般若心経

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2017-01-06 | Weblog
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仁王様、なぜ直さないのでしょうか?

「仁王さん、どうしてボロボロなん?」
先日、善通寺で小さな男の子が聞いていました。
私も以前同じ疑問をもっていました。
お寺に入ると庭は掃き清められ、本堂の中や宿坊、納経所などもきれいに掃除されています。仏様の前の仏具もぴかぴかに磨かれて光輝いています。
一方、多くのお寺の山門の仁王様は、塗装は剥がれ木の地肌がむき出しになり、中にはひび割れ、虫喰いの穴が開いているものもあります。素人目にも風化が始まっていることがわかります。屋根と囲いに覆われてはいますが、外気に直接触れる場所にあるため屋内に安置されている仏様に比べて劣化の度合いが激しいのでしょう。もともとはきれいな彩色、塗装が施され、色鮮やかに輝いていたのでしょうが、その跡形もありません。
なぜ修理して当時の輝きを取り戻さないのでしょうか?不思議に思いませんか。

 2014年のこと。善通寺の仁王像が香川県立ミュージアムへ運ばれ、同館で開催された「四国へんろ展」に出展されました。その折、学芸員の方に質問したことがあります。
そのときのお話によると
「仏像は信仰の対象であるとともに、文化財としての価値を考えなければなりません。
文化財の修理については『現状維持修理』という基本理念があり、現状の文化財としての価値を失わせずに、劣化や損傷を食い止め、保存を図るということが原則なのです。
年月を経てきた仏像には、歴史という文化財的価値が生じています。
今の時代ですから仏像を新品同様に形を直し塗りなおすことは技術的に十分可能です。
しかしそれでは仏像がいままで経てきた歴史、年月をすべて否定し、なくすることになります。
仏像のもっている歴史的価値を損なわずに次の世代へ引き継ぐこと、これが『現状維持修理』です。
ですから、修理といっても出来た当時の姿を取り戻すということではありません。
仁王様を含め仏像の修理はこのことを踏まえて所有者、文化財担当者、専門家など複数の意見を取り入れながら検討されます」
ということでした。
 私たちは修理というと自動車の板金修理のように新車同然の姿に戻すこと、リホームのように以前よりより一層きれいにすることを思いうかべますが、仏像の修理はそうではないのです。
 お寺の掲示板やガイドブックなどには仏像が創建された由来、歴史が掲げられています。
お寺にお参りする際にはその仏像が作られた時代背景に思いを馳せ、遠い祖先から手渡しされて来た仏像の歴史を考えることも大切です。
数百年間大勢の人に見られ、また大勢の人を見てきた仏像の歴史の一時を仏像とともに生きているという思いがすることでしょう。
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