夢のおじさん(6)

2021-04-25 09:23:35 | 童話
そして、僕はずっと歩いて学校に着きました。
すると、友達が
『遅かったね。もう勉強が始まっているよ。』と言いました。
『あれっ、今日は日曜日だよ。』
『ちがうよ、月曜日だよ。』
『だって、ここは日曜日の夢の中だよね。』
『ちがうよ、ここは本当の学校で、今日は月曜日だよ。』
『おかしいなあ、僕はまだ夢の中にいるんだよ。』

そこへ夢のおじさんがやって来ました。
『ゴメンゴメン、夢を作るのを間違えてしまったよ。私と一緒に元の場所まで戻る。』
『うん、いいよ。』
そして、僕と夢のおじさんは高い階段を下りて行きました。
『ここで少し待っていてくれるかい。』
『うん、いいよ。』

しばらくして、おじさんが『もう夢を直したから階段を上がってもいいよ。』と言ったので、僕はまた階段を上がって行きました。
そして、草原に居るお猿さんが『また来たの?』と言ったので『さっきは間違っていたんだよ。』と返事をして、遠くある学校へ歩いて行きました。だけれど、その学校はキラキラと光っていました。中にいる友達が
『やあ、やっと来たね。』
『君も夢のおじさんに教えてもらったの? 同じだね。』
『今日は何曜日なの?』
『日曜日だよ。』
『ここは夢の中の学校なの?』
『そうだよ、夢の中だよ。』

僕は、夢のおじさんが夢を直してくれて安心しました。
『みんな、朝起きるまで一緒に遊ぼうね。』

夢のおじさん(5)

2021-04-24 09:56:16 | 童話
僕は次の日、夢を見る前に夢のおじさんに会いました。
『やあ、また来たね。昨日の学校の夢は楽しかったかい? だけれど、今日は夢が一つも無いんだよ。明日までに作っておくからね。』
『えっ、一つも無いの?』
だから、僕はその日は夢を見ませんでした。

そして、次の次の日に夢のおじさんに会った時に聞きました。
『夢のおじさん、夢は作れたの?』
『ああ、一個だけ作ることができたよ。』
『どんな夢なの?』
『広い草原で、たくさんの動物と遊ぶ夢だよ。』
『夢のおじさん、その夢の中へ行きたいなあ。』
『ああ、いいよ。この階段を上がって行くんだよ。』
『ありがとう、行ってくるね。』
『ああ、気を付けて行きな。』

僕はまた白い霧の中のような階段を上がって行きました。そして、一番高い所に有る草原に着きました。そこにはたくさんの動物がみんなが一緒に暮らしていました。
僕は、ここがどうして平和なのかお猿さんに聞きました。
『ねえお猿さん、どうしてここは平和なの?』
『ここでは、食べる物をみんなで作るんだよ。お米も野菜も、そして卵はたくさんいるニワトリさんにもらうんだよ。だから、ライオンやトラもみんなを食べないんだよ。』
『ふぅ~ん、すごいんだね。』

『ここには君と同じ人間も居るんだよ。』
『どこに居るの?』
『この草原をまっすぐ行くと学校が有って、生徒がたくさん居るよ。』
『僕は、その学校に行ってくるよ。』
『少し遠いけれど頑張ってね。』
『うん、バイバイ。』

夢のおじさん(4)

2021-04-23 10:19:59 | 童話
僕は次の日も、夢を見る前に夢のおじさんに会いました。
『やあ、また来たね。昨日の夢は楽しかったかい? 今日の夢は二つしかないんだよ。一つ目は、お父さんやお母さんと旅行する夢で、もう一つは、学校で勉強する夢だよ。』
『僕の飼っているポチとお話しする夢は、楽しかったよ。だけれど、今日は無いの?』
『残念だけれど、今日はその夢は無いんだよ。』
『それでは、学校で勉強する夢がいいなあ。お父さんとお母さんと一緒に旅行するのは、来月本当に行くんだよ。』
『それでは、二番の階段を上がって行くんだよ。』
『夢のおじさんありがとう、行ってくるね。』
『ああ、気を付けて行きな。』
『バイバイ。』

