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「空を飛ぶ・イーカロス」

2010-06-13 09:53:17 | ギリシャ神話

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 「優れた力を持つには、分別が必要か!?」


 人間が地を這う虫けら以上のことをすると、ギリシャの神様は、いつも自分たちに喧嘩を売られたと思うらしい。この空を飛んだイーカロスも、例に漏れずにトバッチリをくらった。
 でも本当に悪いのは、そんなことをさせた父親ではないだろうかと、思うのだが…… 。


 イーカロスの父親は、天才的な発明家であり、技術屋でもあるダイタロス。彼は頭脳と技術のために、人々から尊ばれたり、疎まれたりして波乱万丈の人生を送っていた。
 ミーノース王のもとで、最初は王にかわいがられていたが、やがてその奇妙な発明品で、王妃と牛の不倫を手助けした(う~ん、これには色々と事情があるのだけれど、長くなるから別の機会に)ために、王の不興をかって、ダイタロス自身が造った迷宮の中へ放り込まれてしまったのだ。


 さて、この国は島国だったので、たとえ迷宮から抜け出せても、海を越えなくてはダイタロス親子は自由になれない。
 そこで発明狂のダイタロスは、両腕に付けて人が飛びための翼を作り、それで迷宮から脱出しようとしたのだ。


 父は言った。
 「いいかい、イーカロス。この翼は鳥の羽を糸とロウでつづり合わせて作ってある。あまり高く飛びすぎると太陽の熱でロウが溶けてしまうし、低く飛べば海の飛沫で翼が重くなって飛べなくなるから注意せよ」


 「はあい」


と息子は答える。 ――が、子供の生返事を当てにしてはいけない。


 最初のうちこそ、イーカロスは、おっかなびっくりで一生懸命父親の後をついて飛んでいったが、だんだん慣れてくると、夢中になって高く高く上っていってしまった。


 両手の羽ばたきが手応えのないことに気づいた時は、時すでに遅し。羽根を固めたロウが柔らかく溶けて、白い羽根はバラバラに、哀れイーカロスは真っ逆さま波間へ落ちていってしまった。


 ……自業自得と言えば、そうだけど、ちょっと可哀相だよね。まあ、お父さんお母さんの言うことは、ちゃんと聞いておくべきだという教訓。