農作業に水は必要不可欠だが、常時天水だけに頼るのは困難だ。其処で人工的に水の取り込みを・・・・・となるのは必定だろう。先人達は苦労を重ね、水路を作り上げられたようだ。当地にも数キロにわたって水路が設置され、上流の河川から水が流れるように工夫されている。無論、維持管理は「水利組合」を設置し流域の耕作人で運営に当たっている。水利組合では年に1回の大掃除と随時の点検作業とが実施されている。今回は随時の点検作業に同行してみたので、ご紹介しようかと思う。
数キロ上流からの取水と書いたが、無論、勝手に取水出来るわけでは無い。河川管理者の許可と地域の同意或いは慣習とが必要で、個々人が勝手に水路を開設する事は許されない。長年の伝統と慣習が水路を支えているのだ。水利組合の構成員は流域の耕作人、つまり農作業を行っている農家である。総会と折々の役員会で方針が決められ、運営に当たるのは他の組織と同様かと。随時の点検は主に役員会のメンバーが当たっている。師匠は重役さん(?)なので、役割も大きい。末端の構成員である我々は、専ら師匠のくっつき虫かなと。
近くまで車で接近し、徒歩で崖道を登っていく。小灌木や雑草が生い茂り歩きにくい。下車して15分程で取水口に到着。河川に大きな石を並べ、取水口へと水を導入している。増水時などにはこの石が流され、導入水が途切れることも屡々なのだ。叉、水路の途中には何ヶ所もの分岐があり、水の配分が行われている。一部の者が必要以上に取水すると、下の耕作地には水が流れないこともあり得る。取水口の管理と分岐の点検は欠かせぬ作業なのだ。
幸いにして今回の点検では大きな変動は無かった。何事も平穏無事なのが一番、大きな変化が起こらないことを願いたい。それにしても何気なく使用している農業用水、気がつかないだけで多くの労力が費やされているのだ。農村地帯は閉鎖的だとか縛りがきついとかの批判が多いが、調和的な共同作業が無いと地域が維持出来ないのはご理解いただけるかと。都市的な個人重視も理解できない事は無いが、自然界の中で農作業をメインに生活しようと思えば一定の配慮が求められるのは必然かなと。
それにしても水の入手は有り難い。何せ、農作業には水が必要不可欠、とりわけ稲作など水が無ければ栽培不能だ。日本人の生存自体が事実上不可能となり、列島での生活を諦めざるを得ないだろう。干魃と砂漠化に悩まされる国や地域も多いと聞くが、水に恵まれた我が国は幸福なのかも。水が戦略資源となって争いの根幹となることだけは御免被りたいのだが。
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