説明に変えており、残る5委員会も同様の会議模様となります。

政策課題調査先(他県庁等)とリモート会議も可能に
 また、コロナ禍でリモート会議が定着しつつありますが、これまで議員が視察先まで出張して調べていた他県の政策課題調査で、現場視察が伴わない場合は、リモート会議が可能な情報機器を活用して行うよう条件整備も行いました。

進む高齢化社会の中で実際に起きている事

2021年10月26日 | 社会
 本年6月、大分市内で介護疲れから、実母を殺めるという大変不幸な事件が発生ました。介護保険制度を十分活用していなかったという内容の報道もありました。また、近所との付き合いも少なく、なぜそうなったか、新聞報道では「介護に疲れた」とのことでした。
 この事件をきっかけに、議会で「介護保険制度の将来」について質問を行い、いわゆる「ケアラー」(介護者)の実態についても十分な調査を行う必要性を問いました。県は、その必要性を認め、「自治会や民生委員さんなどとの連携もこれまで以上に必要だ」と述べました。
 介護保険制度の基本は「在宅介護」であり、「介護の社会化」として20年前に制度ができました。その後、紆余曲折を経て今日の姿になっていますが、現在は「地域包括支援システム」が整備され、かつ「施設介護」の条件は「要介護3」以上の被介護者であることとされています。
昨年の段階で「要介護3」以上で、施設入所待機者が3000人を超えていると言われ、そのそれぞれの被介護者に寄り添う、家族を中心とした「ケアラー」(介護者)がいるとするならば、そうした方々に対する早期の調査と対策が必要ではないか、二度と県内で同じような不幸な出来事が起きないよう手を打つ事を求めました。
 その矢先、10月に今度は別府市内で、義理の親を殺めるという事件が発生しました。この事件の場合は、事件捜査中であることから、詳細は不明ですが、親の介護に関して介護保険の手続きをとる段階で発生したといわれておりますから、6月の事件の様に長期間にわたる介護ではなかったようです。
親など(被介護者)が、認知症などを発症していればなおの事、ケアラーと呼ばれる方の苦労は並大抵のものではなさそうです。この問題を長期間調査研究している日本福祉大学 湯原悦子教授は次の様に述べています。
 「介護殺人が生じる世帯の多くは、自らの困難に対処する力を失っている。これらに対応するためには、適切な判断と支援を行える第三者の介入が不可欠である。もし危機介入が必要な場合でも、実際に介入を可能とするシステムが地域に整備されていなければ、本人の尊厳の保持や自立生活の支援だけでなく、家族もその人らしい生活が送れるように、という理念は絵に描いた餅になってしまう。保険医療福祉領域の専門職が適切に介入していくためには、公的責任による介護者支援のシステム整備が不可欠である。それなくして自助と互助を支援の拠り所にするのであれば、介護殺人の発生を防ぐことは難しい」と。(湯原悦子著 介護殺人の予防(介護者支援の視点から)より転載) 地域包括支援システムの真価が問われていると言えましょう。

コンプライアンス

2021年07月14日 | 社会
 子どもの通学路で、歩道と車道の境界が明確でない場所を通学路にしていたという責任は重いと思います。そこに、飲酒したのち運転して列に突っ込み、あの忌まわしい事故が起きました。多数の死傷者が出たことに、強い憤りを感じる事件でした。
 一方、先の東京都議会議員で当選した議員が、免停中に自動車を運転していて事故を起こした事件。しかも、免停期間にも常習的に運転していたらしいことが、第三者の証言で判明しています。事故後、「二度とこうしたことが無いよう、自らを律していきたい」と述べたといいます。どんな神経の持ち主でしょう。

 最近起きたこの二つの事件には、一つの共通点があります。それは、“人が見ていなければバレない”という自己中心的な思い込みです。免停中に運転していた都議は、「今後このようなことが無いよう、自らを律して」といいました。事故を起こして無免許がバレたから自らを律するというのは本末転倒でしょう。
コンプライアンスの観点欠如が甚だしいこの事件で「自らを律する」とは、常に法律や条例のもとで活動する職務にある人間が発する言葉とは考えにくいですね。免停中(何が理由で免停かは不明)は、運転ができないことを全く理解しようとしていない。どこをどう律すると言うのか一度聞いてみたい。

「誰も見てはいない、バレない」が根底にあることで、飲酒運転ドライバーの場合は、おそらく長い期間同じようなドライバー生活が続いていたと推察されます。トラックの助手席には相当数の酒類の空き容器がコンビニの袋に入れられていたといいますから。この場合も人間として一番弱い一面が結果として痣(あざ)となった事例です。この二つの事件は、バレないと思い込んでいる事は、「必ずバレる」ことの証左と受け止めるべきだと思います。

 単に「コンプライアンスを重視」とだけ言いません。人間に「弱さ」はつきものと考えるからです。とは言うものの「許される事」と「許されない事」は現にあります。この二つの事件は、「許されない事」の典型。“人としてふん別”が付いていれば避けられ、死傷者もなかった事件ではないでしょうか。飲酒運転はNO! 無免許運転はNO! これがふん別です。人間性が強く問われる事件だと思います。

 大分県内の子どもの通学路について、先の千葉の事故と同様の道路を通学路にしている実態が県内にないかどうか、現在、県警や教育委員会、土木建築部へ改めて精査を申し入れているところです。

変異株の感染拡大に危機感を!

