前回、キャンディの街などは、昭和50年代初頭の頃を思わせる風情である事を書きました。その訳は、オート三輪車がタクシーの主流で、180CCのバイクを改造したもので観光客を運んでいたり、耕耘機に荷台をつけて路上を走行したりという風景が、普通に見かけられます。
それに、前首都のコロンボは別として、キャンディの街等には、国道に信号機が全くと言っていい程ありません。その上なんと、使われず電光を発していない信号機があります。混雑する交差点は、警察官が交差点の真ん中で手信号による交通指導を行なっているのです。あの大都会で。
右側通行は、大枠のルールとしてはあるようですが、一般道路での追い越し行為は、観光バスに乗車している我々が怖さで身構える程に頻繁に行なわれています。その危険度はつい目を覆うほどでした。
公共交通機関として、バスと鉄道があるようです。鉄道は限られた地域に運行されているようですが、路線バスは頻繁に行き交います。しかも、前述の一般道路での追い越し行為は、路線バスも小型乗用車と同じ頻度でこれを繰り返します。
また、バスの形状や品質たるや、清掃整備があまり行き届いておらず、運転席のドアや乗車口のドアが開いたまま走行している車両も頻繁に見かけます。だからか、停留所に止まる前、まだ動いている状態でも乗客が下車する様子も頻繁。
なんだこれはと思う様な運行状態ですが、バスの利用者の数は相当数ある様で、日本の様に、ガラガラで運行している路線バスは数える程。逆に利用者はかなり多く、山間部を走行した際も、所々に乗客らしき人の姿がたくさんありました。発展途上の国の様子としてそれは当然なのでしょうか。
最終日、旧首都コロンボ市内を視察した際、車の数はさすがに元首都。特に夕方の四時過ぎからの交通渋滞は、日本の大都会なみの混雑。3車線を「オート三輪」(タクシー)を含め4台並んで走行する状態も頻繁。どうなってるのこの状態。それに、割り込みや走行車線変更も想像を絶するやりかた。この状態、日本では必ず喧嘩になる。
ところで、視察途中で立ち寄ったレストランの駐車場に到着して、不思議に思った事がひとつありました。「排ガス規制」を示すシールや関連するシールが張ったままの日本車(中古車)を相当数見かけるのです。
スリランカ全土の車両総数のうち、80%が日本車らしい。だからでしょうか国道を走行中、前を走る運送トラック荷台の後部面には、「高速道路は80㎞、一般速度は制限速度を守ります」との表示を張ったまま走っている車も見つけました。それは、日本車である事を示すことに大きな意義があるらしく、わざと剥がずに張ったままにしておくらしいのです。
このように、スリランカの交通事情は様々に、信じられない光景を数多く目の当たりにして、この状態であれば自分は運転できないなと思いつつ、交通ルールを取り締まる交通公安当局も大変なのではないかと、同情しきりでした。