「過ぎたるはなんとやら、神さまに冗談は通じない」
アスクレーピオスはアポローンの息子で、医術の天才だった(ブラック・ジャック以上です)。
なんと、死んだ人間でさえ生き返らせることもできたらしい。それだけで、別に神さまを馬鹿にしたわけでも喧嘩を売ったわけでもないのだが、ところが、彼の所業に怒った神様がいた。
なんと、死んだ人間でさえ生き返らせることもできたらしい。それだけで、別に神さまを馬鹿にしたわけでも喧嘩を売ったわけでもないのだが、ところが、彼の所業に怒った神様がいた。
それは、冥界、死者の国の王ハーデースだった。死ぬ人間が減ったからだ。つまり自分の国の人間が増えなくなったので腹を立てたというわけ。
時として、神さまは人間よりはるかに身勝手なんですね。一度や二度、病気が治ったところで、人が死すべき運命から逃れられるはずがないと思いますが…… と、それは人間の考えることで、神さまにとっては由々しき問題だったらしい。
ハーデースはゼウスに、「人間がわしの縄張りを荒らしたんだぞ。これはわしらへの宣戦布告としか思えん」と言いつける。
ゼウスはまあまあと宥めることもせず、――逆になるほど、ご尤もです―― とうなずいてしまった。
そしてなんと、雷電を手に取ると、たちどころにアスクレーピオスを撃ち殺してしまったのだ(お可哀相に、合掌)。
ゼウスはまあまあと宥めることもせず、――逆になるほど、ご尤もです―― とうなずいてしまった。
そしてなんと、雷電を手に取ると、たちどころにアスクレーピオスを撃ち殺してしまったのだ(お可哀相に、合掌)。
ところが人間といってもアスクレーピオスは、神さまの息子。人間離れした才能を与えて可愛がっていた息子を、その才能ゆえに一方的に殺されたアポローンが激怒する。
彼は、ゼウスの元へ殴り込み…… は、さすがにせず(神々の八つ当たりは、常に弱者へと向かうんですね)、ゼウスの雷電を作る仕事の技術職人であるエトナ火山のキュクロースたちを襲撃して、仕事場をぶち壊し、皆殺しにしてしまった。
当然、今度はゼウスが怒った。
「この馬鹿息子! 罰として一年間、人間界に下って人間の下僕でもして頭を冷やしてこい!」
「なんですか父上。僕の息子といえば、あなたの孫でしょう。それが可愛くないのですか?」
「子供だけでも神・人間合わせて面倒見切れぬほどあるのに、その孫までいちいち構っていられるか(ご尤もです)」
彼は、ゼウスの元へ殴り込み…… は、さすがにせず(神々の八つ当たりは、常に弱者へと向かうんですね)、ゼウスの雷電を作る仕事の技術職人であるエトナ火山のキュクロースたちを襲撃して、仕事場をぶち壊し、皆殺しにしてしまった。
当然、今度はゼウスが怒った。
「この馬鹿息子! 罰として一年間、人間界に下って人間の下僕でもして頭を冷やしてこい!」
「なんですか父上。僕の息子といえば、あなたの孫でしょう。それが可愛くないのですか?」
「子供だけでも神・人間合わせて面倒見切れぬほどあるのに、その孫までいちいち構っていられるか(ご尤もです)」
当初の目的などというものはそっちのけでどこまで騒ぎが大きくなるかと思われたが、まあ、色々あって、 アスクレーピオスは許されて生き返ったとも、神々の列に加えられたともいわれています。
キュクロープスたちも生き返ったとかいうからヤレヤレですが、結局は身内同士の内輪もめみたいなもの。そのとばっちりを受けた方は、ハタ迷惑もいいところだ。