言の葉花壇

何度聞いても美しい日本語に、今日もマナ女とカナ女がにぎやかに呟きます。ぜひお気に入りを見つけてください。

桃の花

2021年03月03日 | 万葉集

#桃の花……★☆ 春の園 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子: 大友家持 : 歌意:春の園にくれない色に映える桃の花が輝き下を照らすような道にたたずむ乙女よ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十九巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

はるのその くれなゐにほふ もものはな したでるみちに いでたつをとめ

今日は3月3日、桃のお節句やでぇ。

「くれなゐにほふ」は赤い色に咲き映はえていること

「した照る道」は美しく咲いてる桃の花の樹の下の陰まで照りかがやくように見える道のことやで。

みなさん、お元気?

この歌は

天平勝宝二年三月一日の暮に、春苑の桃李の花を見て此歌を作った

と、枕詞にあるわね。

ほんま!桃のお節句にぴったしの絵のようにきれいな歌や。

家持さんはどんな美人が桃の木の下にたたずんでるのを見たんやろかな。

それはきっと桃の樹の妖精やったかもね。


雪は消ぬとも

2021年02月24日 | 万葉集

#雪は消ぬとも……★☆ 残りたる 雪に交れる 梅の花 早くな散りそ 雪は消ぬとも: 大伴旅人 : 歌意:残っている春の雪に交じって咲いている梅の花よ。この雪は消えてしまっても急には散らないでいてくれ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第五巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

のこりたる ゆきにまじれる うめのはな はやくなちりそ ゆきはけぬとも

みなさん、お元気?

この歌は「令和」の元号となった梅の花の歌32首 ( 2019年5月のブログ記事一覧-言の葉花壇 ) の後に追加された歌の最初の一首やよ。

枕詞に「後追和梅歌四首」つまり、後に追ひてよめる梅の歌四首ということやね。

この後に

雪の色を奪ひて咲ける梅の花今盛りなり見む人もがも

我がやどに盛りに咲ける梅の花散るべくなりぬ見む人もがも

梅の花夢に語らくみやびたる花と我れ思ふ酒に浮かべこそ

と、全部で四首追加してるわね。

この時代の人々にとって梅の花は春を待つ気持ちの代表やったんや。

町中の梅もそろそろ咲き始めたで。

ウチも暖かい春が待ち遠しいわ。


明日よりは

2021年02月02日 | 万葉集

#明日よりは……★☆ 明日よりは 春菜摘まむと 標めし野に 昨日も今日も 雪は降りつつ: 山部赤人 : 歌意:明日からは若菜を摘もうと目印をつけておいた野原に昨日も今日も雪がどんどん降っている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第八巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ

あすよりは はるなつまむと しめしのに きのふもけふも ゆきはふりつつ

みなさん、お元気ですか?

明日はいよいよ立春。

昔は立春が新年やったんやね。

春菜摘みは新年の行事で、春になると芽を出す植物を摘んでそれを食べることによって体力の回復と1年の健康を願ったんやね。

春菜=フキノトウと言われてるわね。

標めし野=〆を結んだ野原のことで土地の所有権を表しているのよ。

なるほど!

新年の祝いに自分の野原で春の山菜を採って食べて若返ろうということやね。

いろんな解釈があるみたいやけれど、ウチはそのまま、まだ寒いから雪でフキノトウが採れへんわ、食べられへんから若返られへんと言ってるやとおもうわ。

今でいうアンチエイジングや。


双六のさえ

2021年01月23日 | 万葉集

#双六のさえ……★☆ 一二の目 のみにはあらず 五六三 四さへありけり 双六のさえ: 長意吉麻呂 : 歌意:一や二の目ばかりでない、五・六・三・四の目さえあるんだ。双六の賽には。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十六巻より■□■

みなさん、お元気ですか?

