小嶋つうしん(号外)

(元)大分県議会議員 小嶋秀行の徒然ブログ

水素エネルギーの産業化に向けた今後の展開

2022年12月12日 | 政治・経済
令和4年第4回定例会(11月27日開会)では、脱炭素社会に向けた対応について、広瀬知事の提案理由説明で次の様な発言がありました。

 『これからの産業振興にあたっては、カーボンニュートラルの実現が不可避の命題であり、いずれの業界も難しい舵取りを迫られています。特に大分コンビナートは、もちろん県経済の牽引役でありますが、二酸化炭素を多く排出していることも事実です。このため、その事業継続と脱炭素の両立は、今後の県勢発展にかかわる死活問題となっています。将来世代のためにも、企業群・行政ともに、相当な覚悟をもって、この難局に挑まなければなりません。
 申すまでもなく、コンビナートは、基礎素材産業各社の工場施設等がパイプラインで繋がり、原材料などを相互利用しながら、全体として運営の効率性を高めています。こうした強みを脱炭素化にも生かしていくには、次世代エネルギー、水素を軸に、新たな企業間連携が求められます。そのため、関係各社と行政・有識者が集結した「ものづくり未来会議おおいた」において、「グリーン・コンビナートおおいた」を旗印に、大分コンビナートの将来に向けた多角的・現実的な論議を進めているところです。
 また、大分コンビナートと共にある大分港は、世界最大級の大型船が満載状態でも着岸可能な大水深の港であり、我が国有数の貿易港です。この先、水素を海外から調達するようなことになれば、そのメリットを存分に発揮してくれるものと思います。水素に関しては、足元でも、地熱などの再生可能エネルギーによるグリーン水素の製造実証をはじめ、大分コンビナートの副生水素を利用した停泊船舶への海上給電の可能性調査や産学官による「水素透過金属膜を活用した水素精製技術」の研究開発などが進んでいます。技術的なハードルはなお高いものの、水素の製造から利活用まで、様々なチェレンジが県下に沸き起こっているところであり、水素エネルギーの産業化に向けた今後の展開が楽しみになってきました。』

 以上が補正予算を提案する、第4回定例会の冒頭発言の一部ですが、私は、この中で県が今後の水素エネルギーの産業化にむけ、一つの決意を表明しているものとして受け止めました。もともとポテンシャルの高い大分県ですから、県の脱炭素の一環として充実した取り組みに、大いに期待していきたいと思います。
 最後に、訂正があります。前にアップしました「水素エネルギーの利活用」についてのブログの中で、「県がホーバーフェリー二台を購入し」と書きましたが、正確には「県がホーバーフェリー三台を購入し」でした。訂正し、お詫び致します。
 ちなみに、この三台の購入費用は約41億6千万円を予算化しています。今にして思えば、このホーバーフェリーのエンジンも水素エネルギーで動く様にしておけば良かったですけどね。少し高くつくかもしれませんが。CO2フリーですけどね。




