肝 臓 奈良宣言
トリセツショー
ご覧になられた方おられると思いますが、12月5日のNHKトリセツショーは「肝臓」でした。
健康診断などで測る肝機能検査の内ALT(GPT)について日本肝臓学会は2023年、奈良市で開かれた学会で警告を発しました。奈良宣言です。
ALTは肝臓に含まれる酵素で肝臓に異常があれば上昇します。今までこの基準値として10~42(U/L)が目安とされていました。そしてALTが30を超えた場合は「要注意」として生活習慣の改善を勧め、50を超えた場合に「医療機関の受診」を勧めてきました。
ところがこの奈良宣言ではALTが30を超えた時点ですでに肝機能が低下している可能性があるとして、「かかりつけ医の受診を勧める」と提言したのです。
番組ではALTが30~50の18人について検査を行ったところ13人に脂肪肝が確認されました。ALTが30を超えると脂肪肝の他にアルコール性肝炎、自己免疫性肝炎、肝硬変、肝がん、ウイルス性肝炎へ進行の可能性があり、そのまま放置しておくと心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが約1.6倍に乳がん、大腸がんのリスクが約2倍になるという報告もあります。
肝臓は沈黙の臓器といわれ、痛みを感じる神経がないため、異常を痛みで知らせることができません。健康診断結果のコレステロール値などはよく見ますが、ALTについては基準値内であればあまり気にされないのではないでしょうか。今後はぜひALTについても注意して健康維持に役立ててください。
脂肪肝を改善する薬はありません。しかし、脂肪肝を改善する方法はあります。推奨されている対策は食事と運動です。食事については肥満、コレステロール対策などでよく知られており、皆さん実施されていることです。
しかし脂肪肝改善に運動とは?
運動をすると、筋肉からマイオカインというホルモンが分泌されます。
このマイオカインが肝臓に届くと肝細胞の働きを促進し、脂肪をエネルギーに変え、中性脂肪を減らし脂肪肝の改善へとつながります。
マイオカインを効率的に分泌するには、背中や太もも、お尻など大きな筋肉をトレーニングすることがポイントです。
番組では肝臓に効果的な運動を紹介しています。
お酒の飲みすぎは肝臓を傷め、健康寿命を縮めますが、全く飲まないより少しだけ適量を飲む人の方が平均して健康寿命が長いそうです。
なお12月12日のトリセツショーは「お酒とのつきあい方」でした。忘年会たけなわの今日この頃少しだけ気にかけてみてはどうでしょうか。