この時代、中国から伝わった双六にみんな夢中だったんですよ。

689年には双六禁止令も出たと『日本書紀』に載ってるわね。

双六のさえ=は双六の賽(サイコロ)のことですよ。

そこで、長意吉麻呂(ながのおきまろ)がその双六のサイコロを詠んだ、ちょっとしたコミックソングですね。

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ

いちにのめ のみにはあらず ごろくさむ しさへありけり すぐろくのさえ

村の長「おー、意吉麻呂、意吉麻呂、ちょ、ちょ、ちょっとこっち来て、酒、飲めや」

意吉麻呂「へーい」

皆の衆「ほれ、飲めや、飲めや」

村の長「ああ、夜も更けて狐がコンコン泣き出した。

おまえ、ここにある鍋やサイコロとかで、歌を詠んで宴会を盛り上げてくれや」

意吉麻呂「へーい」

皆の衆「そうや!そうや!なんか詠んでくれや」

意吉麻呂「へーい」

『一二の目 のみにはあらず 五六三 四さへありけり 双六のさえ』

村の長「アハハ、おまえ、まんまやないか!」

皆の衆「ワッハッハー、まんまやないか!ワッハッハー」


そことも見えず

2021年01月18日 | 万葉集

#そことも見えず……★☆ 山の狭 そことも見えず 一昨日も 昨日も今日も 雪の降れれば: 紀男梶 : 歌意:一昨日も昨日もそのうえ、今日までも雪が降っているので山や谷のどこが境目なのかを見分けることができない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十七巻より■□■

 

 みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ

やまのかひ そこともみえず をとつひも きのふもけふも ゆきのふれれば

山の狭(やまのかひ)=山と山との間やで

そことも見えず=見えへんからどこかわからんやで

天平18年(746年)のお正月に、ものすごい大雪が降って、橘諸兄ら諸大臣らが元正太上天皇の御所に参上し、積もった雪の掃いの奉仕をしたんやで。

そしたら、そのあとに宴会があって、お酒とか飲んでたら、雪を題に歌を詠んでみなさいとの仰せがあり、それに応えた歌のひとつやで。

もう、毎日、毎日、雪が降って、どこがどこかわからんわと言う歌や。


雪に騒ける

2021年01月12日 | 万葉集

#雪に騒ける……★☆ 矢釣山 木立も見えず 降りまがふ 雪に騒ける 朝楽しも: 柿本人麻呂 : 歌意: 御所の近くにある八釣山の木立も見えないほど、雪がどんどん乱れ降る朝は楽しいものです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第三巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

寒いなぁ~

読み方やでぇ~

やつりやま こだちもみえず ふりまがふ ゆきにさわける あしたたのしも

この歌は枕詞に柿本人朝臣麻呂が新田部皇子(にいたべのみこ)に献れる歌一首、また短歌」とあるわね。

新田部皇子天武天皇の皇子で奈良時代初頭の皇族よ。

騒ける(さわける)=騒いでいる

矢釣山(やつりやま)明日香村八釣にある小丘で、柿本人麻呂は皇子の宮殿に馬を走らせて通っていたみたい。

つまり、通勤や。

まぁ、そうやけれど・・・あんまり雪が積もらない明日香にどんどん雪が降るんで柿本人麻呂は子供みたいに楽しいと言ってるのよね。

ウチも雪が降って積もるのは楽しい。まだ子どもなんかな 

そうやね。でもあんまり降りすぎると災害よ。

なんでもほどほどが楽しいわ。


常葉の樹

2021年01月03日 | 万葉集
第 1009
◆ ◆ 冬十一月左大辨葛城王等賜姓橘氏之時御製歌一首
橘は 実さへ花さへ その葉さへ 枝に霜降れど いや常葉の樹
聖武天皇 ◆ ◆
     
万葉集 第六巻 より

::: 読み :::

たちばなは みさへはなさへ そのはさへ えにしもふれど いやとこはのき

::: 意訳 :::

