夢の交換(3)

2021-04-08 09:03:41 | 童話
ある日、また僕はカブトムシを捕まえた夢を見たので、起きた時に夢を入れるペットボトルの蓋を開けて「夢っ!」と言って蓋を閉めました。
次の朝、夢を入れたペットボトルを学校へ持って行って友達にあげました。すると、友達もキャンプに行った夢をペットボトルに入れて僕にくれました。
そして、二人とも家で寝る時に蓋を開けて「夢っ!」と言って寝ました。だけれど、二人ともペットボトルの中の夢は見ませんでした。

『夢を見なかったね。』
『そうだね。』
『何に入れればいいのか考えてみようよ。』
『それじゃ、ゴム風船だとどうかなあ?』
『ビンより良いんじゃないかなあ?』
『よしっ、やってみようよ。だけれど、どうやって夢を入れるの?』
『夢を見た朝に「夢っ!」と言った後でゴム風船を膨らませるといいと思うよ。』
『うん、分かった。今度はうまくいくよね。だけれど、ゴム風船の中の夢を見る時はどうするの?』
『ゴム風船は結んでいる所をほどいたら夢がすぐ外へ出てしまうよ。』
『そうだね、すぐ出てしまうね。』
『よしっ、夢の入ったゴム風船はパジャマのポケットに入れて寝ようよ。』
『そうだね、きっとうまくいくよね。』
そして、僕も友達も夢を見るのを楽しみにしていました。