半月ほど前のことですが、友人で左利き仲間でもある渡瀬謙さんの新刊が出ました。
『“内向型”のための「営業の教科書」 自分にムリせず売れる6つのステップ』 (大和出版 2020/8/19)
●私流に本書について語ると
本書を私流に一言で言いますと、『内向型の人が困らない「営業の入門書」』ですね。
「教科書」というと決定版みたいな感じで、これさえマスターすれば良し、という感じになります。
もちろん、結果としてはそうなんだろうけれど、
『部下のやる気と成果を確実にアップさせる トップ営業を生み出す 最強の教え方』(日本実業出版社)
なんて本も出している著者ですので、その方法論には万全の自信はあるのでしょうけれど。
私の思うに、「教科書」という言葉にはちょっと小難しい印象があります。
「これ以外はダメなんだよ」という押しつけのように感じて、それを嫌う人もいるかもしれませんよね。
小心で控えめな内向型の私なら、ここは「入門書」という言葉でいきたいですね。
同じ出版社から10年ほど前(2009年)に出し、内向型の営業に特化した本として、著者としては初めてのヒットを出した
『内向型営業マンの売り方にはコツがある―ムリに自分を変えないほうがうまくいく!』(大和出版 2009/2/1)
を、著者自身のその後の営業コンサルとして、著述家としての進化と、平成から令和へ(特別ウィズコロナにはふれていませんが)コロナ以前からコロナ以後へ、という時代の変化に合わせ書き直した、“現時点”での決定版営業の本です。
結果として内向型の人に限らず、広く営業を志す人、営業に携わる人全般に役に立つ「営業とはどうすればいいのか、売れる営業の方法とはどういうものか」について書かれたものになっています。
(表紙画像について)
新著は、白いバックに文字だけのシンプルな表紙で、箔押しの文字が青というかミント色みたいにキラキラ光っていてきれいで、すっきり感があります。
前著は、いかにも線が細い感じの男の人のイラスト付きで、これはこれでいいのでしょうけれど、今の時代は営業職がみな男性とは限りませんし、変にイメージを付けてしまうのは逆効果かもしれません。
内容のみならず表紙も進化していますね。
●著者自身の紹介の言葉
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『内向型のための営業の教科書』(渡瀬 謙・大和出版)
__________________________________
とかく営業には不向きだと思われがちな内向型営業マンの多くを
トップセールスに変えて来た手法を一冊に凝縮しました。
内向型営業マンにありがちな、
・お客さまとの会話が続かない
・嫌われたり怒られたりしたくない
・売れないストレスが耐えられない
これらをすべて解決しながら、なおかつ「売れる営業」に変われます。
営業をあきらめる前に、もう一度自分にチャンスを与えてあげてください!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「序章」から著者の伝えたいこと
改めて本書を見ておきましょう。
まず「序章」での、著者について、本人の弁を紹介しましょう。
セミナーや研修の講師として、個人コンサルティングを通して1万人以上の人に教え、ほとんどの人が成果を出してきた、といいます。
次に、本書で伝えたいことの一番――営業パーソンの目指すべきゴールについてこう書いています。
その結果として売上がついてくるのだ、と。
もう一つの伝えたいこととして、内向型でも「売れる営業」になれる、ということを書いています。
●「第1章」―「ステップ営業法」から<進化の一つ>
時代が変わり、営業の方法が変わった、と著者はいいます。
昔ながらの精神論や押し売りまがいの営業法は時代遅れとなり、今の時代では、内向型の人の方が営業に向いているし、現実に売れるのだ、というのです。
そんな内向型でも「売れる営業」になれるための方法として、著者が勧めるのが「ステップ営業法」です。
p.51に全体図、p.62にその流れを示した図があります。
<前著からの進化の一つ>
6段階に分かれます。
2009年の前著『内向型営業マンの売り方にはコツがある』では、5段階になっていました。
(新著)――――――――(前著)
1.新規アプローチ――――(1)アポ取り
2.アイスブレイク――――(2)訪問
3.ヒアリング――――――(3)ヒアリング
4.プレゼンテーション――(4)商品説明
5.クロージング―――――(5)クロージング
6.フォロー
最終段階として、「フォロー」がつきました。
