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肩を竦めて送迎のカートを待つこの男は存在としては小さな存在であるが、彼は生涯を通じて偉大な業績を残した男である。彼は今年88歳で2年前に会った時には耳がよく聞こえないという事で横に若い男が彼のスピーカー補佐として共にいた。今回は顔色も好く耳も遠くなかった(しっかりと会話が出来た)。彼の名前はTed Simon氏、バイクを駆って世界を2度廻る旅をした実績があり、その旅行記は彼の著書 Jupiter's Travels に記されている。彼は世界のオートバイ乗りだけではなくオーバーランダー達からも高く尊敬される存在で彼を表現する形容名はゴッドファーザー或いは生きているレジェンドである。僕は彼の存在をかわいいおじいちゃんと裏では呼んでいる。笑顔が小さな子供の様に明るく素敵であったからだ。
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Ted Simon氏の幾つかある著書の中で一番メインの書籍である Jupiter's Travels 1973年から4年の歳月を掛けてトライアンフ製のタイガー500ccを駆って世界を廻った時の旅行記。この本は今でも売れ続けているロングセラー本である。この本が売れ続けている理由は彼自身の努力の継続によるものである。旅をして本を書いて終わりではなくて、オートバイの旅の素晴らしさを現役で伝え続ける伝道師として今も活動しているからである。以下は彼の思想を垣間見る為にトライアンフバイクのサイトFor The Ride より引用させて頂いた内容です。
1973年、彼は500ccのトライアンフタイガー100で4年に渡る旅をスタートしました。 その旅は45か国、64,000マイルにも及び、強い影響力を持つ旅行本、Jupiter’s Travelsにまとめられました。
2001年には、70才にしてもう一度やり遂げました。
FTRがテッドに旅のコツをいくつか教えてもらいます。
Q. 初めてのオートバイ旅を計画している人には、どこを勧めますか?
A. それは完全に相手によります。 どこにも行ったことがないなら、ブライトンへの旅もエキサイティングでしょう! もちろん、大事なことは自分の地平線を広げることです。 もしもブライトンにはすでに行ったなら、次はカレー(Calais)に行くといい。 自分が不安を感じる場所はどこか、考えてみてください。言葉がわからなくて、人々が油断ならないところ。 そこへ行くのです。
Q. オートバイの冒険を計画するにあたって、アドバイスは?
A. 大事なのは準備よりも冒険に集中することです。 何が起きるか、何を持って行くか、十分に準備できたか、みんな心配しすぎなんです。 そういったことで途方に暮れてしまって、結局実際に行動に移せないことがとても多いです。
Q. ライダーに必要な意識の持ち方はありますか?
A. 重要なのは、効率的かつ決然としていることです。 そして問題を避けずに、むしろ問題の可能性を歓迎すること。 問題は旅を最も面白くします。 問題を通して人々との出会いがあります。助けを求めましょう。
Q. 出発するときの、何が待ち受けているかわからない不安はいつまでもあるものですか?
A. 襲撃や強奪、または何らかの誤解で敵を作るというイメージは浮かぶものです。 私が聞いたほとんどすべての冒険の美点は、最後は真逆の印象で終わったということです。 言葉を換えれば、そのような不安があればこそ、行くべきです。 恐れているのに、恐れを避けることはできません。しかし何とか恐れを無視して旅に出て、恐れに根拠がないことを発見するのです。 私は初めての旅でたくさんの恐れと向き合わなければなりませんでした。 そのうちのいくつかは私を翻弄しました。しかし1年経った頃には、私は恐れをコントロールし、利用できることに気づきました。 そのおかげで自分の周りで何が起きているのか、より気づけるようになりました。 旅を終えるときには、恐れるようなことがいかに少ないかに気が付くものです。 相対する二つの衝動として、好奇心と恐れがあります。これは好奇心が勝たなくてはなりません。 好奇心は猫をも殺したかもしれませんが、あなたのことは殺しません。
Q. あなたにとって必要不可欠なキットはどれですか?
A. 輪ゴムは役に立つといつも思います。 ワイヤーやひものような基本的なものは非常に便利です。 ただ、今は大体のものはどこでも手に入ります。 もし今日、旅に出るとしたら、歯ブラシとクレジットカードを持って行きます。
Q. もう一度行きたい場所を一つあげるとしたら、どこですか?
A. 私が二度目の旅に出た理由の一つが、一度目の旅で行ったたくさんの場所を再び訪れることでした。 そのとき行けなかった場所で、ぜひまた行きたいのはインド南部です。 一つ名前をあげるなら、ケララです。 そこは北部とはまったく違うのです。
Q. あなたにとって「冒険」とは?
A. 多くの人々にとって、冒険といえば大量にモノを買い、計画し、旅に出て、写真を撮るものです。 しかし冒険とは、自分にとって居心地の良い領域を出て、挑戦させられるものでなくてはなりません。
Q. 一部の人々にとって、オートバイの旅は、仕事のために不可能であり続けるでしょうか?
A. 仕事のせいで旅に出るのが不安だと言う人には、私はそれはくだらないと答えます。 大きな旅を終えた人のことは、人々にはわかるものです。 多くの人々と色々な方法でやりとりできるようになります。 あなたが持ち帰ってくる自信によって、人々があなたを必要とするようになります。 実に魔法のようなものです。
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上記の彼の言葉には冒険旅行に対する重要な心構えや示唆が語られている。この内容は大きな旅を経験しなければ語れない内容である。最後に秘話がある。Simon氏が僕にぽろっと言った、「実は僕 、いまだかつて日本に行った事がないんだよなぁ。」僕は大変驚いて耳を疑った。