冬至明けのクリスマスの凍て付いた朝、澄み切った冷たく痛い空気の中で東の正面に真っ赤な太陽が顔を出す。地平線に顔を出した陽を凝視すると鼓動を打つ心臓の様な茜色の強い生命力を内部に観る。地球という星が宇宙の中で生きている強大な生命体であるという事を太陽の活力を目にして知る。今日、我々が生きて生を営んでいる全てのエネルギーの源がこれである。太陽はあれよあれよという間に地平線を離れ独立した存在となり辺りを赤く照らしてゆく。
今朝ここパリセーズの森の大地に一本の酒を持参した。別に特別な事ではなく日本の正月祝いのアメリカンバージョンである。早朝の麗しい酒の香りで大地に潜む精霊を呼び集め今年の感謝を捧げた。誰でも大切な道具は大切に扱うし、愛車はメインテナンスを必要とする。その日常の道具という範囲が大地や山、河の水や大空といった掴みがたい対象となるわけである。当然、この掴みがたい人智を超えた対象物にもメインテナンスが必要である。古代日本人はその事をよく理解していたように思う。クリスマス(冬至)が終わりもう直ぐ御正月を迎えるこの時節、愛車ランドクルーザーで走れる大地の存在にまず感謝を捧げる。大地へのメインテナンスとは感謝の気持ちを送る行為である。貰って嬉しいよりも捧げて嬉しいと感じるのは、きっと捧げた気持ちが届いたのだと信じている。