これが本書の肝の一つかも……。
これら6段階のステップはどれも、お客さまとの信頼関係を深めていくもの。
その理由は――――
これが、「どこでも通用する営業マン」になる秘訣だといいます。
●「営業のニオイ」を消す
「第2章」以下「第7章」まで、それぞれ各段階についての説明です。
前半の3段階あたりまでで頻繁に出てくるのが、「営業のニオイ」という言葉です。
従来型の「売りたい気持ち」が前に出る営業のパターンを戒めています。
「営業のニオイ」を出さないのが「売れる秘訣」だといいます(p.154)。
「ステップ営業法」の根幹は、《お客さまからの信頼を積み重ねること》だからです。
●ゴールを明確にする
最後の第7章で、前著にはなかった<進化の一つ>第6の段階「フォロー」の重要性がクローズアップされてきます。
この「フォロー」を「ゴールにする」という考え方です。
ゴールだけをイメージし明確にすると、自分の役割が明確になる、といいます。
そうすることで、
「フォローをゴールにする」とは、
保険のトップ営業の人の話を例に説明しています。
いわゆる「そのうち客」を増やすということで、
すなわち、
「フォローをメインとした営業」――これが著者の結論です。
(その詳細等については、本書をお読みください。)
●内向型の性格のままで……
末尾に「私が一番伝えたいこと――「おわりに」に代えて」という文章があります。
ここで著者が書いているのは、この「ステップ営業法」を見つけたことで営業トップになり、自分に自信を持てるようになり、人生が変わったということ。
マイナス評価されることの多い内向型の性格により、自分に自信が持てずにいた過去の人生から脱却し、内向型であることを個性の一つと認められるようになり、独立も結婚も勝ち得たという。
本書を読み、
●感想をちょっと
これで本書の紹介は終了です。
調べていないので確かなことはわかりませんが、多分著者の本の中では一番ページ数が多いでしょう。
間延びして長いのではなく、その分充実した内容だ、ということです。
それだけ決定版的な本だ、といえるのでしょう。
・・・
私の感想をちょっと書いておきます。
私は以前から、従来の押し売りまがいの営業に疑問を持っていました。
渡瀬さんの「売り手も買い手も対等の関係」という営業手法を知り、「ホントはこれだよね」と思うようになりました(最初の本は友人・左利き仲間という立場で自分で身銭を切って本を買い、何冊目かの本で初めてこちらから希望して贈ってもらった)。
以来、彼が贈ってくれる本をずっと読んできました。
直接営業には関わらない本(コミュニケーション関係)もありましたが、前著のヒット以来、内向型の営業本を一貫して書いています。
それは、自信のない内向型の営業パーソンを応援するという人助けの面と、一部に悪評をもたれている営業活動そのものをチェンジしたいという思いからでしょう。
私は「いつか受け入れられる、現に少しずつ変化してきている」という思いで見てきました。
しかし、このコロナの時代になって、直接的な営業活動が難しい時代になって、いよいよ彼の営業が本領を発揮するかも、と思うようにもなりました。
闇雲の出かけていって力尽くでどうにかするという手法ではどうにもならないのですから。
何年か前に、長年トップ営業として実績を残してきたという営業職の人の書いた本を読んだことがあります。
その人曰く、トップの営業の技術があれば、どこの会社でもどのような業界でも通用するといい、現にそういう生き方をしてきたというのです。
確かに、渡瀬さんも真の営業力があれば、どこでも通用するといっています。
私もそうだろうと思います。
真の営業の力があれば、同じ会社でも、一つの業界でも営業の仕事を長く続けられるでしょう。
しかし、その人の本を読んでいると、この人の場合は、押しの強さでその場その場での成功を勝ち取ってきただけなので、後々クレームが来たり煙たがられたりして、一つの会社に長く勤めたり、同じ業界で長く生存したりできなかったのではないか、という気がしたのです。
会社や業界を転々と移り変わっていく以外に生き残れなかったのではないか、という疑問を持ちました。
そんな目先の成功だけで満足する営業は、もう時代遅れでしょう。
これからはやはり売り手も買い手も同じ、どちらが上でどちらが下とか、買ってやるも買ってもらうも、売ってやるも売ってもらうもない、対等の契約の時代になったのではないでしょうか。
そういう時代の営業を考える上でも、本書は教科書になると思いました。
・・・
最後に一言だけ。
著者に一つ注文があります。
それは「営業マン」という言葉を使っていること。
