ドッコイショ(2)

2015-12-21 21:25:11 | 童話
ある日、おじいちゃんが
『なんでおじいちゃんだけが、ドッコイショやヨイショと言うのかだって?
それはね、おじいちゃんだけがドッコイショやヨイショと言っても良い年だからだよ。』
と教えてくれました。

『ねぇおじいちゃん、ドッコイショやヨイショと言っても良いのは何才からなの?』
『決まりは無いけれど、おじいちゃんの年から良いんだよ。』
『ふぅ~ん。』
『ねぇおじいちゃん、僕もドッコイショやヨイショと言っても良いのかなぁ。』
『ああ、おじいちゃんと一緒の時だけドッコイショやヨイショと言って良いよ。』
『わぁ、うれしいなぁ。』
『だけれど、おじいちゃんと一緒ではない時は、ドッコイショもヨイショも言ってはいけないよ。』
『うん、わかったよ。』

僕はおじいちゃんから、おじいちゃんと一緒の時は、ドッコイショやヨイショと言っても良いと言ってくれたのでうれしかったです。

これから、おじいちゃんと一緒の時は、おじいちゃんとドッコイショとヨイショと言う競争をしよう思いました。

だけれど、僕が中学生になった時におじいちゃんとドッコイショとヨイショの競争ができなくなりました。

僕は時々、おじいちゃんのいる空に向って大きい声で
『ドッコイショ』、
『ヨイショ』
と言っています。

いつかおじいちゃんが高い空から、僕と競争するみたいに、もっともっと大きな声で
『ドッコイショ』、
『ヨイショ』
と言ってくれると思っています。

おじいちゃんのドッコイショやヨイショが聞こえるのはいつなのかなぁ。

おしまい

ドッコイショ(1)

2015-12-20 10:59:22 | 童話
僕のおじいちゃんはおもしろいおじいちゃんです。
座っていて立ち上がる時に『ドッコイショ』と言いますが、座る時も『ドッコイショ』と言います。

僕はおじいちゃんに『なんでドッコイショと言うの?』と聞きましたが、『ドッコイショは、ドッコイショだからドッコイショなんだよ。』と言いました。

だけれど、座っていて立ち上がる時に『ヨイショ』と言う時があります。
その時は、座る時も『ヨイショ』と言います。

僕はおじいちゃんに『なんでヨイショと言うの?』と聞きましたが、『ヨイショは、ヨイショだからヨイショなんだよ。』と言いました。

ドッコイショとヨイショはどう違うのか分かりません。

ある日、おじいちゃんが『みんなが居る場所で立ち上がる時は、みんなに「これから立ち上がるよ。」と言うためにドッコイショと言うんだよ。
だから、座る時もドッコイショなんだよ。

でも、誰も居ない時は自分のためにヨイショと言うんだよ。』と教えてくれました。
『ふぅ~ん、そうなんだ。』

僕は、ドッコイショとヨイショは違うんだと分かりました。

だけれど、お父さんもお母さんもおばあちゃんもドッコイショやヨイショとは言いません。
どうして、おじいちゃんだけがドッコイショやヨイショと言うのかなぁ?

グー、グー、グー(6)

2015-12-19 13:38:35 | 童話
『間もなく着陸します。』

ロケットの外に出るので、みんな宇宙服を着た。
ロケットの外へ出て周りを見渡したが、赤茶色の土と岩以外は何も見つからなかった。

そして、宇宙用の自動車で少し高くなった丘の上に登ると、丘のふもとに宇宙船が有るのを発見した。
『あれはっ、XY星の探査に成功し、5年前に地球に帰還する時に流星とぶつかって行方不明になった無人の探査機だ。』
と船長が言った。

探査機は遭難信号を地球へ何年間も送り続けていたのだ。

そして、丘を下りて行って探査機に乗り込んだ。
『XY星にしか無い、新たなエネルギー物質は無事だ。この貴重なデータを持ち帰ろう。』
と船長は喜んだ。

そして、クルー全員でエネルギー物質を僕達のロケットに乗せた。
当然、クルーの僕も手伝った。

『これから地球に向って飛んで行きます。』
ロケットはゴーと大きな音をたてて、飛び立った。

しばらく飛んでから
『帰りは土星や火星には寄らずに、そのまま地球に向って飛行するらしいから、ロケットの中で寝るよ。』
とお父さんが言った。

今度起きたら僕はどこにいるのかなぁと思った。

『今日は日曜日でも、早く起きなさい。お父さんと一緒に宇宙探検の映画を見に行くのでしょ。』
『あれっ、今度は家の中だ。
ロケットの中でも、映画館の中でもないや。
まだ映画館へも行っていないのだった。

本当の僕は今どこにいるのかなぁ?』

              おしまい

グー、グー、グー(5)

2015-12-18 22:38:28 | 童話
僕が目をさますと、映画のスクリーンの中では、ロケットから大きなアンテナを出して、電波の来ている方角と距離を測っていた。

クルーたちが
『この方角のまま、あと3日飛ぶと電波を出している星に着くね。』
『そうだね、このまま流星に気を付けて飛んで行こう。』
と話しをしていた。

そして、3日後にロケットの船長が
『順調に飛行しているので、あと5時間で目的地に着きます。』
とクルーのみんなにアナウンスした。

『あと5時間か、やっと着くね。』
『どんな星で、どんな生き物がいるのだろうかなぁ。』

グー、グー、グー(4)

2015-12-17 21:28:14 | 童話
『土星に近付いてきたので起きなさい。』
とお父さんに起こされた。僕は火星を出発してからずっと寝ていたんだと言われた。

『あれっ、またロケットの中だ。さっきは映画館の中だったのに、おかしいなぁ。』

ロケットの外を見ると、土星の大きなリングが見えた。
『わぁ、きれいだね。お父さんの言ったとおりだね。』
『ああ、きれいだね。前に土星に来た時に見たのと同じだね。』
『また、土星の基地で休憩するの?』
『そうだよ、最後の休憩だね。』

そして、ロケットは土星に着いた。
『やっと土星に着いたね。地球に向って電波を出している星はもう少し遠いらしいよ。』
『どんな生き物か楽しみだね。』
『今晩は、この土星の基地の休憩室で寝るよ。』
『うん、分かった。だけれど、今度起きたら僕はどこにいるのかなぁ?』