水素エネルギーの利活用

2022年12月09日 | 地方行政/議会
 脱炭素(カーボンニュートラル)には、水素エネルギーの利活用が欠かせないことを、前のブログで書きました。その中で、特に大分でも「水素バス」を走らせようと提案しましたが、水素バスがまだ高額であることから、「上下分離方式」でと書きました。その意味は、当面は自治体が車両を購入し、バス会社が運行管理するという「手法」の事です。
 ご存じの方も多かろうと思いますが、県が近く大分空港と大分市を海路で結ぶ「ホーバーフェリー」が来年春以降運行開始します。この運行に際し、県がホーバーフェリー二台を購入し、運行管理は、入札で決まった第一交通が行うということにしています。既に、この他にも県内の地域の中でバス路線を維持するため、自治体がバスを取得し地域のバス会社がこれを運行管理するという「上下分離方式」で運行されていますから、水素バスが普及拡大するまでの間は、国と自治体が助成制度を創設して、積極的な脱炭素の取り組みの一環にすることがよいと思います。
 現在、ネックになっているのは、水素バスの購入に多額の経費が必要であり、エネルギーの供給施設の建設や自動車整備などを含め関連するサプライチェーンの構築がまだまだという点です。大分市内でも水素自動車を走らせているのは、確か大分市が公用車に二台という程度でしかありませんから、水素エネルギーの活用の機運醸成をどのように図るかが大きな課題です。
 今後にむけ提案できる点を二点挙げておきますと、一つは、JRの在来線で、ジーゼルエンジンが搭載されている気動車を、近い将来水素エネルギーで走る気動車に切り替えること。もし将来、大分駅から杵築駅を経由し、大分空港まで線路が引かれることが実現すれば、この水素列車を活用する。また、二点目として、県企業局が水力発電している電力、また、松岡地域でソーラー発電している電力などを、現在電力会社に売電していますが、この電力を使って一部を水素エネルギーに転換し貯蔵すること。そしてバス路線に活用するなど考えられると思います。
 県内では、約600台のバスが運行されているといわれます。これをすべて水素バスにするとなれば相当な期間と費用が必要ですが、私は、近い将来そうした取り組みの積み重ねの上で、バスのみならず運輸部門の脱炭素への一つの方法として水素エネルギーの活用が求められはしないでしょうか。
 次回は、県議会本会議で広瀬知事の提案理由説明での発言内容の一部をアップします。


大分でも「水素バス」を走らせよう!

2022年12月07日 | 地方行政/議会
 「とれる魚 様変わり」という記事が、11月24日地元紙で掲載されました。理由は、「気候変動 水産物への(マイナス)影響」とありました。地球温暖化で海や河川の水温上昇に伴い、県が漁獲量や養殖期間にマイナスの影響が出ているとみている水産物が13品目に上るというのです。一方、暖水系の品目(サワラ類)ではプラスの影響もあるとも報じています。
 前から海面温度の上昇は報道されていましたので気になっていましたが、今回の地元紙の内容では、『海水温1度上昇は、陸の10度前後の上昇に相当すると言われる。魚介類の世界が変わった中で、疲弊する漁業の衰退が進めば日本の食料自給率は下がる。食糧安全保障の観点からも国の漁業者支援が必要』と、国際海洋学会の専門家が意見を述べています。
 国の漁業者支援が必要との意見はとても良く理解できます。ただ私は、それ以上に温暖化を助長させないための「脱炭素」の取り組みが喫緊の課題だと思います。これまでにも、長々と化石燃料を大量に消費してエネルギーを生産していますが、これを再生可能エネルギーへ大転換させることこそ、海水温の上昇を止める主要な手立てだと思うのです。

 「脱炭素」とは、俗に「カーボンニュートラル」とも呼ばれますが、脱炭素の一番バッターはやはり「水素エネルギー」だと思います。県議会の令和4年第4回定例会で、県として民間と協力して水素開発に力を入れることを知事が表明しました。「水素エネルギー」は、開発に手間暇と高コストがネックではありますが、だからこそこれを国が主導し開発を急ぐべきだと思うのです。
 先日出張で東京都に赴きました。目的地への道すがら、「水素バス」の走行を随所で見かけました。東京オリンピックの際、都が、選手団の移動用として100台調達するという話がありました。その後の活用として路線バスにこれを活用しているのだと認識しました。東京都は、脱炭素の先進都市としてカーボンニュートラルを実践しているのです。
 東京都と都市規模や財政規模も大きく違う大分県ですが、それぞれの自治体で、脱炭素の取り組みは同じ様に実践しなければなりません。そうであれば、その一環として県が率先して国の援助を受けつつ「水素バス」を逐次購入し「上下分離方式」で一般バス路線活用という政策的見地が必要と思います。それほど今は脱炭素の取り組みを急がねばならない時代です。
冒頭の「とれる魚 様変わり」と報道されるに至るには、長期間のCO2排出が原因で、これを限りなく「ゼロ」にしない限り、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼすという事ですから、すぐさま行動に移さずにはいられませんね。