ここはやっぱり、Amazonのレヴューにもありましたように、「営業パーソン」とする方が今風なのではないでしょうか。
「昭和のニオイ」がします。
もう平成すら過去になった令和の時代なのですから、ね。
※左利き仲間で友人・【渡瀬謙の本】についての記事
(◆印:ビジネス書/□印:口ベタ・あがり症の“内向型”営業マンのための営業本
■:“内向型”の人の本/○『左利きの人々』渡瀬けん=名義)
◆□2019.12.02 渡瀬謙の新刊『トップ営業を生み出す最強の教え方』を読む
◆□2019.2.17 内向型ビジネスライター渡瀬謙の集大成的?新著『コミュ力ゼロからの「新社会人」入門』
■2017.1.30 なりたい自分になる『「内向型の自分を変えたい」と思ったら読む本』渡瀬謙
◆□2016.7.5 内向型トップセールスマン渡瀬謙の新刊『―「質問」で会話を盛り上げる方法』
◆□2016.3.11 相手の話を引き出す渡瀬謙〈無敵〉雑談術の本『超一流の 相手にしゃべらせる雑談術』『負けない雑談力』
◆2014.12.7 買い手の気持ちに寄り添う商談術:渡瀬謙『相手の「買う!」を自然に引き出す4ステップ商談術』を読む
◆2014.3.16 なんための会話か?~渡瀬謙『朝5分! 読むだけで「会話力」がグッと上がる本』
◆2013.10.7 臆病は慎重!… 渡瀬謙『内向型人間のリーダーシップにはコツがある』
○2013.8.19 雑学フェアにて~渡瀬けん著『左利きの人々』:<国際左利きの日>情報3
◆2013.3.7 渡瀬謙『元リクルートNo.1の 日本で一番"効率"のよい営業法 このムダをなくすだけで、グングン売上が伸びる!』
◆2012.5.23 小さな努力で大きな効果:渡瀬謙『あなたの評価をガラッと変える たった3秒の声がけ習慣』
◆□2012.2.26 克服ではなく付き合う姿勢で:渡瀬謙『「あがり症営業マン」がラクに売るための6つの習慣』
○2011.12.31 雑学文庫フェアで『左利きの人々』が…
◆2011.7.13 渡瀬謙の新刊『相手が思わず本音をしゃべりだす「3つの質問」』届く
◆2011.6.10 流れ星に願い事…渡瀬謙『たった5秒のあいさつでお客様をザクザク集める法』
◆【渡瀬謙/監修『毎日役立つ!もう悩まない!!即効ビジネスマナー』日本文芸社2011.1】
○2011.5.19 週刊ヒッキイhikkii260左利き教本について考える(2)おさらい
◆2011.3.4 新社会人奮闘記ラノベ 渡瀬謙『新入社員ヒロと謎の育成メールの12ヵ月』
◆□2010.6.28 実践で学ぶ本、渡瀬謙『営業は口ベタ・あがり症だからうまくいく』
◆□2010.6.18 渡瀬謙の新著『“内向型”のための雑談術』届く
■【『内向型人間の人づきあいにはコツがある』大和出版】
2009.12.12 今週の週刊ヒッキイ―第201号「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ<特別編>」
★左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
第201号(No.201) 2009/12/12「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ<特別編>」
<特別編>原点に戻って―最初につまずかないこと または、左利き人間の生き方にはコツがある
◆□2009.3.4 お知らせ:友人渡瀬謙の新著「内向型営業マンの売り方にはコツがある」
○2008.12.29 左利き本の新刊『左利きの人々』渡瀬けん著
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
渡瀬謙の新著『“内向型”のための「営業の教科書」 自分にムリせず売れる6つのステップ』を読む
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『“内向型”のための「営業の教科書」 自分にムリせず売れる6つのステップ』 (大和出版 2020/8/19)
●私流に本書について語ると
本書を私流に一言で言いますと、『内向型の人が困らない「営業の入門書」』ですね。
「教科書」というと決定版みたいな感じで、これさえマスターすれば良し、という感じになります。
もちろん、結果としてはそうなんだろうけれど、
『部下のやる気と成果を確実にアップさせる トップ営業を生み出す 最強の教え方』(日本実業出版社)
なんて本も出している著者ですので、その方法論には万全の自信はあるのでしょうけれど。
