「アポローンの愛した美少年、でも男なんだよね」
太陽神アポローンは数多くの美しい少年・少女( ……恋愛に関しておおらかなんですね)を愛した。好きになると、どこまでも迫っちゃう強引さは、父親譲りというべきか。
中でも、スパルタの王子、美少年のヒュアキントスをアポローンが愛したのが、ボーイズラブの始まりといわれている(だって、そう書いてあるんだから、しょうがないよ)。
アポローンは、この少年を可愛がって、いつも一緒にいた。少年が望むままに、山へ狩りに行きたいと言えば山へ、漁に海へ行きたいと言えば海へ。彼の幸せが自分の幸せだった。
しかし、これもよくある話だが、この美少年に横恋慕する ――馬に蹴られて死んでしまえ野郎―― がやっぱりいたのだ。西風のゼピュロスだ。
まあ、彼だけの責任とも言い難いかな。何といっても二人に仲がよすぎたというべきかもしれない。
しかし、これもよくある話だが、この美少年に横恋慕する ――馬に蹴られて死んでしまえ野郎―― がやっぱりいたのだ。西風のゼピュロスだ。
まあ、彼だけの責任とも言い難いかな。何といっても二人に仲がよすぎたというべきかもしれない。
ある日、アポローンとヒュアキントスは、開けた草原で、円盤投げの遊びに興じていた。アポローンが力一杯、遠くに投げた円盤を追って、ヒュアキントスは走る。
ところが、ゼピュロスの仕業で、突然の西風が巻き起こり、円盤の飛ぶ方向が変わって、ヒュアキントスの頭に当たったのだ。
少年は、一瞬の叫び声を挙げ、頭から血を流し倒れて、それっきり…… 。
ところが、ゼピュロスの仕業で、突然の西風が巻き起こり、円盤の飛ぶ方向が変わって、ヒュアキントスの頭に当たったのだ。
少年は、一瞬の叫び声を挙げ、頭から血を流し倒れて、それっきり…… 。
ひねくれゼピュロス。なぜアポローンに当たらずに、自分の好きな少年を殺してしまったのだろうか。まあ、太陽神には逆らえないのか、可愛さ余って憎さ百倍ということか。 ……素直じゃないなあ(だから嫌われるのか)。
医学の神でもあるアポローンの必死の手当ても虚しく、ヒュアキントスは生き返らなかった。
「ああ、何てことだ! 可愛いおまえをハーデースに渡しはしない。ずっとわたしの側においで」
アポローンはヒュアキントスを、早春の花、ヒアシンスに変えて、以後、その花を見ては、愛した美少年を思い返しているという。
相思相愛なら、こんな結末もアリなのかもしれないが、アポローンが一方的に迫ったケースで似たような事になったから困ったもんです。
相思相愛なら、こんな結末もアリなのかもしれないが、アポローンが一方的に迫ったケースで似たような事になったから困ったもんです。
アポローンに迫られ、恐怖に身をすくませた美少女ダフネー。彼を嫌うあまり、月桂樹に変身してしまった。アポローンはその彼女のことも、――いつまでも君を放さないよ。いいだろう―― (いいわきゃないだろう)なんて言って自分の冠にしてしまう。
悪いこと言わないから、嫌がる人に迫るのだけはよしなさいって。ね?