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「史上最悪の男・タンタロス」

2010-06-15 09:57:47 | ギリシャ神話

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 「トラブル・イズ・マイ・ライフ」


 タンタロスこそ、ギリシャ神話における正真正銘の悪党なのだ。


 タンタロスはゼウスの息子(異説があってクロノスともトモーロスとも言われている)で、人間でありながら神々の仲間入りを許されていた。
 しかし、彼は根っから性根が悪かった。特別待遇を逆手にとって、神々の飲み物のネクタルや食べ物であるアンブロシアを盗み出し、人間界へ売り払う。
 また、オリュムポスの宴席で聞いた神々の秘密や裏話に、あることないこと尾ひれつけて触れ回り、騒ぎを広めた。


 彼の目的はただ一つ。それはあらゆる方法で父親ゼウスを怒らせることだった。彼はそれが自分の務めであると信じていたのだ。
 たんなる不良息子というには度を越していたのだった。


 そしてタンタロスはとうとうとんでもなく邪悪な行為に出る。自分の息子ペロプスを殺して、それで焼肉定食を作り、羊の肉と偽って、夕食に招いたゼウスに食べさせようとしたのだ。
 ここまでやるか! 普通!? あんたはギリシャで人肉饅頭をやるつもりなのか! それが許されるのは…… ○○だけだぞ!! なんてね…… 。


 おおかたタンタロスは、孫を食べたゼウスを指差して、 ――やーい、やーい、ざまあみろ!―― とか何とか言った後で、全世界にこの事実を公表しようと企んだのかもしれない。
 しかし、さすがに全知全能の神ゼウス、この企みを見抜いて、孫のペロプスを生き返らせ、タンタロスを殺した。


 可愛さ余って何とやら―― ゼウスはこの極道息子に永遠の罰を与えようと決意する。こうしてタンタロスのためにも、地獄のスペシャルメニューが用意された。
 まず、タンタロスは水の食べ物もなしに、飢えと渇きが極限に達するまで放っておかれた。それから、きれいな水の流れる小川の中に立たされた。頭上にはリンゴの木が、豊かに実をつけて枝を垂らしていた。


 ところが、この美しい水と瑞々しいリンゴは、そのままタンタロスへの拷問だった。なぜなら、すぐ目の前にあるにもかかわらず、絶対にそれらを口にすることができないのだ。
 手を伸ばすとリンゴの枝は遠のき、水は逃げていってしまう。水とリンゴに取り囲まれながら、飢えと乾きに苛まれる。手を伸ばし、腰を屈める―― それを、永遠に繰り返すのが彼の日課となった。
 あ~~、めでたし、めでたし(でもないか?)。