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第二十三夜 音楽室の怪

2010-07-24 14:26:17 | 不思議夜話
 暑い日が続きます。くれぐれもお体にお気をつけて、水分補給を十分にして下さいませ。


 前回に引き続き、学校の七不思議から、第2番目の音楽室の怪をお送りします。


 これヴィクター自身が体験した話です。大体どこの学校でもそうだ思うのですが、授業が終わった後の放課後に各教室の清掃が行なわれます。
 概ね自分たちの教室やその周りなのですが、理科室とか、図書館、音楽室といった共同で使用する教室は、持ち回りの当番制になっています。


 そんなある日、ヴィクターたちの班が音楽室の掃除当番になりました。当然、普段と変わりなく淡々と掃除を行なっていました。


 音楽室には、ちょっとした楽器の展示棚があって、そこに色々な楽器が置いてありました。
 弦楽器のヴァイオリンやチェロ、金管のトランペット、トロンボーン、木管のクラリネットやサックスなどなど、かなりの数の楽器が展示してあったのです。
 そこには何本かのリコーダーも含まれていて、その中の1本のアルトリコーダーがガラス製でした。
 ガラスでできているので、中が透き通っていてなかなか綺麗なリコーダーでした。


 中学校の生徒たちにも密かブームになっていて、ギヤマンの笛などと称していたんです。
 一度は手にとって見たいと思っていたのですが、持ち出し厳禁で棚で厳重に鍵が施されていました。
 他のものは取り出す事ができたのですが、不思議な事にそのリコーダーだけが特別に施錠されている棚に置いてありました。
 たぶんガラス製なので、破損する危険性を考慮したのではないかというのがみんなの考えでした。


 その日も掃除が終わって件のリコーダーの前でヴィクターを含めて数人が、そのリコーダーを眺めていたのですが―― 。
 そのリコーダーが、何の前触れもなく鳴ったのです。


 ピロロロ…… と、こんな感じで。


 一瞬、何が起こったのかわからず、その場にいた数人で顔を見合わせていたのですが、うちの一人が叫び声を挙げて逃げ出したのです。後は、それに釣られるように、全員が逃げ出しました。


 もちろん、そのことをクラスのみんなに話したのですが、大方信じてもらえず、そのまま話は立ち消えになってしまいました。
 しかし、あの時、本当に鳴ったんです。嘘ではありません。その場にいた仲間はみんな聞いているんです。


 それからずいぶん後になってから、なんかの折に学校の先輩に話したことがあったのですが、その先輩は不思議な話をしてくれました。


 先輩が中学に在学していた頃、音楽担当の女の先生がいたそうです。その先生は、大層音楽好き(当然だと思いますが)で、コラース部やブラスバンド部の顧問をしていました。
 特にリコーダーが好きで何種類ものリコーダーも持っていて、演奏も上手かったとのこと。しかし、ある年、身体を壊して長い間、入院しなければならなかったそうです。
 そして退院後も、なかなか体調が戻らず、教師を続けることができなくなって、泣く泣く先生を止めっていったとのことでした。
 その時に、自分が持っていた数本のリコーダーを学校に寄付したとのことでした。そして、その1本が件のリコーダー、ギヤマンの笛だったのです。


 それ以来、音楽室ではたまに不可解なことが起こるようになったという…… そんな不思議な話でした。