般若心経

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四国八十八ヶ所

般若心経

2021-08-19 | Weblog
 延命十句観音経

 まだ二十歳前のことです。親戚の法事の席で「みなさん、一緒にお唱えしましょう」と言って、お経の冊子が配られました。
その冊子には般若心経などとともに十句観音経が載せられていました。
はじめて聞き、唱えた十句観音経は短く、リズムよいお経だと思いました。その後このお経は法事や葬儀の席で何度となく聞くことになりました。
 毎回、言われるがままに冊子を繰っていると、「十句というには 10の部分に分かれているのだろう。どこが区切りなのだろうか」という疑問が生じました。
こちらがその冊子です。





十句観音経
観世音南無佛與佛有因與佛
有縁佛法僧縁常楽我浄
朝念観世音暮念観世音
念念従心起念念不離心

(和訳)
煩悩にけがされず生死にとらわれず
つねに清らかにいます観世音菩薩に
帰依したてまつる
み名を朝夕に念じたてまつれば
もろもろの苦しみを除き速に解脱を
得さしめ給わんことを

漢字で4行に書かれており、区切りがありません。
冊子の下段には和訳が掲載されていますが、対比してもよく分からず、考えている間に短いお経はすぐに終わりました。長い間、そのお経の本を手にする都度、疑問に思いましたが、誰に聞くこともなく、また調べようともせず、ましてその意味を知ろうともしませんでした。まだ四国遍路を始めるずっと前のことです。
その後お寺の住職が代わり、あたらしいご住職は最後に『觀世音菩薩』を付け加えられていました。
 昭和から平成に移りしばらくしたころ、本屋さんで「洗心 延命十句観音経(松原 哲明)」という本を見つけました。
文庫本サイズの125ページの本です。




あの短いお経がこのような本になるのか、お経の奥深さをはじめて知りました。

 なぜこの話を思い出したかといいますと、先日の円覚寺横田管長によるライブ中継の際、延命十句観音経と延命十句観音和讃が読まれたからです。(「延命十句観音経」と前出の「十句観音経」は同じものです)
延命十句観音和讃は、はじめて聞きました。
和讃とは漢語で書かれた韻文のお経を日本語に訳したお経です。日本語でも七五調でリズムよく、そして分かりやすく書かれています。
以下引用させていただきました。
この和讃は横田管長の作によるものです。

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延命十句観音和讃

大慈大悲の観世音
生きとし生けるものみなの
苦しみ悩みことごとく
すくいたまえといのるなり
苦しみのぞきもろともに
しあわせ祈るこころこそ
われらまことのこころにて
いのちあるものみなすべて
うまれながらにそなえたり
ほとけの慈悲の中にいて
むさぼりいかりおろかにも
このこころをば見失い
さまようことぞおろかなる
われら今ここみほとけの
みおしえにあうさいわいぞ
おしえを学ぶ仲間こそ
この世を生きるたからなり
われを忘れてひとのため
まごころこめてつくすこそ
つねに変わらぬたのしみぞ
まことのおのれに目覚めては
清きいのちを生きるなり
朝に夕べに観音の
みこころいつも念ずなり
一念一念なにしても
まごころよりはおこすなり
一念一念観音の
慈悲のこころを離れざり
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【一口法話:ライブ配信】第40回「きょうはお盆」 | 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師 はYouTubeにて拝聴することができます。
https://www.youtube.com/watch?v=gZvUSVPBWCc