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新しく高級なSUVとは僕の嗜好に合わないのだが、それでも否定する訳ではなく、その機能を知っておく必要がある。ランドローバーはオン、オフの王座を狙った高級レンジローバーをオフロードコースにおいて提供しステアリングの操作を通じてその機能を見せ付けてくれた。パッセンジャーシートにはランドローバー社のランドローバーユニバーシティを受講したオフロードのプロが同乗する。このランドローバーユニバーシティとはランドローバー社の社員教育機関である。そこではビジネスや接客、運営、メカニックに携わる様々な事からオフロードドライビングのノウハウを実践し学ぶ機会が提供されているとの事。これは凄い事だと思った。なぜならば、高級オフロードビークルを製造販売しながら、その影で(表にはあまり出ない所で)オフロードドライビングの伝統を保守し続けている会社の姿勢があるからである。
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高級シートに座り込みシートを合わせて、タッチスクリーンでローレンジを選択する。フロントとサイドのバックミラーに搭載されたカメラが車体前部の死角であるフロントの下部、サイドの下部を映し出す。アクセルを踏むと自動的にパーキングブレーキが解除される。ギアのスイッチをローレンジに入れる事によりAll Terrain Progress Control が作動する。これはオフロードでのクルーズコントロールである。オフロードテストコースの一番最初の狭い坂道を降りた所に前タイヤが半分程埋まる溝が真横に掘られている。基本的なオフロードドライビングテクニックではフロントの2つのタイヤを溝に同時に入れる事はしない、一つずつ入れるのが基本だ。インストラクターはそれを承知の上であえて2つのタイヤを同時に溝に入れるように促す。フロントの両タイヤは完全に溝にはまるが、そこから軽いアクセルワークで容易に溝を乗り越える事が出来た。All Terrain Progress Control システムとは人間のミスをコンピューターが察知して手助けしてくれる有り難い機能なのだ。
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急な岡を登って正面に下り坂を迎えた時、ギアをパーキングに入れてハンドブレーキを引き車から一度降り、下りの下方の風景を確認する事が基本であるが、車内のモニターに前方下部の光景が映し出され、わざわざ車を降りての前方確認は不要となる。ギアは1速に入れて真っ直ぐに下るというのが基本であるが、インストラクターはそのままブレーキを放すだけでいい、と言う。Hill Descent Control システムが坂の斜度を測っての自動運転を行ってくれる。つまり急な下り坂ではブレーキの使用は不要、ステアリング意外は何もしなくてもいいという事だ。しかも、下って直ぐに右に90度曲がるコースであるが、その辺の按配もシステムに任せてハンドルだけ切れば良いという事。このシステムは慣れないと怖い、また、機能に対する信頼性がないと怖いと思った。
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レンジローバーは市販車であり、ピレリ社製のオールシーズンタイヤを履いていた。タイヤの溝は完全に泥で埋まっている。複数のモーグルがあり、対角線上のタイヤは宙に浮く。また45度近く傾く傾斜の後に車体が上がっている方向にハンドルを切る 様に指示され、アー ユー シリアス?(まじっすか?)と疑った。これも意図的なコースによる展開である様子。結構難しいコースを自身で走破した様な気分になるが、実はレンジローバーの持つ機能の導きなのである。この様にレンジローバーはオフロード適用車でありながらその実体はオフロードドライビングの基本と常識を破っている、ベーシックオフロードドライビングテクニックを凌駕した存在である事を知った。
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Range Rover Supercharged のステアリングを握るTRY-ANGLE優勝経験者のH氏。レンジローバーの最新機能が理解出来るのはベーシックオフロードドライビングテクニックを理解している人の比較によってである。9時12時、12時3時のステアリングの持ち方、回し方テクニックさえ、路面からくるキックバックを緩和する機能があるので不要だとの事。ランドローバーオフロードドライビングのプロフェッショナル達のランドローバーの車造りにおける仕事の実体が一台のレンジローバーを通じて見えてくるのである。