氷点下10度を下回る毎日が続いている冬のニューヨーク。今年の冬は特に寒い、と毎年毎年同じ表現を繰り返している自分である。氷点下の早朝のランクル始動はチョークを引いてエンジンを始動させ、少なくとも5分間はエンジンの暖機を行う。タイミングが合うと対岸のマンハッタンから昇ってくる朝日に遭遇する。晴れた日の朝は太陽が顔を出す前とその瞬間は辺りが一時神秘的なピンク色に染まる。とてもロマンチックな光景で5分に満たない時間である。丸く赤い太陽が空に浮くと今度は濃いオレンジ色の光線に包まれ大地が目を覚ます音が聴こえてくる。この朝のランクルを始動させる為の作動と太陽がC大地を目覚めさせる為の現象が重なる時ちょっとした感動がある。
朝、職場で今日の朝日は綺麗だったな。と何人かに尋ねてみるがつれない返事が返ってくるだけである。同じような時間に朝日を拝んでいるはずなのであるが...。考えてみると、朝の出発時に暖機の為にもたもたしている自分であるが故にその待ち時間は他人が経験する事がない、他人にとっては不要な時間。である。この直ぐに動けない5分間の故に朝日を拝む事が出来るというのはアマテラスの恩恵、不便さに感謝である。