般若心経

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般若心経

2017-07-05 | Weblog
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「わたしの好きな仏さまめぐり」 瀬戸内 寂聴 マガジンハウス

 今年2月に刊行された本です。

 岩手、奈良、京都の15のお寺の23の仏さまについてお寺の歴史、仏像の由来などとともにカラー写真で紹介されています。
収録されている仏さまの写真はどれも切り取ってそのまま額に入れて飾っておきたいような写真です。

 本を読んで私の「好きな仏さま」は何だろうかと考えてみました。
私の場合、京都、奈良をはじめ高野山、四国などなど多くのりっぱな仏様を拝観しても、まず思うのはどれも「すごいな、大きいな」、「どうやって作ったのだろうか、大変だったろう」とか「材質は何だろうか」というどちらかというと文化財的な仏像鑑賞が先になります。そして気持ちは次に「きれい」「うつくしい」に、そして手を合わせてやっと崇拝の対象としての仏様になります。なかなか「好きな」という気持ちを持つ域には達しません。
じっくり時間をかけて拝観する余裕を持っていないからかもしれません。
 そのような中で心に残る仏様が一体だけあります。
奈良薬師寺の聖観世音菩薩像です。
もう30年以上前のことです。  三重への出張の帰り、翌日が土曜日だったこともあって奈良に寄って帰ったことがありました。
寺院や仏教に関心があったという訳ではありませんが、その1年ほど前、当時の薬師寺高田管長が地元のデパートに来られて、お話を聞く機会があり、そのとき「是非、薬師寺へ来てほしい」と云われたことを思い出したからです。
金堂とか東塔、西塔など足早に巡って、さて帰ろうかなと思って、ふと脇のお堂の開いた扉の中をのぞくと観音様がおられました。なにげなく見ていると、「どうぞ中へお上がりください」と作務衣姿のお年寄りから声をかけられ、作法も何も知らないのに大丈夫だろうかと少しの不安を持って、磨き上げられた板敷きのお堂に上がりました。
どうすればよいのか分からないので、ただ座って観音様をじっと眺めていました。声をかけてくれたお年寄りも一言「どうぞ、ごゆっくり」と言われたきりです。
背の高さ2メートルは超えていようかと思われるブロンズ色のすらりとした観音様は、これもやや縦長の金色の光背とバランスよく、照明もないお堂の中で輝いているかのように見えました。
なにも考えることもなく、ただ見ているだけでかなり長い間座っていたと思います。
再興されたばかりの西塔も、金堂の仏様もすばらしかったのですが、そのとき一番心に残ったのが観音様でした。
 そして今でも観音様と聞けば、薬師寺の観音様を思い出します。
http://www.nara-yakushiji.com/guide/hotoke/hotoke_toindo.html