僕のお仕事(3)

2016-07-25 21:28:48 | 童話
ある日、僕は保育所でパン屋さんの絵本を見つけました。
まぁ~るいパンや長細いパン、やわらかいパンやかたいパン、甘いパンやからいパン、たくさんの種類のパンがあるんだね。

そうだ、僕はパンが大好きだからパン屋さんになろう。
パン屋さんは朝早く起きてパンになる粉をまぜてオーブンに入れて焼くと僕の大好きなおいしいパンができあがるんだね。

僕が作ったパンは、おいしいパンだからお店で売る前に僕が食べてしまうかもしれない。
『お店で売るパンは僕が全部食べてしまいました。みなさんのパンはこれから作りますので、パンを買う人はチョット待ってください。』
『はいっ、おいしいパンがたくさん焼けました。みなさん、順番に並んでください。はいっ、ありがとうございます。』

『何をして遊んでいるの?』
と保育所の先生が聞いたので、僕は
『お巡りさんと、電車の運転手さんと、学校の先生と、新幹線の運転手さんと、パン屋さんだよ。』
と言いました。
すると先生は
『あらっ、たくさんなっているのね。』
と言いました。
『うん、順番にいっぱいなるんだよ。』
『えらいわね。』

僕は先生に
『僕も保育所の先生になってもいいかなぁ?』
『ええ、いいわよ。みんな良い子だから、保育所の先生は楽しいわよ。』
『よしっ、僕も保育所の先生になる。』

そして、僕は先生のうしろに付いていって、先生と同じ事をしました。
『お外で遊んできたら、手をよく洗いましょうね。』
『先生が本を読んであげる時は静かにしていてね。』
『順番に並んでね。』
『大きな声でおへんじをしてね。』

やったぁ、僕は保育所の先生になれたんだ。
うれしいなぁ、うれしいなぁ。
『ええ、りっぱな保育所の先生だわね。』

だけれど、僕はお父さんとお母さんのお仕事は知りません、
保育所の先生のように、お父さんやお母さんのうしろについて歩くことができるといいのになぁと思っています。

おしまい