そして、僕は白い霧みたいな中の階段を上がって行くと学校が見えてきて、たくさんの友達が教室の中で手を振っていました。
『やあ、みんなも夢のおじさんに教えてもらって来たの?』
『そうだよ。』
『ええ、そうよ。夢のおじさんに教えてもらったのよ。』
『あそこに居る先生に知らないね。』
『あの先生はずっと夢の中にいるんだって。』
『ふぅ~ん、僕達みたいに夢が終わる時に夢から出ないんだ。』
『そうなんだって。』
『だけれど、いつも勉強を教えてくれている先生が誰もいないね。』
『この学校には先生はいないんだよ。』
『どうして先生がいないの?』
『この学校はみんなで考えて、みんなで教えるんだよ。』
『面白い学校だね。だけれど通信簿は誰がつけるの?』
『通信簿は無いよ。』
『それだと成績が上がったのか下がったのか分らないね。』
『みんなで考えて、みんなで教えるから、みんな同じ成績になるんだよ。』
『宿題は有るの?』
『無いよ。学校にいる時にいっぱい勉強をするから、学校が終ったら一生懸命に遊ぶんだよ。』
『楽しそうだね。』
『そうだよ、楽しいよ。だから、次の夢もこの学校で勉強をする夢にするんだ。』
『そうだね、僕もこの学校の夢にするね。』
『そうだね、みんなこの学校の夢にしようよ。』
そして、みんなで何を勉強するのか決めて、その勉強には何を調べないといけないのかを、みんなで話し合い、みんなで決めた勉強を楽しくしました。

『あっ、もう起きないといけない時間になったから帰るね。』
『僕も帰る。』
『私も帰る。』
そして、みんなが帰って、この学校にずっといる先生一人になりました。

夢のおじさん(3)

2021-04-22 09:33:14 | 童話
僕とポチは山や川を越えてやっと公園に着きました。
『遠かったけれど、速いスピードだったので、すぐ着いたね。』
『わあ、ブランコがいっぱいあるね、いつも行っている公園のブランコは二台だけだよ。数えてみようか。すごいね、十八台もあるよ。』
『ここは夢の中だからね。』
『ポチはブランコを立ち乗りしているけれど危ないよ。』
『うん、分かった。』
『楽しいね。』
『遠くに大きなブランコが見えるけれど、観覧車みたいに大きいね。』
『乗ってみようよ。』
『すごいね。一番高くなった時に遠くの山が良く見えるよ』

『もうすぐ起きないといけないから夢の中から帰るよ。』
『もう夢から帰らないといけないの?』
『そうだよ、今日は学校が休みではないからね。』

『明日も僕と遊ぶ夢を選んでくれたらまた一緒に遊べるよ。』
『うん、分かったよ。バイバイ。』

夢のおじさん(2)

2021-04-21 11:16:36 | 童話
『僕は人間と同じだけれど、人間の君は犬と同じ事ができないよね。速く走ったり、匂いでたくさん区別をする事ができないでしょ。僕達犬は人間や他の動物やお花のたくさんの匂いを覚えているんだよ。』
『すごいね。』

『さあ、ごはんが炊きあがったからオニギリを作ろうよ。』
『ああ、いいよ。あっちちっ、ポチは熱くないの?』
『熱くないよ。僕達犬は毎日前足と後ろ足の四本で歩いているから、足の裏が丈夫になっているんだよ。』
『僕も四本足で歩いてみようかな?』
『痛くて歩けないよ。』
『本当だね、手が痛くて歩けないよ。』

『さあ、二人でオニギリを作ろう。』
『僕とポチと二個づつで四個作ったから公園へ行こうか。』
『いいよ。』
『公園まで遠いのなら自転車で行きたいなあ。』
『いいよ、自転車が二台有るから、これに乗って行こうか。』
『あっ、これは僕がいつも乗っている自転車だ。』

『そうだよ、ここは夢の中だから、何でも有るんだよ。僕はもう一台の自転車に乗るから、出発するよ。』
『ポチは自転車に乗れるの?』
『夢の中だから乗れるよ。』
『ふぅ~ん、すごいね。』