私の思うに、「教科書」という言葉にはちょっと小難しい印象があります。
「これ以外はダメなんだよ」という押しつけのように感じて、それを嫌う人もいるかもしれませんよね。
小心で控えめな内向型の私なら、ここは「入門書」という言葉でいきたいですね。
同じ出版社から10年ほど前(2009年)に出し、内向型の営業に特化した本として、著者としては初めてのヒットを出した
『内向型営業マンの売り方にはコツがある―ムリに自分を変えないほうがうまくいく!』(大和出版 2009/2/1)
を、著者自身のその後の営業コンサルとして、著述家としての進化と、平成から令和へ(特別ウィズコロナにはふれていませんが)コロナ以前からコロナ以後へ、という時代の変化に合わせ書き直した、“現時点”での決定版営業の本です。
結果として内向型の人に限らず、広く営業を志す人、営業に携わる人全般に役に立つ「営業とはどうすればいいのか、売れる営業の方法とはどういうものか」について書かれたものになっています。
(表紙画像について)
新著は、白いバックに文字だけのシンプルな表紙で、箔押しの文字が青というかミント色みたいにキラキラ光っていてきれいで、すっきり感があります。
前著は、いかにも線が細い感じの男の人のイラスト付きで、これはこれでいいのでしょうけれど、今の時代は営業職がみな男性とは限りませんし、変にイメージを付けてしまうのは逆効果かもしれません。
内容のみならず表紙も進化していますね。
●著者自身の紹介の言葉
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『内向型のための営業の教科書』(渡瀬 謙・大和出版)
__________________________________
とかく営業には不向きだと思われがちな内向型営業マンの多くを
トップセールスに変えて来た手法を一冊に凝縮しました。
内向型営業マンにありがちな、
・お客さまとの会話が続かない
・嫌われたり怒られたりしたくない
・売れないストレスが耐えられない
これらをすべて解決しながら、なおかつ「売れる営業」に変われます。
営業をあきらめる前に、もう一度自分にチャンスを与えてあげてください!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「序章」から著者の伝えたいこと
改めて本書を見ておきましょう。
まず「序章」での、著者について、本人の弁を紹介しましょう。
《私が一番得意なのは、内向型の人を「売れる営業」に変えることです。》p.22
セミナーや研修の講師として、個人コンサルティングを通して1万人以上の人に教え、ほとんどの人が成果を出してきた、といいます。
次に、本書で伝えたいことの一番――営業パーソンの目指すべきゴールについてこう書いています。
《営業は「売ること」よりも「お客さまからの信頼」をゴールにする》p.32ということ。
その結果として売上がついてくるのだ、と。
もう一つの伝えたいこととして、内向型でも「売れる営業」になれる、ということを書いています。
●「第1章」―「ステップ営業法」から<進化の一つ>
時代が変わり、営業の方法が変わった、と著者はいいます。
昔ながらの精神論や押し売りまがいの営業法は時代遅れとなり、今の時代では、内向型の人の方が営業に向いているし、現実に売れるのだ、というのです。
そんな内向型でも「売れる営業」になれるための方法として、著者が勧めるのが「ステップ営業法」です。
p.51に全体図、p.62にその流れを示した図があります。
<前著からの進化の一つ>
6段階に分かれます。
2009年の前著『内向型営業マンの売り方にはコツがある』では、5段階になっていました。
(新著)――――――――(前著)
1.新規アプローチ――――(1)アポ取り
2.アイスブレイク――――(2)訪問
3.ヒアリング――――――(3)ヒアリング
4.プレゼンテーション――(4)商品説明
5.クロージング―――――(5)クロージング
6.フォロー
最終段階として、「フォロー」がつきました。
これが本書の肝の一つかも……。
これら6段階のステップはどれも、お客さまとの信頼関係を深めていくもの。
その理由は――――
《これからの営業は、「売る技術」よりも「信頼される技術」がより重要になってきます。》p.60
これが、「どこでも通用する営業マン」になる秘訣だといいます。
●「営業のニオイ」を消す
「第2章」以下「第7章」まで、それぞれ各段階についての説明です。
前半の3段階あたりまでで頻繁に出てくるのが、「営業のニオイ」という言葉です。
