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「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」<下>

2010-07-15 22:14:46 | リチャード・アダムス

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 『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』下、リチャード アダムズ著、神宮輝夫訳、評論社


<あらすじ>
 新天地のウォーターシップ・ダウンにたどり着いたヘイズルたち十一匹のうさぎたちは、このうさぎ村を発展させるため、様々な困難に知恵と勇気と友情で立ち向かっていく。


 村には一匹の牝もいません。これでは一代限りで、村は滅んでしまいます。そこで隣のうさぎ村であるエフラファへ赴き、うさぎの移住を持ちかけに行くのですが、そこには独裁者のウンドワート将軍が立ちはだかり、ヘイズルたちも自らの支配化に治めようとするのです。


 はたしてヘイズルたちは、この難局をどのように乗り切っていくのでしょうか―― 。




<感想>
 この物語のウサギたちは、典型的な架空の動物物語に比べると、あまり擬人化されておらず、習性や身体的能力は現実のうさぎに近い形で描かれています。
 しかし、それとは反対に精神的な面においては、彼らは高い知性を持ち、独特の言語やことわざ、さらには詩歌や神話といった高度な文化まで持つ存在になっています。
 ある意味、イソップ童話のような動物のお話とは全く種類の異なった生粋の英雄物語のような味わいをもったファンタジーです。
 最後のエピローグは、ちょっぴり感動してしまいました。



「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」<上>

2010-07-15 21:55:01 | リチャード・アダムス

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『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』上、リチャード アダムズ著、神宮輝夫訳、評論社


<あらすじ>
 ウサギたちの楽園・サンドルフォードに一匹のうさぎがいました。彼の名はヘイズル。まだ経験も浅い若いうさぎ(一年子)です。
 ヘイルズには、ファイバーという一見、神経質で見た目はひ弱ですが、意志は強く危険を察知する能力をもった親友がいました。
 二匹はサンドルフォード繁殖地で気楽な日々を送っていました。そんなある日、ファイバーが得体の知れない危険を察知し、この地を離れるようにと言い出したのです。
 しかし、ファイバーの言うことを周りは信じませんでした、ヘイズルとその仲間たちを除いて。


 そして新天地を目指し、ヘイズルとファイバーを含めた、十一匹のうさぎたちが大きな冒険へと旅立ったのです―― 。




<感想>
 『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』は、イギリスのファンタジー作家リチャード アダムズの処女作で、イギリスの二大児童文学賞、カーネギー賞とガーディアン賞を受賞した大ベストセラー作品です。
 うさぎたちの習性とか、野に咲く雑草の花や川とか、土地のあらゆるものを、こまかく精密に描写していて、作者はうさぎの視点で物語を描ききっています。
 また、物語の構成も素晴らしく、二重プロットになっており、ヘイズルたちの筋と、うさぎたちに伝わる伝説のうさぎ、エル=アライラーにまつわる寓話の筋がちりばめられて、面白くて最後まで一気読んでしまいました。
 


 



「ニワトリになった男・アレクトリュオン」

2010-07-15 09:25:18 | ギリシャ神話

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 「早起きは三文の得、さもないと……」


 アレクトリュオンが怒らせたのは、軍神アレース。大神ゼウスと正妻ヘーラーの間に生まれた由緒正しい息子ながら、美しくも強くもなく、友達もほとんどいないという、どうも不名誉で物騒な神さまだった。


 「ご趣味は?」
 「戦争と人殺しを推進することです」


 どうもゼウスとヘーラーの遺伝子的相性には、根本的な問題があるのかもしれない。


 このアレースには、数少ない三人だけの友達がいた。一人目は双子の妹、不和と争いの女神エリス。この狂騒的で残忍な妹は、よく似た性格の兄と相性がよかった。
 二人目はハーデース。別にアレースと個人的な友達だったわけではなく、アレースが始めた戦争のおかげで、ハーデースの死者の国はとても豊かになったので、悪い気はしなかったのだろうと思う。
 そして最後の友だちは、ちょっと意外だが、愛の女神アプロディーテーだった。別に博愛主義で、すべての神を愛していたわけではなく、趣味の問題なのだが、彼女にとってアレースの野蛮さ、残忍さに魅力を感じていたのかもしれない。
 ひょっとすると、愛は、ある意味残酷なものだという真理の表れなのかも…… 。


 ちょっと脱線した。肝心なのは、この三人目の友だち(というより、情人なのですが)の話。


 アレースはアプロディーテーと、ときどき楽しくやっていたわけなのだが、どうも彼は太陽神アポローンが苦手だったらしい。
 密会の場を覗かれたくなくて、問題のアレクトリュオンに見張りを言いつけていた。


 「いいか、夜明けになったら教えろよ」


 だが、元々夜型人間で朝が苦手だったのか、たまたまその日は寝不足だったのか、運悪くこの見張りは、うっかり寝込んでしまったのだ。


 やがてアポローンが太陽の馬車を駆って空へ舞い上がり、煌々と陽の光に照らされた仲睦まじい二人を見つけてしまったのだ。


 「およ、なんと!?」と思ったらしい。


 その後、どう触れ回ったのか、アレースをどうからかったのかは知らないが…… 。


 ともかく、短気なアレースは、アレクトリュオンにすっかり腹を立てて、彼をニワトリに変えてしまったのだ。
 以来、アレクトリュオンは、時を告げるために、誰よりも早く起きなくてはならなくなった。


 しかし、ものは考えようかもしれない。これで一挙に体質改善できて、朝型人間になれたわけで、羨ましい話…… 、えっ? 人間じゃないって、 ……ご尤もな話で。