橘は実まで花まで、その葉までも、枝に霜が降ってもますます栄える永遠に常緑の美しい木である

::: 付記 :::
右は、冬11月9日。
従三位・葛城王、従四位・上佐為王らが、皇族の高名を辞し、外家の姓を賜わることを言い伝えた。
時に、太上天皇(元正天皇)および皇后、ともに皇后宮において、肆宴(とよのあかり)をひらく。
即ち、橘を祝賀する歌を作り給える。
また、御酒を宿祢等に賜う。
或いは云わく、この歌1首は、太上天皇のお歌である。
ただ、天皇皇后のお歌各1首ありといえば、その歌は遺落しており探求するも未だ得ない。
今、案内を検すると、天平8年年11月9日、葛城王ら橘宿祢の姓を願って表を上り、 17日をもって、表の乞に依りて、橘宿祢を賜うという。

 天平8年(736年)聖武天皇橘諸兄(たちばなのもろえ)一族への祝賀に贈った時の御歌やね。 皇族だった葛城王は弟の佐為王と共に母の橘宿禰(たちばなのすくね)姓を継ぐため、 臣籍に降下することを朝廷に願い出て、許されたので、 これに伴い、葛城王から橘宿禰諸兄(たちばなのすくねもろえ)と改名したのよ。
『宿禰(祢)』 (すくね)とは八つの姓(かばね)の中の3番目で、 諸兄も後の天平勝宝2年(750年)正月16日には2番目の 朝臣(あそん)の姓を賜り、これ以降、橘朝臣と称してるのよ。 
 今度は偉くなたんやね。橘ってみかんのこと?
 「橘」 は、みかんの古名で、 『古事記』『日本書紀』 によれば、 垂仁天皇の命で夕ヂマモリが常世国からもたらした 「非時香このみ果」 で、 実や花よりも、樹全体が常に緑の常緑樹なので、 永遠の不老長寿と言うとても吉祥な意味を持っていたんやろうね。
そのため現在では文化勲章の勲章のデザインになってるわね。
最初は桜が考えられていたそうだけれど、昭和天皇「桜は散るところに価値があるが、 文化は永遠であるべき」 との意向で常緑樹の橘になったそうよ。
 ああ~、それで、右近の橘左近の桜と対になってるんやねんね。

 


降りし雪かも

2020年12月06日 | 万葉集
#降りし雪かも……★☆ あしひきの 山に白きは 我が宿に 昨日の夕 降りし雪かも: 詠み人知らず : 歌意:朝起きると山が真っ白だ。これは昨日の夕方、我が家に降ってきたのと同じ雪だろう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十巻より■□■
みんなぁ、元気ぃ~?
読み方やで
あしひきの やまにしろきは わがやどに きのふのゆふへ ふりしゆきかも
「あしひき(足引き)」=は山とかにかかる枕詞やで。
朝、起きてみたら山が雪で真っ白になってるからびっくりしたわwwwなんて、まるで、クリスマスの朝みたいやな。
ウチはクリスマスの朝、起きたらプレゼントがあってびっくりしたで。
みんなは朝、起きてびっくりしたことってある?

寝よとの鐘は

2020年12月02日 | 万葉集

#寝よとの鐘は……★☆ 皆人を 寝よとの鐘は 打つなれど 君をし思へば 寐ねかてぬかも: 笠女郎 : 歌意:人々に寝る時間だと合図の鐘は打っているが私は貴方のことを思って眠れない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第四巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

この気持ちよぉ~わかるわ。

ウチも好きな人のこと考えると眠られへん時、あるわぁ~。

そんな時は、次、会えるんやって、楽しいこと想像して目ぇつぶんねん。

そしたら、いつの間にか寝てるゎ。

昔、亥の刻になると、今の時間でだいたい午後10時ごろなんだけれど、鐘を鳴らして人々に寝る時間を知らせたんやね。

それで「寝よとの鐘は」なんや。

朝まで好きな人のこと考えたいけど、やっぱり、寝不足はかわいい女の子の大敵やで!

