パソコンのインクが切れたので、ビックカメラに行った。
三が日最後の食料品売り場はどんな品ぞろえになっているのかと思い、ルミネの地下の魚力に行ってみた。
勿論、冷やかしのつもりで行った。
ところが、陳列棚に「どんこ」の捌いたものが売っていた。
近頃は、魚の調達には、本格的な魚屋の店先には行かず、スーパーで済ませている。
そんな訳で、魚屋事情ははからないが、以前でもたまにしか売っていなかった「どんこ」にお目にかかり、思わず食指が動いてしまった。
とっさに、今夜は「どんこ汁」で一杯と思い、カキと一緒に買ってきた。
どんこは外見は黒くてぬめぬめしており、アンコウ同様グロテスクである。
料理の方法はいたって簡単。
肝だけ残して、内臓を取り、ぶつぶつと輪切りにして、頭も一緒にみそ味の鍋にする。
後は白菜やネギなどの野菜と豆腐、味噌仕立てなのでカキもよろしい。
今日のどんこは調理済みなので、肝がないのは残念。
肝はアンコウ同様こくがあって旨い。
一番最初にどんこにお目にかかったのは、一人で視察に行った時の三陸の気仙沼である。
居酒屋でそろそろ帰ろうとしていた時に「今、どんこが来たので、仕上げにどんこ汁をどうぞ」と勧められ、食べてみて、その旨さに驚いた。
現職だった頃の私には視察の流儀がある。まず一人で行くこと。
それにはいくつか理由がある。
一つは費用対効果である。
5人で行くのと1人で行くのを比較すれば、1人で行けば同じ費用で5倍の効果がある。
また、視察する内容も、一番知りたいこと、自分で調べても明確になっていない点を更に深く知る為に、質問項目を事前に送っておけば、効率的に聞ける。
複数で行けば、既知の事実も他の人が聞いたり、関係のない質問をしたりして貴重な時間の無駄使いとなる。
時間の有効利用という点でも費用対効果が優れている。時間も価値として考えられるからである。
ただし、一人で行くことの問題点もある。
聞くことを忘れることと、聞いたことを忘れることである。
そのために、聞き忘れを防ぐためには、事前の調査の万全を図ること、それに基づいて質問事項を整理しておくことである。
説明されたことを全て持ち帰るために、ICレコーダーを活用した。
一人で行くことのメリットの二つ目は、効率的な行程管理である。
一つの例であるが、大分県の臼杵市と兵庫県の尼崎市を視察したことがある。
なぜ、こんなに離れた自治体を同時に視察したのか疑問に思うだろう。
この時の視察項目は行政評価システムと公会計制度、両市とも違った角度で極めてユニークな施策の展開を図っていた。
同時に話を聞き資料を取得する必要があった。
余談になるが、今、民主党政権が行っている事業仕訳は10年も前から地方自治体では行われていたのである。
臼杵市と尼崎市への視察目的は、正にこの事であった。
一般的に言って、地方自治体の方が国よりも数段早く行っている政策・施策の事例は数えきれない。
このことについては、後日、稿を改めて書きたい。
しかし、この長距離を移動することは至難の業である。そこで、宿泊地を新幹線のダイヤ等をにらみながら、夜の9時ごろに広島のホテルにチェックインした。
一人ならどんな強行軍も可能である。
最後のメリットは、
視察は地方に行くことが多い。その点での楽しみもある。
視察でもアフター5が時々問題になる。
視察の費用は公費・税金である。
従って、自由時間であるから何をやってもいいというわけではない。当然、自ずから制約がある。
視察という、当初の目的をしっかり果たした上で、その地方を楽しむということも大事である。
目的市で発売されているすべての地方紙を買い、できるだけ読んで、視察に臨んだ。
前にもこのブログで書いたが、一日だけの新聞だが、その地域で問題になっていること、話題など、わずかでも知ることができる。
その結果、地方紙の題字も次第に集まった。
視察に一人で行くことのメリットハまだまだ色々あるが、長くなるので、後日また書きたい。
ここで、議会改革について一言。
調査研究のための視察は、議員活動の一環として、極めて重要である。
ネット上の情報や、印刷されてた雑誌や書籍で知りえない生の声を聴くことは現地に行って、その地域の特質や特性を感じた上で知るということは極めて大事である。
従って、単純に視察は悪であり、必要ないという議論には組し得ない。
ただし、本来の趣旨に反した視察が行われているのも事実である。
極端な事例は夏で熱いので、涼しい北海道で適当なところを見つけて計画を作ってくれと、議会事務局に丸投げする例などである。こんなことは今はないだろうが。昔はあったみたいである。
一人で行くことの利点を挙げたが、必ずしも複数で行くことを否定するわけではない、複数で行くことのメリットも当然ある。
しかし、絶対にやめるべきものは、常任委員会の視察である。
議会事務局員が随行し、政策や考え方も違う複数の会派や政党の多数の議員が同じ項目について視察して、何の効果が期待できるのであろうか、速やかに中止すべきである。