従来型の「売りたい気持ち」が前に出る営業のパターンを戒めています。
「営業のニオイ」を出さないのが「売れる秘訣」だといいます(p.154)。
「ステップ営業法」の根幹は、《お客さまからの信頼を積み重ねること》だからです。
●ゴールを明確にする
最後の第7章で、前著にはなかった<進化の一つ>第6の段階「フォロー」の重要性がクローズアップされてきます。
この「フォロー」を「ゴールにする」という考え方です。
ゴールだけをイメージし明確にすると、自分の役割が明確になる、といいます。
《売ることをゴールにするのではなく、フォローをゴールにする》p.241
そうすることで、
《精神的苦痛から解放されるうえに、結果もついてきます》同といいます。
「フォローをゴールにする」とは、
《営業の主軸を「売る」ではなく、「フォロー客を増やす」に》p.237する、ということ。
保険のトップ営業の人の話を例に説明しています。
いわゆる「そのうち客」を増やすということで、
《「私には気軽に会いに行けるお客さまがたくさんいます。それを増やすことが営業活動の主軸です。」》p.236といい、その中から契約につながる案件が出て来て、結果として売れることになる、といいます。
《「ステップ営業法」におけるフォローは、あくまでも「お客さまとの良好な関係をキープする」ことを第一に考える》p.244ことであり、その結果
《「商談のどの場面でも中断してフォローにまわすことができる」という発想をもつと、飛躍的に売上げが伸びていきます》p.245といいます。
すなわち、
《心がまえとして大切なのは、「売れなくても嫌われないようにする」ということ。(略)そうすれば、次につながる可能性が残ります。》p.248
「フォローをメインとした営業」――これが著者の結論です。
(その詳細等については、本書をお読みください。)
●内向型の性格のままで……
末尾に「私が一番伝えたいこと――「おわりに」に代えて」という文章があります。
ここで著者が書いているのは、この「ステップ営業法」を見つけたことで営業トップになり、自分に自信を持てるようになり、人生が変わったということ。
マイナス評価されることの多い内向型の性格により、自分に自信が持てずにいた過去の人生から脱却し、内向型であることを個性の一つと認められるようになり、独立も結婚も勝ち得たという。
本書を読み、
《内向型の性格のままで、堂々とあなたらしい人生を歩んでいってほしいと思います》と。
●感想をちょっと
これで本書の紹介は終了です。
調べていないので確かなことはわかりませんが、多分著者の本の中では一番ページ数が多いでしょう。
間延びして長いのではなく、その分充実した内容だ、ということです。
それだけ決定版的な本だ、といえるのでしょう。
・・・
私の感想をちょっと書いておきます。
私は以前から、従来の押し売りまがいの営業に疑問を持っていました。
渡瀬さんの「売り手も買い手も対等の関係」という営業手法を知り、「ホントはこれだよね」と思うようになりました(最初の本は友人・左利き仲間という立場で自分で身銭を切って本を買い、何冊目かの本で初めてこちらから希望して贈ってもらった)。
以来、彼が贈ってくれる本をずっと読んできました。
直接営業には関わらない本(コミュニケーション関係)もありましたが、前著のヒット以来、内向型の営業本を一貫して書いています。
それは、自信のない内向型の営業パーソンを応援するという人助けの面と、一部に悪評をもたれている営業活動そのものをチェンジしたいという思いからでしょう。
私は「いつか受け入れられる、現に少しずつ変化してきている」という思いで見てきました。
しかし、このコロナの時代になって、直接的な営業活動が難しい時代になって、いよいよ彼の営業が本領を発揮するかも、と思うようにもなりました。
闇雲の出かけていって力尽くでどうにかするという手法ではどうにもならないのですから。
何年か前に、長年トップ営業として実績を残してきたという営業職の人の書いた本を読んだことがあります。
その人曰く、トップの営業の技術があれば、どこの会社でもどのような業界でも通用するといい、現にそういう生き方をしてきたというのです。
確かに、渡瀬さんも真の営業力があれば、どこでも通用するといっています。
私もそうだろうと思います。
真の営業の力があれば、同じ会社でも、一つの業界でも営業の仕事を長く続けられるでしょう。
しかし、その人の本を読んでいると、この人の場合は、押しの強さでその場その場での成功を勝ち取ってきただけなので、後々クレームが来たり煙たがられたりして、一つの会社に長く勤めたり、同じ業界で長く生存したりできなかったのではないか、という気がしたのです。
