昨日は市中(第一のパイ)に占める唯一労働と労働の交換に直接介入できる現金は、マネーサプライの中でも9対1という1の部分しかないということを書いた。そしてそれが不足気味だということから景気が悪いという発想、そこから現在流通している貨幣、日銀券とは別に政府発行の紙幣を市中に投入し景気浮揚をおこなおうという考え方。
だがはたしてそのようなやり方で経済が円滑に動き出すのだろうか。
ここで話を別に戻して考えて見る。それは現在のアメリカの景気である。あれだけ好況を呈してきたアメリカ経済での貨幣、現在はサブプライムによる金融機関の破綻を契機として市中(第一のパイ)の現金が不足しているのは誰でも知っていることだと考える。そのことによってオバマ大統領率いるアメリカ政府は多額の公的資金(現金)を使い、金融機関に関わらずGMを筆頭とした製造業まで救済しようとしている。
あの住宅バブルの当時、アメリカ経済を動かしていた現金はどこへ行ってしまったのか。決して燃えて消えてしまったのではない。最初からバブルを引き起こしたという現金は少なかったのである。市中に出ていた少しばかりの現金は労働と労働の交換(住宅建設・自動車の製造販売)に回りそこで利益を上げた者の手から投資資金として住宅建設の資金、または自動車購入資金として、業者の手元に戻ってくる。その資金をさらに住宅建設。自動車製造・労働単価の安い国々へと資金を回し、そこで作られた製品をローンを長くして大衆に売り込む。そこでの経済的活況が株を押し上げ、資源の供給不足がやがて起こるだろうという思惑から原油の高騰を引き起こし、穀物から金属に至るまでの高騰を引き起こしてしまった。
今回これらのバブルの沈静は政府が金融政策によって収束したものではなく、米国のサブプライム危機が突然ヨーロッパに飛び火した結果。07年8月9日、フランスの大手BNPパリバ銀行が、その傘下にあった3つのファンドの取り付け騒ぎが起こったことへの対抗措置として、そのファンドの解約を凍結する措置をとったことから世界的な金融危機の引き金を引いた。結果として市中から現金が消えてしまったことになる。
ここで言えることは金があって経済的好況を呈するのではなく、人々の手に労働を通じて満遍なく貨幣が渡ることが経済的好況を呈することになるといえる。今回政府発行紙幣を景気対策として投入したとしても、一時的なカンフル剤かバブルを引き起こす元になると考えられる。それよりも経済を活性化したかったなら人々の労働を介して満遍なく貨幣が渡る政策を取るべきである。
今回の危機は今までと違い信用不安に飛び火し、消費の停滞を起こし、それが雇用(失業者増)へと波及していること。どのようにして失業者増を食い止めるかにかかっているといえる。
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