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「恋の名射手・エロース」

2010-07-16 05:59:31 | ギリシャ神話

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 「恋の仕掛け人、アプロディーテーと組めば愛憎のゴールデンコンビだ」


 その名もズバリ、“愛”の神さま、“愛”代名詞。ローマ神話ではクピード、英語読みでキューピットとくれば思い当たる人もいることでしょう。


 エロースのつがえる魔法の弓矢は金と鉛の二種類あって、金の矢で射られると、人間・神さま・老若男女、誰であろうと彼の選んだ相手を激しく恋するようになる。
 鉛の矢はその逆で、激しい憎しみを抱くようになる。


 このとんでもない弓矢を持った神さま・エロースは愛の女神アプロディーテーの息子とされている。常に彼女に仕え、彼女はエロースを、報酬と報復のため自分の手先として用いた。
 “悪戯好き”と称されるエロース。彼は喜んでアプロディーテーの要求に応えたのだ。


 幸か不幸か、この“愛憎のゴールデンコンビ”のおかげで、神や人間に恋や憎しみが数多く生まれた。
 あの太陽神アポローンや母親のアプロディーテーですら、エロースの矢には逆らえない。
 アポローンで思い出したけど、どういうわけかエロースは同性愛の守護神だったこともあるらしい(だからどうしたと言われましても…… )。


 ところでエロース、誕生には幾つもの説があって、一番古いのが、世界が成立する時、カオスから、タルタロスやガイヤと共に生まれ、原初の父母であるウラノスとガイヤの結婚をもたらし、神々や、やがて人間たちの恋や結婚を司った、という説。
 愛は美しいものを見ると自然に起こる感情なので、エロースは絶世の美青年であるにもかかわらず、この世の最も古い神さまの一人として生まれた、というのだ。
 そう考えると、愛の女神アプロディーテーより大先輩だといえるのだが、時代が経つにつれ、彼女の息子というポジションに落ち着くのだ。
 ちなみに父親はゼウス(あのヒヒ爺!)ともアレースともいわれている。


 そのエロースにも一世一代の恋があった。しかも、原因は他ならぬ自分の矢だというから世の中は皮肉だ。
 相手は美少女プシューケー。彼女の美しさはアプロディーテーを凌ぐとまで讃えられていた。
 ところが、そんなことをあの女神さまがお許しになるわけがない。


 「やっておしまい!」アプロディーテーの鶴のひと声―― 。


 プシューケーが怪物か醜男を恋するように矢をつがえろと、エロースに命じた。


 「アイアイサ~ 、あっ、しまった!」(サルも木から落ちる、というやつですか!?)


しかし、エロースは金の矢でプシューケーを射ろうとしたが、ドジを踏みその矢で自分を傷つけてしまったのだ。
 当然の如く、エロースはプシューケーを恋する羽目になった。


 そして、二人はアプロディーテーの猛烈な反対をものともせず、結婚することになるという、 ――愛は愛の神より強し―― なんてエピソードが残されている。