2021年04月05日 | 地方行政/議会
〇変異株蔓延で、緊急事態宣言?
 4月に入って3日、とある新聞記事が気にかかった。見出しは、『変異株急増なら「東京、来月末に再宣言水準」東大准教授ら推計 新型コロナ』というものです。「感染力が強い変異株が蔓延すると、再度緊急事態再宣言、けた違いの経済損失」でした。
 変異株の感染力は、推計で従来株の1.5倍。この調子だと東京都では約4か月でほぼ変異株に置き換わり、5月末には1日当たり1000人以上の感染者になると警告しています。

〇経済損失もけた違い
 また、「宣言」に伴う経済損失も、変異株だと6兆円~7兆円(従来株は7千億円~8千億円)とけた違いの推計をしています。
 つづけて、『関西圏と関東圏の地域差もあるが、大阪府ではすでに変異株の増加の影響があり、GDPの割合が大きい東京圏での変異株感染拡大を(対策によって)1カ月でも遅らせる意義は大きく、県境を越えた人の動きを推奨すべきではない』と指摘していました。
 
〇県の対策会議では
 これに先立ち大分県は、3月30日に「大分県新型コロナウイルス感染症対策本部」と、「大分県社会経済再活性化緊急推進本部」の合同会議を開催し、感染防止策などを改めて確認決定しています。特に、感染防止策について、変異株が徐々に確認される状況の中で、感染拡大の封じ込めについて以下を強調しています。
要約すると、『①県外から帰宅後は、極力外出を控えること、また、②会食時には「会話時のマスクの着用」③「大声での会話回避」④「斜め向かいに座るなどの配席の工夫」⑤「「少人数・短時間での実施」⑥「大人数の会食の場合は「三蜜」状態にならいよう配席の工夫、席の移動を行わない」ことを出席者全員で気を付けながら実施してください。⑦イベント開催については、感染拡大防止ガイドラインを遵守したうえで、収容定員の50%以内の人数制限を継続します。」との徹底です。是非、これはしっかり守りたい。

〇県も強い危機感
 これを見ると、県の対策会議としても強い危機感を持って対策にあたっていることが伺えます。平日、午後3時頃を目途に感染者の発表が行われますが、気になるのは、最近の変異株に関して「疑いがある」の注釈が付いています。これは、県内のPCR検査では、変異株を特定できるだけの能力がないことを示しています。国立感染症研究所で確定検査が必要だからです。一週間程度かかるともいいます。この点、国は、ここまで変異株が拡大しているご時世に、変異株のスクリーニングができるとは言え、1週間程度の期間を擁して確定など非現実的ではないですか。地方でも即座に変異株を確認できる体制を作るべきではないかと思いますし、検査体制を高い水準に強化すべきではないかと思います。


小中高生の自殺

2021年01月01日 | 教育
■48人(小中高生の自殺)
 昨年末のマスコミで、昨年11月、全国で自殺した小・中学生と高校生は合わせて48人と発表されていました。ショッキングなのは、前年同期比22人84.6%増との報道でしたし、6か月連続で前の年を上回ったとも述べられていました。また、4月から11月までの期間では、今年は、329人と去年の256人より73人、率にして28.5%増加で、その内訳では、①高校生が237人、②中学生が84人、③小学生が8人と、いずれも去年の同じ時期を上回っているとの報道です。
■主な原因は、コロナ禍のストレス
 これに関し識者は、「新型コロナウイルスによる社会の変化の影響を受けて、ストレスを抱えて思い詰める子どもが多いのではないか」と指摘します。そのうえで「冬休みも行動を制限されてストレスを発散できず、行き詰まる子どもが出てくると懸念している。本人はもちろん、親の生活も大変な状況になり、思い詰めてストレスを抱えている子どもが多いのではないか」と分析しています。
■変化(メッセージ)を察知するのは大人
 前年との比較で84.6%増加していることを考えれば、これまで、ほぼ一年間翻弄され続けた、新型コロナウイルス感染拡大が大きな原因と言えるのは確かなのかもしれません。ただ、そうした状況の中で、子どもの変化(メッセージ)を大人がどのように察知するか、実はそれが一番に問われていると思います。
■思春期の成長に寄り添う
 それにしても、高校生、次いで中学生の数字の増加が気にかかります。多くの場合、思春期を迎え、友人や大人、学校での人間関係などが複雑に絡み始める時期、そんな日常の中で、ややもすると自分自身を見失う場面にたくさん遭遇します。そうした時、「相談してください」「相談窓口は・・・ここです」が重要ですが、それだけでは、そんな簡単な事ではないから自ら命を絶つという行為に到るので、大変ですが、子どもたちが発する様々なメッセージをキャッチできる大人、思春期の成長に寄り添う大人がいなければならないと思います。家庭に、学校に、地域に。