みんなも明日は楽しいって想像しながら、いい睡眠をとってやぁ!


えも名付けたり

2020年11月29日 | 万葉集

えも名付けたり……★☆ 恋ふといふは えも名付けたり 言ふすべの たづきもなきは 我が身なりけり: 大伴家持 : 歌意:「恋ふ」とは本当によく言ったものだ。どう言い表していいのか言い表す方法もないわが身だ。

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ

こふといふは えもなづけたり いふすべの たづきもなきは あがみなりけり

言ふすべの たづきもなきは=どういえばいいのか、その手がかりも方法もないちゅことや。

家持の「もう!この好きな気持ち!どない言うたらええのんや!」ともどかしがってる顔がうかぶやろ。

 


秋の百夜を

2020年11月24日 | 万葉集

#秋の百夜を……★☆ 今夜の 早く明けなば すべをなみ 秋の百夜を 願ひつるかも: 笠金村 : 歌意:今夜が早く明けてしまったらやりきれないので、秋の百日のような長い夜を願いたい。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第四巻より■□■

 みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ。

こよひの はやくあけなば すべをなみ あきのももよを ねがひつるかも

すべをなみ(術を無み)はどうにもしようがないのでとか仕方ないとかやで。

百夜(ももよ)は多くの夜。

好きな人と一緒におったら時間はあっという間に過ぎて行くんやなぁ。

夜が明けていくのはどうしようもなく止めようがないと言うことや。


いかなる人か

2020年11月22日 | 万葉集

#いかなる人か……★☆ 幸はひの いかなる人か 黒髪の 白くなるまで 妹が声を聞く: 詠み人知らず : 歌意: 幸せな人とはどんな人だろう。黒髪が共に白髪になるまで妻の声を聞ける人は幸福だ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第七巻より■□■

 みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ

さきはひの いかなるひとか くろかみの しろくなるまで いもがこゑをきく

好きな人と長生きする!

こんな幸せはない!

ほんまやぁ~

今日は『いい夫婦の日』やでぇ。

ウチもいつかこんな相手、絶対見つけよっと!


色づきにけり

2020年11月18日 | 万葉集

#色づきにけり……★☆ 物思ふと 隠らひ居りて 今日見れば 春日の山は 色づきにけり: 詠み人知らず : 歌意:物思いにふけって家に籠っていたら、今日、春日山を見るとすっかり色づいている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十巻より■□■

 


木末あまねく

2020年11月01日 | 万葉集

#木末あまねく……★☆ 時雨の雨 間なくし降れば 御笠山 木末あまねく 色づきにけり: 大伴稲公 : 歌意:時雨がしきりなく降るので三笠山は、梢がすべてすっかり色づいたことだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第八巻より■□■

 みんなぁ、元気ぃ~?

紅葉もそろそろ色づいてくる季節やなぁ。

読み方やでぇ

しぐれのあめ まなくしふれば みかさやま こぬれあまねく いろづきにけり

時雨の雨は秋から冬にかけて降ったり止んだりする冷たい小雨のことやで。

これでどんどん気温が下がって木々が染まってくるんやで。

まなくしふればは絶え間なく降ったらや。

木末あまねくは梢に行きわたってるちゅうことや。

紅葉のきれいな季節やな。

 


なでしこの花

2020年09月19日 | 万葉集

#なでしこの花……★☆ 我が宿の なでしこの花 盛りなり 手折りて一目 見せむ子もがも: 大伴家持  : 歌意:わが家の撫子が花盛りとなっている。花を手折って一目でも見せる可愛い子がいるといいのにな。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第八巻より■□■

 みんなぁ、元気ぃ~?

秋らしくなって撫子も咲いてきたでぇ。

撫子は可憐な花や。

大伴家持は可憐でかわいい娘が好きやったんやろうなぁ。

ウチも可憐な女の子目指すから応援してや。