「この世のすべてが金ならば…… 」
ギリシャ神話には、ご自分の欲望にとても素直な、身の程知らずの人たちが数多くおられます。
そして神さま連中が、そういった人間たちを本気で怒って、とんでもない罰をお与えになるんですね。これが、もう、ちょっと大人げない程に…… 。
そして神さま連中が、そういった人間たちを本気で怒って、とんでもない罰をお与えになるんですね。これが、もう、ちょっと大人げない程に…… 。
プリュギアの王であるミダースは、黄金が大好きだった。それはそれは、好きで好きで、もう世界中の黄金をひとり占めしたいくらいだった。
そのあまり、天下の太陽神アポローンにむかって、「お天道さまの光のせいで、黄金が無駄に光ってしまう。それはもったいないことだ―― 。」などとプーたれた。
そのあまり、天下の太陽神アポローンにむかって、「お天道さまの光のせいで、黄金が無駄に光ってしまう。それはもったいないことだ―― 。」などとプーたれた。
当然のごとくアポローンは怒った。
それならば、とミダース王の夢の中に現れて、「おまえの望む魔法の力を何でも一つだけ与えよう」と言った。
黄金マニアのミダースは喜んで、「それでは手に触れたものを金に変るようにしてください」と答える(馬鹿だね~)。
それならば、とミダース王の夢の中に現れて、「おまえの望む魔法の力を何でも一つだけ与えよう」と言った。
黄金マニアのミダースは喜んで、「それでは手に触れたものを金に変るようにしてください」と答える(馬鹿だね~)。
かくして彼は呪いの魔力を手に入れた。目を覚ました彼は、ぺたん、ぺたん、と周りの家具や道具に手を触れてみる。すべてがたちどころに、きらきら眩いばかりに光り輝く純金製に変るではないか。
庭を歩けば花々や木々も金に変る。ところが、遊んでいた彼の幼い娘が駆け寄ってきたので、思わず抱き上げると、それも瞬時に黄金の像となってしまった…… 。
この辺りでミダースもこの力に邪悪なものを感じたであろうが、時すでに遅しである。
ミダースが本当に困惑したのはこの直後、食事の時だった。なにせ口するものは、片っ端から胃に入る前に黄金の固まりになってしまう。飢えや渇きで餓死するのも時間の問題。
庭を歩けば花々や木々も金に変る。ところが、遊んでいた彼の幼い娘が駆け寄ってきたので、思わず抱き上げると、それも瞬時に黄金の像となってしまった…… 。
この辺りでミダースもこの力に邪悪なものを感じたであろうが、時すでに遅しである。
ミダースが本当に困惑したのはこの直後、食事の時だった。なにせ口するものは、片っ端から胃に入る前に黄金の固まりになってしまう。飢えや渇きで餓死するのも時間の問題。
とうとうミダース王は許しを乞う。馬鹿な人間を泣かせて満足したアポローンは、この魔法の力を彼から取り去って、そしダメ押しで、今回の愚かな欲と不敬から発した事件をずっと忘れないように、頭にロバの耳を付けたのだ(そうです。彼こそが、あの有名な「王様の耳はロバの耳」の王様なのです)。
のちにミダースが秘密を漏らして死刑宣告を受けた召使いを許してやると、ロバの耳も消えうせた……という。
なんにせよ、神さまは怒りっぽいし(カルシウム不足かも)、その上マジで大人げないので、十分注意したほうが身のためであるという話。