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「アポローンの恋人・ヒュアキントス」

2010-07-11 11:06:45 | ギリシャ神話

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 「アポローンの愛した美少年、でも男なんだよね」


 太陽神アポローンは数多くの美しい少年・少女( ……恋愛に関しておおらかなんですね)を愛した。好きになると、どこまでも迫っちゃう強引さは、父親譲りというべきか。


 中でも、スパルタの王子、美少年のヒュアキントスをアポローンが愛したのが、ボーイズラブの始まりといわれている(だって、そう書いてあるんだから、しょうがないよ)。


 アポローンは、この少年を可愛がって、いつも一緒にいた。少年が望むままに、山へ狩りに行きたいと言えば山へ、漁に海へ行きたいと言えば海へ。彼の幸せが自分の幸せだった。
 しかし、これもよくある話だが、この美少年に横恋慕する ――馬に蹴られて死んでしまえ野郎―― がやっぱりいたのだ。西風のゼピュロスだ。
 まあ、彼だけの責任とも言い難いかな。何といっても二人に仲がよすぎたというべきかもしれない。


 ある日、アポローンとヒュアキントスは、開けた草原で、円盤投げの遊びに興じていた。アポローンが力一杯、遠くに投げた円盤を追って、ヒュアキントスは走る。
 ところが、ゼピュロスの仕業で、突然の西風が巻き起こり、円盤の飛ぶ方向が変わって、ヒュアキントスの頭に当たったのだ。
 少年は、一瞬の叫び声を挙げ、頭から血を流し倒れて、それっきり…… 。


 ひねくれゼピュロス。なぜアポローンに当たらずに、自分の好きな少年を殺してしまったのだろうか。まあ、太陽神には逆らえないのか、可愛さ余って憎さ百倍ということか。 ……素直じゃないなあ(だから嫌われるのか)。


 医学の神でもあるアポローンの必死の手当ても虚しく、ヒュアキントスは生き返らなかった。


 「ああ、何てことだ! 可愛いおまえをハーデースに渡しはしない。ずっとわたしの側においで」


 アポローンはヒュアキントスを、早春の花、ヒアシンスに変えて、以後、その花を見ては、愛した美少年を思い返しているという。
 相思相愛なら、こんな結末もアリなのかもしれないが、アポローンが一方的に迫ったケースで似たような事になったから困ったもんです。


 アポローンに迫られ、恐怖に身をすくませた美少女ダフネー。彼を嫌うあまり、月桂樹に変身してしまった。アポローンはその彼女のことも、――いつまでも君を放さないよ。いいだろう―― (いいわきゃないだろう)なんて言って自分の冠にしてしまう。


 悪いこと言わないから、嫌がる人に迫るのだけはよしなさいって。ね?



「人間になった彫像・ガラテイア」

2010-07-11 01:55:38 | ギリシャ神話

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 「二次コン、3Dコンの神といっていいかも」


 ちょっと古いけど、オードリー・ヘップバーン主演の『マイフェア・レディ』って映画、知っている? ロンドンの花売り娘が貴婦人に変身する話。その原作になったのがロバート・ショーの『ピグマリオン』という戯曲で、そのさらに基になった話が、ガラテイア、つまり人間になった石の彫像の話なんですね。


 キュプロス島の若き彫刻家ピュグマリオーンは女嫌いだった。だからと言って男が好きだったというわけではない。
 女は見栄っ張りだったり、嘘つきだったり、嫉妬深かったり、たくさんの欠点がある(ことわっておきますが、ビクターが言っているのではありませんよ)のでスッカリ嫌いになってしまったのだった。
 だけど、そんな欠点を持ち合わせていない理想の女性がただ一人居た。それが他でもない、彼自身が作った象牙の彫像だ。
 醜い心もなく、そこら辺のどんな女性よりも活き活きと美しく可憐で魅力的であると感じていた。まるで生きているようで、人が作ったものとはとても思えない。
 そんな自分の作品に、ピュグマリオーンは本当に恋をしてしまったのだ。


 恋人にするように、触ったり、抱きしめたりした(おいおい…… )。着物を着せて(どうやら彫像は裸像だったらしい)綺麗な石や貝殻のアクセサリーを贈り、そんでもって彼女を飾った(お~~い!)寝床に彼女を寝かせて妻と呼び、柔らかな羽根枕を彼女の頭にあてがってやった(あ~あ、もう好きにしてくれ)。


 ピュグマリオーンがこのまま、ただのオタクの変態に成り果ててしまわなかったのは、まったく愛の女神アプロディーテーの与えた奇跡のおかげだった。


 「どうぞ僕にお与え下さい。妻として、僕の象牙の女性を…… 似た彼女を…… 」


 祈るピュグマリオーンの本心を覗いたアプロディーテーは、彼の作品を見る。


 「あらあら、この像はわたくしにそくっりだわ。あらあら、彼、結構いい趣味しているじゃない」


 すっかり気を良くした女神は、彼の望みを適えてあげることにしたのだ。


 祈りに応えて祭壇の火が三度燃え立つのを見たピュグマリオーンは、家に飛んで帰って、石の乙女に口づけをした。
 その唇は暖かく、瞼はゆっくり瞬きをして恋人を見つめる。


 「その娘の名は、ガラテイア。可愛がってあげなさい」


 天からアプロディーテーの声に、ピュグマリオーンはひざまずいて感謝した。


 話がここで終わっているからには、ガラテイアはやはり人間離れした性格の良い女性だったんでしょうな。これでやっぱり倦怠期だの不倫だの、人並みの男女の苦労したんじゃ、夢も希望もあったもんじゃないからね。