会社や業界を転々と移り変わっていく以外に生き残れなかったのではないか、という疑問を持ちました。
そんな目先の成功だけで満足する営業は、もう時代遅れでしょう。
これからはやはり売り手も買い手も同じ、どちらが上でどちらが下とか、買ってやるも買ってもらうも、売ってやるも売ってもらうもない、対等の契約の時代になったのではないでしょうか。
そういう時代の営業を考える上でも、本書は教科書になると思いました。
・・・
最後に一言だけ。
著者に一つ注文があります。
それは「営業マン」という言葉を使っていること。
ここはやっぱり、Amazonのレヴューにもありましたように、「営業パーソン」とする方が今風なのではないでしょうか。
「昭和のニオイ」がします。
もう平成すら過去になった令和の時代なのですから、ね。
※左利き仲間で友人・【渡瀬謙の本】についての記事
(◆印:ビジネス書/□印:口ベタ・あがり症の“内向型”営業マンのための営業本
■:“内向型”の人の本/○『左利きの人々』渡瀬けん=名義)
◆□2019.12.02 渡瀬謙の新刊『トップ営業を生み出す最強の教え方』を読む
◆□2019.2.17 内向型ビジネスライター渡瀬謙の集大成的?新著『コミュ力ゼロからの「新社会人」入門』
■2017.1.30 なりたい自分になる『「内向型の自分を変えたい」と思ったら読む本』渡瀬謙
◆□2016.7.5 内向型トップセールスマン渡瀬謙の新刊『―「質問」で会話を盛り上げる方法』
◆□2016.3.11 相手の話を引き出す渡瀬謙〈無敵〉雑談術の本『超一流の 相手にしゃべらせる雑談術』『負けない雑談力』
◆2014.12.7 買い手の気持ちに寄り添う商談術:渡瀬謙『相手の「買う!」を自然に引き出す4ステップ商談術』を読む
◆2014.3.16 なんための会話か?~渡瀬謙『朝5分! 読むだけで「会話力」がグッと上がる本』
◆2013.10.7 臆病は慎重!… 渡瀬謙『内向型人間のリーダーシップにはコツがある』
○2013.8.19 雑学フェアにて~渡瀬けん著『左利きの人々』:<国際左利きの日>情報3
◆2013.3.7 渡瀬謙『元リクルートNo.1の 日本で一番"効率"のよい営業法 このムダをなくすだけで、グングン売上が伸びる!』
◆2012.5.23 小さな努力で大きな効果:渡瀬謙『あなたの評価をガラッと変える たった3秒の声がけ習慣』
◆□2012.2.26 克服ではなく付き合う姿勢で:渡瀬謙『「あがり症営業マン」がラクに売るための6つの習慣』
○2011.12.31 雑学文庫フェアで『左利きの人々』が…
◆2011.7.13 渡瀬謙の新刊『相手が思わず本音をしゃべりだす「3つの質問」』届く
◆2011.6.10 流れ星に願い事…渡瀬謙『たった5秒のあいさつでお客様をザクザク集める法』
◆【渡瀬謙/監修『毎日役立つ!もう悩まない!!即効ビジネスマナー』日本文芸社2011.1】
○2011.5.19 週刊ヒッキイhikkii260左利き教本について考える(2)おさらい
◆2011.3.4 新社会人奮闘記ラノベ 渡瀬謙『新入社員ヒロと謎の育成メールの12ヵ月』
◆□2010.6.28 実践で学ぶ本、渡瀬謙『営業は口ベタ・あがり症だからうまくいく』
◆□2010.6.18 渡瀬謙の新著『“内向型”のための雑談術』届く
■【『内向型人間の人づきあいにはコツがある』大和出版】
2009.12.12 今週の週刊ヒッキイ―第201号「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ<特別編>」
★左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
第201号(No.201) 2009/12/12「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ<特別編>」
<特別編>原点に戻って―最初につまずかないこと または、左利き人間の生き方にはコツがある
◆□2009.3.4 お知らせ:友人渡瀬謙の新著「内向型営業マンの売り方にはコツがある」
○2008.12.29 左利き本の新刊『左利きの人々』渡瀬けん著
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
渡瀬謙の新著『“内向型”のための「営業の教科書」 自分にムリせず売れる6つのステップ』を読む
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